中国はいつ高所得国になれるのか


2019年上半期の国民経済の動向を紹介している毛盛勇報道官

上半期の中国経済データが発表された。中国国家統計局は7月15日に行われた国務院新聞弁公室の記者会見で中国経済の半期報告を発表し、ホットな話題についてコメントを述べた。

中国はいつ高所得国になれるのか

同局のデータによると、2018年の中国の一人当たり平均国民総所得(GNI)は9732ドル(約105万円)に達し、中所得国の平均水準を上回った。

このデータが発表されると、中国がいつ高所得国の仲間入りを果たすかについて、多くの人が議論するようになった。

同局の毛盛勇報道官はこれについて同日にコメントし、「GNIには企業、政府、国内に居住する個人の所得が含まれるほか、海外からの要素所得もある。よく言われる可処分所得とは異なる概念であり、GNIが可処分所得よりも多くなることははっきりしている」と述べた。

毛報道官によると、「現在、中国の経済規模は世界2位だが、個人の平均レベルはまだ低い」という。

いつになれば高所得国になるかについて、毛報道官は、「それは経済成長の状況、価格水準の状況、他国の成長の状況、人民元レートの変動状況によって決まる。国際機関が所得区分の標準を変更する可能性もある」と述べた。
毛報道官は続けて、「よって、いつ高所得国のハードルを越えるかを議論するよりも重要なことは、経済をしっかり発展させ、国民の生活レベルと所得レベルを引き上げ、経済の質的向上と効率向上を推進し、高い品質の発展へと進むためにエネルギーを集中することだ」と述べた。

GDP成長率は目標範囲内で推移

初期段階の計算によると、上半期の国内総生産(GDP)は45兆933億元(約708兆円)に達し、比較可能な価格で計算すると、前年同期比6.3%成長した。四半期別にみると、第1四半期は同6.4%成長、第2四半期は同6.2%成長だった。

今年のGDP成長率目標は6~6.5%。上半期は6.3%で、第1四半期よりやや鈍化したものの、引き続き合理的な範囲で推移し、市場の予想に合致した。

24万円個人所得増加率が引き続きGDPを抜く

上半期には全国の個人の平均可処分所得が1万5294元(約24万円)に達し、前年同期比名目増加率は8.8%となり、第1四半期を0.1ポイント上回った。物価要因を考慮した実質増加率は6.5%で、経済成長率を0.2ポイント上回った。

第1四半期の個人所得には逆転の動きがみられたが、所得増加率はGDP成長率を再び上回った。上半期の個人所得の伸びは経済全体の成長率を引き続き上回り、好転の流れが続いた。

雇用が通年目標の67%を達成

雇用は収入の源であり、国民生活にかかわる最も重要な部分だ。中国は今年初めて雇用優先政策をマクロ政策に組み込み、設定した雇用目標は都市部で新たに1100万人以上の雇用を生み出すこと、都市部の調査失業率を5.5%前後にすること、都市部の登録失業率を4.5%以内に抑えることだ。

上半期に中国全土の都市部で新たに737万人が就職し、通年目標任務の67%を達成した。大都市31カ所の都市部調査失業率は5.0%だった。ここから、雇用情勢が全体として安定していたことがわかる。

物価上昇幅は目標の範囲内に

上半期には、中国全土の消費者物価指数(CPI)が同2.2%上昇し、上昇幅は第1四半期を0.4ポイント上回った。物価上昇幅は拡大したが、3%前後の年間目標の範囲内に引き続き収まった。

上半期には、果物や豚肉などの食品価格の上昇幅が拡大し、6月の果物価格は40%以上も上昇し、豚肉価格も20%以上上昇し、「果物を思い切り食べられるのはいつか」が議論の的になった。

北京大学経済学院の曹和平教授は、「季節、天候、災害などの要因の影響が徐々に軽減され、物流コストが下がれば、果物価格と豚肉価格の上昇幅は徐々に縮小していく」と予想した。

消費増加率は引き続き回復上昇傾向を維持

経済を牽引する「トロイカ」の1つである消費は、4月に増加率が7.2%まで落ち込んだが、最近は回復上昇傾向にある。

データをみると、上半期の社会消費財小売総額は19兆5210億元(306兆4800億円)で同8.4%増加し、増加率は第1四半期を0.1ポイント上回った。このうち6月の増加率が最大で9.8%だった。

消費の類別にみると、外食消費による収入が2兆1279億元(33兆4080億円)で同9.4%増加、商品の小売り高が17兆3930億元(273兆700億円)で同8.3%増加した。