李克強総理、中国経済の動向を語る

国務院の李克強総理は現地時間7月15日午前、モンゴルの首都・ウランバートルで開催中のアジア欧州会合第11回首脳会合(ASEM11)でスピーチを行い、アジアと欧州の提携について提案したと同時に、中国経済の動向を紹介した。


7月13日、モンゴル訪問するとともに、第11回アジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席するため同国首都ウランバートルに到着した李克強総理

まず、李総理は、フランス南東部ニースで7月14日に発生したテロ事件の犠牲者に哀悼の意を示し、負傷者や犠牲者の家族を見舞った。「アジアと欧州は、大きなチャンスを目の前にしているが、深刻な問題も少なくない。特に、テロや難民などのやっかいな問題が際立つようになっている。今年は、ASEM設立20周年を迎えた。互いに尊重しあい、友好的な話し合いをするというASEMの共通の認識を抱き、アジアと欧州の全面的な連携を推進し、連携の水準を向上させる新たな方法を探るべき」との見方を示した。

李総理は以下の3つの提案を行った。

第一に、アジア・欧州連携の理念改革。各国が、運命共同体であるという意識を持ち、責任を共に担うという意識を強化しなければならない。そして、地域の課題に効果的に対処し、対話と連携を展開し、同地域を動揺させる新たな源の出現を阻止し、世界平和と地域の安定を守らなければならない。団結・連携の意識を強化し、共に戦後の国際秩序を守り、冷戦型思考を捨てゼロサムゲームをやめ、世界の秩序と世界のガバナンス体制が公正で合理的に発展するよう推進しなければならない。中国は終始、世界平和の促進者、世界の秩序と国際法治の擁護者、地域の平和と安定の推進者である。中国は大きな国であっても小さな国であっても、貧しい国でも富んでいる国でも、法律、ルール、規則を守らなければならないという一貫した立場を示している。国際法の歪曲や二重の基準を持つことに反対する。地域で合意している規則を順守し、衝突や対抗をあおるのではなく、平和的な方法や政治的な手段でトラブルを解決しなければならない。


7月15日、第11回アジア欧州会議(ASEM)に参加している各国首脳

第二に、アジアと欧州連携の原動力を増やす。アジアと欧州の連携、特に経済貿易における連携を、実行の段階に移さなければならない。10年中断しているASEM経済閣僚会合が来年再開することを願っている。開放的、かつ包容力あるアジア・欧州大市場の構築を加速させ、貿易・投資の自由化や便宜性を向上させなければならない。各種保護貿易主義には反対で、共に気候の変化に対応しなければならない。科学技術のイノベーションや新産業、新経済の発展を積極的に推進しなければならない。

第三に、アジアと欧州の提携の人文的基礎を固める。さまざまな文明間の対話を強化し、教育、科学技術、文化、観光、青年、起業などの分野の交流を拡大しなければならない。

その他、李総理は、現在の中国経済の動向を紹介。「今年上半期、多くの国内外の課題に直面したが、中国経済は安定しており、年初の予想範囲。経済構造の転換とグレードアップは加速し、新経済は活力に満ち、新様式は急速に成長し、発展のための新たなエネルギーが急速に蓄積されている。経済の下向き圧力は依然として存在しているものの、中国は世界最大の発展途上国で、経済発展のポテンシャルは大きく、非常に優勢で、発展の空間も大きい。中国政府の負債率は低く、国民の貯蓄は多い。マクロ経済をコントロールするための道具箱には、たくさんの道具が入っており、中国は改革開放を確固不動で進め、構造性改革、特に供給側の構造性改革を一層推進する。中国は、今年の発展の主要な目標を達成する自信と能力がある。そして、経済の急速な発展を保ち、ミドル・ハイエンドへ向かって発展し、アジアと欧州経済の発展を促進し、アジアと欧州の平和・安定のために貢献することができる」と強調した。