「日本炊飯器爆買」で中国家電企業が新展開

中国の消費者が日本に行き電気炊飯器を爆買いしたことが中国家電企業を刺激している。このほど上海で開幕した中国家電消費電子博覧会では、美的(Midea)、格力(GREE)、蘇泊爾(Supor)、愛仕達(ASD)ら多くの中国家電ブランドがハイエンド電気炊飯器を売り出しており、一部のメーカーでは日本の電気炊飯器に挑戦と言ったダイレクトなキャッチコピーまであった。


中国の家電を購入している消費者

中国の炊飯器は海外でも販売

「実際、生産している電気炊飯器の多くの製品がすでに日本で販売されている。それなのになぜまだこれほど多くの中国人消費者が日本まで行って電気炊飯器を買って帰ってくるのか。これは中国市場でもっと多くの優れた商品を販売しなければならないということを証明している」と美的生活電器の国内マーケティングの任勇総経理は記者の取材に答えた。中国の電気炊飯器のレベルは決して劣らないが、これまで企業は低価格の製品を重視し、ハイエンド製品を売り出してこなかったのだという。

今回美的が発表したのは現在の電気炊飯器業界におけるほぼ全ての最新技術を用いた燜香鼎釜IH電気炊飯器で、内釜が8層のチタン合金構造となっており、お米を芯までふっくらとみずみずしく炊き上げることができる。国内のキッチン家電専門ブランドである蘇泊爾も同じ日にハイエンド電気炊飯器を発表した。その特徴としては炊飯器にスチーム用のウォータータンクがついており、これでお米の水分量をさらに増して食感を良くし、さらに炊きあがった後も一定時間ごとにお米にスチームを充てることで、長時間保温したあともお米が固くならない。またその1日前には格力もハイエンド電気炊飯器を発表し、董明珠総裁自ら宣伝している。愛仕達が新たに発表したハイエンド電気炊飯器のキャッチコピーはさらにダイレクトで「いい電気炊飯器は海外購入する必要なし」というものだった。

「痒いところに手が届く」新型スマート家電が注目浴びる

「日本の電気炊飯器現象」は確かに多くの中国家電企業を刺激したに違いない。今回の博覧会では電気炊飯器以外にもユーザーの痒いところに手が届くような革新的な製品が数多く現れた。美的が「スマート頭脳」を搭載させたスマート電気扇風機は夏、寝る時に長い時間扇風機の風に当たって寒くなりすぎたり、または止まってしまって暑くなりすぎるといったような問題を解決してくれる。この電気扇風機はスマートブレスレットなどの装着型デバイスとアクセスすることで、デバイスからユーザーの睡眠状態のデータを取得し、電気扇風機の風量と風速を調整することで、エアコンよりもより快適な睡眠効果を得ることができる。美的環境電気機器事業部研究センターの李殿飛総監は「この電気扇風機の快適な睡眠をもたらす風の曲線デザインは清華大学の研究グループによるもので、睡眠段階に対する気流曲線を最適化し、多くのユーザーによる体験をもとに修正を加え、最も快適な送風効果を実現している」と紹介した。


多くの中国人消費者が日本に行き電気炊飯器を爆買いしている

またTCLと海信(ハイセンス)は、洗濯機を長期間使用すると洗濯槽の内壁に大量の汚れなどが貯まってしまう衛生的な問題と、洗濯した衣類の残留洗剤を減らすことに着目し、新たな試みを行っている。TCLの白物家電事業部研究センターの席磊総経理は「洗濯槽の内外を完全に密封する技術を採用し、通常使用しているプラスチックの洗濯槽の底部分をさらになめらかなステンレス製に変えることで、汚れなどの残留を大幅に減少した。これは国内外の洗濯機業界でも初めての試みだ」と紹介した。また海信の洗濯機は内部にスピンエンジンを取り付け、洗濯機内部の水がスプレー方式で高速循環するようにし、洗濯効果を改善すると共に、洗剤の溶解度をアップし、洗濯後の衣類の残留洗剤の量を効果的に減らしている。

家電大手は生態圏への試み始める

今回の博覧会では国内の大手家電メーカーである海爾(ハイアール)が世界初の開放的で透明度の高い生態系「海爾スマートライフプラットフォーム」を発表した。ユーザーはAPPを通じて直接自分の製品ニーズを伝え、家電製品をオーダーメイドできる。生産システムはニーズに基づき、自動で生産、配送、組み立てまでの全工程サービスを完成させることができる。国内のハイエンド路線の家電ブランドである卡薩帝(casarte)もインターネット工場を通じて、ハイエンドユーザーの多様化するニーズを満足させることをその目標としている。卡薩帝中国エリアの宋照偉総経理は「真のハイエンド製品は価格が非常に高いということがその特徴ではなく、本当の意味でユーザー個々のニーズに完全に応えられているかどうかだ」と語った。

美的は今回、新たに研究開発した栄養、空気、水の三大分野にわたる22タイプのスマート化製品を展示している。しかし、家電業界でますます勢いが強まるスマート化傾向について、美的集団の胡自強最高技術責任者は「スマート化は必ず製品がベースとなる。優れた製品の機能がなければ本当の意味でのスマート化は実現しない」と強調した。京東グループの子会社である京東智能も同日、京東微連「智能家」戦略を発表し、東易日盛と協力して初のクライアントタイプのスマートホームソリューションを発表した。