携帯電話による閲覧ユーザー数が3倍強の5700万人に

7月25日、工業・情報化部が発表した第2四半期のデータによると、中国の電話ユーザー数は12億1000万人で、そのうち携帯電話ユーザー数は9億2000万人に達したことがわかった。携帯電話による閲覧ユーザー数は前年比229%増の5700万人に達した。中南大学中国文化産業ブランド研究センターが5月に発表した「2011中国文化ブランド報告」によれば、2010年の携帯端末を利用した出版業界の総収入は414億元に達し、携帯端末による閲覧が主流になっている。

新聞、ラジオ、テレビ、そしてインターネットに続く「第5のメディア」である携帯電話は、人々の閲覧習慣、サービススタイル及び出版業界の未来に影響を与えそうだ。

 閲覧方法が細分化

2004年7月18日、中国で最初のモバイル新聞である「中国婦女報・MMS版」が始まって以来、携帯電話による閲覧は、携帯しやすく、支払いも簡便で互換性が強いなどの理由で人々の日常生活に欠かせないものとなっており、通勤途中や旅行中、あるいは就寝前の「わずかな時間」を使って閲覧するための最良のツールとなっている。我々は毎日のように携帯電話等の電子端末を使って膨大な情報を得ることが可能となり、しかもその情報・知識に簡単にアクセスできる。

書籍、雑誌、マンガ、新聞など多くのメディアに触れる人々を満足させるのに、携帯端末による閲覧は適している。それは、携帯電話、テレビ、パソコン、携帯リーダー等の端末によるワイヤレスネットワーク、インターネット、MMS、ショートメール、クライアント、テレビインターネット等の展開により、マルチメディアのインタラクティブな閲覧サービス及びそこから派生するサービスをユーザーに提供できるのである。中国語オンライン無線事業部白雪峰副総経理の話では、現在、携帯端末で閲覧する主なサービス形態として、「WAP(Wireless Application Protocol)」、携帯電話、携帯式リーダーの3種類がある。

人々は携帯電話による閲覧を通じて何ができるか?中国新聞出版研究院が先ごろ発表した「第8回全国国民閲覧調査」にひとつの答えを見て取れる。それは、携帯端末で閲覧する者のうち、約6割(59.1%)が音楽を聴き、51.8%がQQ(総合ポータルサイト)を活用してチャットで交流しており、6.2%が携帯でブログやミニブログを書いている。さらに分析を進めると、携帯でニュースサイトを見る人が55.3%、携帯小説を読む人が43.1%、その他のサイト内容を閲覧する人が28.1%で、「学習に関する情報」を見ている人が10.5%を占めている。

伝統的な閲覧方式に比べ、携帯電話による閲覧ユーザーは自分自身のニーズに合わせて、携帯ニュースサイトと契約する。たとえば、ファッション、スポーツ、文学などについて、自分自身が興味のあるウェブサイトやブログのみを閲覧することができる。

 紙の書籍への挑戦

2011年4月、アマゾンが販売した電子書籍の冊数は、すでに紙媒体全体の総数を超えた。第8回全国国民閲覧調査結果によると、電子書籍を読んだ18歳から70歳の国民全体のわずか16.4%の読者が、電子書籍を読んだ後に、さらに紙媒体の同書籍を購入することを明かしている。携帯端末を用いる新しい産業の発展は、従来の紙媒体の書籍に衝撃を与え続けている。

携帯端末による閲覧が従来の出版業界への挑戦という点について、中国新聞出版研究院の?振省院長は「従来の出版社は書籍のコンテンツについて、個性化、ブランド化に努める中で、編集、出版、発行および消費者へのサービスの点において適度なデジタル化を図る一方、高度に集約化されたデジタルのプラットホームを構築しなければならない。コンテンツ収集及び著作権保護にも取り組み、膨大な情報量に対するユーザーの要求を満足させる必要がある」と語っている。

中国メディア大学メディア研究院の王昕博士は次のように述べている。「携帯端末による閲覧は急速に発展しているが、デジタル出版におけるコンテンツの著作権等の問題もある。しかしながら、中国移動、中国聨通、中国電信ら中国の三大プロバイダが携帯端末による閲覧サービスを相次ぎ開始したことにより、携帯での閲覧という手法はデジタル出版業界に新たな発展のチャンスをもたらした。携帯端末による閲覧の時代を迎えた現在、デジタルと従来の紙媒体による閲覧方式が相乗的に推進され、中国出版業界がより良く発展することが望まれる」。