中国の対外直接投資額が記録更新


天津港の様子

9月17日に行った国務院新聞弁公室記者会見で、商務部国際貿易交渉副代表の張向晨氏が明らかにしたところによると、「2014年、中国の対外直接投資額は1231億2000万ドル(約14兆8482億7200万円)で、過去最高を記録した。3年連続で世界3位につけ、初めて双方向投資の釣り合いがほぼ取れた」と述べたほか、2014年の中国対外直接投資の特徴として以下の8つを挙げた。

第1に、対外投資フローが急増、外資導入規模とほぼ釣り合う。昨年、中国の対外直接投資額は引き続き急増し、前年同期比14.2%増の1231億2000万ドル(約14兆8482億7200万円)で、過去最高を記録した。中国が対外直接投資統計データを公表し始めた2003年以来、12年連続で増加しており、2014年のフローは2002年の45.6倍、2002年~2014年の年平均増加率は37.5%に達した。昨年、中国の対外直接投資と外資導入額の差はわずか53億8000万ドル(約6488億2800万円)に近づき、双方向の投資額は、ほぼ釣り合いが取れた。

第2に、対外投資のストックが拡大、初めて世界トップ10入りを果たす。昨年末時点の中国の対外直接投資ストックは8826億4000万ドル(約106兆4463億円)で、前年末より2221億6000万ドル(約26兆7924億円)増加し、世界のFDI流出ストックに占める割合は2002年の0.4%から3.4%に上昇した。国・地域毎の対外直接投資ストックランキングでは、前年よりランクを3つ上げて8位につけ、初めてトップ10入りを果たした。

第3に、投資先が世界の約8割の国家・地域をカバー、投資地域が集中。昨年末の時点で、中国の1万8500の国内投資家が設立した対外直接投資企業は約3万社に達し、世界186カ国・地域に分布している。中国の対外直接投資先は極めて集中しており、昨年末時点の対外直接投資ストックの上位20位に入った国・地域が全体の90%を占めた。「1ベルト、1ロード」沿線国家に対する直接投資フローは136億6000万ドル(約1兆6473億円)で、中国の対外直接投資フロー全体の11.1%を占めた。

第4に、投資業界が多岐にわたる。第3次産業への投資フロー・ストックが7割を上回る。昨年、中国の対外直接投資は国民経済の18の業界をカバーし、第1次産業への投資フローは1.3%、第2次産業は25.3%、第3次産業は73.4%を占めた。昨年末の時点で、第1次産業への投資ストックは1%、第2次産業は24%、第3次産業は75%を占めた。投資ストックの規模が1000億ドル(約12兆600億円)を上回った業界は4つで、上から順にリース・ビジネスサービス業、金融業、採鉱業、卸売・小売業だった。これらの業界の投資ストックは累計6867億5000万ドル(約82兆8220億円)に達し、対外直接投資ストック総額の77.8%を占めた。

第5に、M&Aプロジェクトに注目、伝統的な採鉱分野の取引額が大幅に下落。2014年、中国企業の対外投資M&Aプロジェクトは595件、実際の取引総額は569億ドル(約6兆8621億円)。うち直接投資は324億8000万ドル(約3兆9170億円)に達し、M&A取引総額の57.1%を占めた。製造業、農林・水産・牧畜などの分野に関わる対外投資M&Aに注目が集まった。

第6に、株式投資、利益の再投資が8割を占める。負債性金融商品の割合が下がる。昨年の中国の対外直接投資フローのうち、株式投資と利益の再投資が1001億3000万ドル(約12兆756億円)で、フロー総額の81.3%を占めた。国外の資金調達コストが国内よりも低いため、企業が国外での資金調達により対外投資を行うケースが増えた。国内投資家が直接国外企業に提供する融資が減少し、負債性金融商品への投資が前年比40.7%減少した。

第7に、地方企業の投資が占める割合が初めて過半数に。中央企業・単位の対外直接投資を上回る。昨年の地方企業の非金融類対外直接投資フローは前年同期比50.3%増の547億2600万ドル(約6兆5999億円)で、全国の非金融類フローの51.1%を占め、初めて中央企業・単位の対外直接投資を上回った。

第8に、国外企業の投資先国への納税・雇用面での貢献が突出、対外投資のウィンウィン効果が顕著に。昨年、国外企業が投資先国に納めた各種税金の総額が191億5000万ドル(約2兆3094億円)に、現地雇用者数が83万3000人に達した。先進国の従業員は13万5000人に達し、前年末より3万3000人増加した。