中国、日本を抜きアジアNo.1のハイテク製品輸出国に


光谷北斗は2020年までにASEAN10カ国に北斗地上強化システムの基地局を1千カ所以上建設する計画
(出典:武漢光谷北斗公司公式サイト)

アジア開発銀行(ADB)のデータによると、中国は2014年に日本を抜き、アジアNo.1のハイテク製品輸出国になった。ADBが発表した「2015年アジア経済統合報告書」によれば、2014年、アジアのハイテク製品輸出で中国が占めるシェアは2000年の9.4%から43.7%に拡大した。一方、日本のシェアは2000年の25.5%から7.7%に縮小し、韓国の9.4%をも下回った。

中国は戦略的ハイテク分野で大きな進展

ADBは経済協力開発機構(OECD)のSTAN二国間貿易データベースに基づき、中国、日本、韓国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、その他のアジア諸国を対象に、1996年、2000年、2014年のデータを比較分析して上述の結論を発表した。

報告書は、製品を▽ハイテク製品▽ミドルハイテク製品▽ミドルローテク製品▽ローテク製品——の4レベルに分けている。ハイテク製品には航空宇宙製品、薬品、オフィス機器、通信設備、医学精密機器などが含まれる。

ADB副チーフエコノミストの庄巨忠氏は取材に対し、「中国は、世界クラスの高速列車、無人機、スマートフォン、原発などの技術開発において大きな成功を収めている。中国の新エネルギー技術も世界的にある程度の影響力を持つ。戦略的ハイテク分野である有人宇宙飛行、月探査プロジェクト、深海探査、スーパーコンピュータ、衛星測位システム北斗などでも重要な進展を遂げた」と指摘する。

東南アジアで大いに普及する中国ブランド

資料によると、2015年1月から11月にかけ、中国がマレーシアに輸出した航空機、宇宙機およびその部品、薬品、原子炉、電気機械電気製品といったハイテク製品を米ドルに換算すると、輸出総額はいずれも2014年の同期を上回った。

タイは北斗システムの初の海外ユーザーだ。北斗システムを運営する武漢光谷北斗控股集団有限公司(光谷北斗)は2011年より、タイの地理情報宇宙技術開発機関と衛星応用研究開発、災害防止対策、宇宙情報の産業化などの面で一連の協力を展開してきた。

2014年6月20日、タイ初となる北斗地上強化システムの基地局が完成し、運用が始まった。将来的には、タイに北斗の基地局220カ所を建設し、タイ全土を網羅する北斗地上強化システムを構築するほか、これを基礎としてASEANのその他の国にも手を伸ばし、ASEAN全体をカバーする北斗地上強化システムを構築する計画だ。

光谷北斗の柳鈞議董事長は、「北斗地上強化システムは、中国タイの協力プロジェクト『タイ地球宇宙情報災害モニタリング、評価、予測システム』に高精度の位置情報サービスを提供し、タイ衛星技術の業界応用と産業規模を全面的に引き上げる」と述べた。

東南アジアでは、中国の通信設備メーカーファーウェイ(華為)の知名度が非常に高い。特にここ数年、ファーウェイは東南アジア業務を急速に発展させており、知名度と影響力を高めている。2014年、ファーウェイの東南アジア消費者向け出荷台数は1000万台を突破した。

製品の付加価値向上が必須

庄巨忠氏は、「ADB報告書のデータはもっと慎重に見るべきだ。報告書の輸出シェアは、輸出総額を基に計算しており、付加価値は反映されていない。中国のハイテク輸出品の多くは中国で組み立てられただけで、高付加価値の部品は日本や韓国、その他の先進国から輸入している。ゆえに、中国のハイテク完成品の輸出量は大きいものの、そこに占める付加価値は低い。電子製品分野ではその傾向がより顕著だ」と指摘する。

そして、「自動車など、中国が輸出するハイテク製品の多くは、外国が投資した企業が、外国の技術を使って製造したもの。中国は将来、製造業強国になる必要がある。これには産業体系のアップグレード、バリューチェーンの川上へのまい進、自主的な科学技術革新能力の向上など、より多くの努力が必要だ」と語った。