デジタル人民元のPRボード(北京・王府井)
テスト実施範囲が拡大
「ちょっとかざすだけで、すぐに支払いが終わった。とても便利だ」。男性の劉さん(60)は数日前に海南省ボアオを旅行した時、デジタル人民元の体験キャンペーンに参加した。
デジタル人民元の決済ができるウォッチをつけ、買い物をする時にこのウォッチを店側のPOS端末にかざすだけで、支払いが完了した。劉さんはウォッチを指さしながら、「この『サイフ』はとても便利だ。この新しい決済方法が1日も早く普及することを願う」と喜びの表情を見せた。
上海の野菜市場で屋台を経営する女性の陳さんも、デジタル人民元がもたらす便利さに深い印象を受けたと言い、「日々の売上高は自動的に銀行口座に入る。デジタル人民元で卸売業者と家族への振り込みをすれば、リアルタイムで入金ができ、手数料は一切かからず、非常にお得だ」と話した。
デジタル人民元は本質的に国家の信用が価値を保証し、中国人民銀行(中央銀行)が発行する法定通貨で、デジタル化した現金でもあり、紙幣や硬貨と完全に等価だ。
2019年末、深圳、蘇州、雄安新区、成都、将来の北京冬季五輪・パラリンピックの会場でテスト事業が行なわれ、20年10月にさらに上海、海南、長沙、西安、青島、大連の6カ所でもテストが行なわれ、テスト実施範囲が秩序よく拡大した。
深圳の飲食店のカウンターに置かれたデジタル人民元のマーク
便利さと迅速さに広く注目
専門家は、「デジタル人民元が広く注目されるのは、便利さと迅速さに大きな特徴があるからだ。決済で支払う側と受け取る側がいさえすれば、リアルタイムで入金ができる。オフラインの状況でも、現金と同じように支払いができる。より重要なことは、コントロール可能な匿名性を実現したことで、業者側と第三者プラットフォームには消費者の身元を示す情報と決済データを取得する権利がなく、プライバシーがよりしっかり保護される」と述べた。
中国人民銀行デジタル通貨研究所の穆長春所長は、「コントロール可能な匿名性はデジタル人民元の重要な特徴で、人々の合理的な匿名での取り引きと個人情報の安全性を保障する上でプラスになり、マネーロンダリング、テロ資金供与、脱税などの違法な犯罪行為を防止し取り締まる上でもプラスになり、金融の安全が保たれる」と述べた。
テスト実施都市では、複数の銀行がテスト事業に深く関わるようになるにつれ、デジタル人民元は飲食サービス、生活費支払い、ショッピング、交通・移動などへと利用シーンが広がった。
専門家は、「デジタル人民元はこれからECやショート動画などのオンライン分野にも浸透し、企業の貿易取引、サプライチェーン・ファイナンスなどの実体経済でも大いに力を発揮する見込みだ」と予測した。
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