中国商務部の高峰報道官はこのほど、「中国の海外投資が7カ月連続で増加傾向を維持し、構造の最適化が続き、理性を欠いた投資は効果的に抑制された」と発言した。
2018年1~5月には、中国国内の投資家が世界149カ国・地域の企業2987社に非金融分野の海外直接投資(FDI)を行い、投資額は累計478億9000万ドル(約5兆2659億円)に上って、前年同期比38.5%増加し、7カ月連続で増加傾向を維持した。
高報道官は、「中国の対外投資協力には4つの注目点がある」として、次の4点を挙げた。
〈1〉「一帯一路」参加国への投資協力が緩やかに推進された。1~5月には中国企業から「一帯一路」の参加国54カ国へ新たな投資が行われ、投資額は合計59億3000万ドル(約6520億6280万円)に達し、同8.2%増加した。「一帯一路」参加国で新たに調印された海外請負プロジェクトの契約額は362億2000万ドル(約3兆9805億円)で、同期の同契約額全体に占める割合は42.4%に上り、実行ベースの営業額は307億4000万ドル(約3兆3757億円)で、同期の同営業額の54%を占めた。
〈2〉海外投資の産業構造の最適化が続き、理性を欠いた投資が効果的に抑制された。1~5月には、対外投資が主にリース・ビジネスサービス産業、製造業、採鉱業、卸売・小売業に向かい、全体に占める割合はリース・ビジネスサービスが29.9%、製造が15%、採鉱が12.3%、卸売・小売が7.6%だった。不動産業、スポーツ・娯楽産業の海外投資には新規プロジェクトがなかった。
〈3〉東部地域が引き続き海外投資の主力となり、東北3省の企業の活力がますます増大した。1~5月の東部地域10省・直轄市の海外投資額は277億2000万ドル(約3兆458億円)で同75.4%増加し、海外投資全体の78.1%を占めた。東北3省の海外投資額は14億3000万ドル(約1539億円)で同88.2%増加した。
〈4〉海外請負プロジェクトは新規契約の大型プロジェクトが多く、輸出牽引の役割が明らかだった。1~5月には海外請負プロジェクトで新規契約額が5000万ドル(約55億円)を超えたものが274件あり、契約額は合計730億8000万ドル(約8兆270億円)に達し、同期の新規契約額のうち85.5%を占めた。海外請負プロジェクトによって生まれた貨物輸出の輸出額は75億4000万ドル(約8247億円)に上り、同25.7%増加した。
また高報道官は次のように説明した。「今年に入ってから、中国の対外貿易の発展状況は安定さの中で好転する状態を引き続き保ち、質と利益がさらに高まった。中国から米国、欧州連合(EU)、日本、香港地区などの伝統的市場への輸出入は、米国が同5.3%増加し、EUが同7.3%増加、日本が同4.5%増加、香港が同6.8%増加だった。『一帯一路』参加国との輸出入は同11.1%増加し、ASEANは11.9%増加した。増加ペースが速い市場にはロシア、インドネシア、ベトナムなどがあり、増加率はロシアが18%、インドネシアが16.5%、ベトナムが24.4%だった。外資導入の状況を見ると、5月に中国で新たに設立された外資系企業は5024社に上り、同106.5%増加した。実行ベース外資導入額は588億1000万元(約9943億円)で同7.6%増加し、米ドルに換算すると90億6000万ドルで同11.7%増加となる。注目されるのは、ハイテク製造業が急速な増加傾向を維持していることで、実行ベース外資導入額は製造業が同12.3%増加、ハイテク産業が同9.8%増加、ハイテク製造業が同61.9%増加した」。
専門家は、「中国の輸出入データ、対外投資データ、外資導入データはいずれも従前の安定好転傾向を維持し、世界で保護貿易主義が力をつける状況の中、これは容易ならざることだ。今後は、上海協力機構(SCO)青島サミットにおける多国間経済貿易協力合意、また中国とフランスやロシアなどとの間の一連の二国間経済貿易協力合意が実行に移されるのにともない、中国の対外経済貿易協力がさらにレベルアップすることが期待される」と指摘する。
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