中国の経済成長率を支えているのは何か

多くの機関が今年上半期の経済成長率が7%に達するのは難しいと一般的に予想していたころ、GDPが満足のいく答えを出してくれた。国家統計局が7月15日に発表したデータでは、上半期の国内総生産(GDP)は29兆6868億元(約593兆5830億円)で、前年同期比で7%の伸びだった。四半期でみてみると、第一期と第二期は同様に7%の成長率だった。国家統計局の関係責任者は「最終データは各界の予想より高かったが、中国のGDPデータは正確であり、過大評価されていない」と語る。


山東省にある縫製工場の様子

第三産業が牽引

上半期のデータから見て、一連の経済データの中で特に第三産業関連のデータが着実に上昇しており、上半期の「7%維持」の最大の功労者だ。統計局のデータでは、中国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業、2000万元は約3億9890万円に相当)の工業付加価値額は3カ月連続で反転上昇しており、成長率は4月の5.9%から5月の6.1%になり、6月は6.8%にまで回復している。「大衆による起業・革新」の情熱が高まるのを背景に、ハイテク産業の付加価値額は2ケタの成長率を維持し続け、一定規模以上の工業企業の平均成長率を5%近くを上回っている。

このほかに、上半期の小売業の売上高の総額は14兆1577億元(約283兆126億円)で、前年同期比10.4%増加している。さらに言及すべきなのは、現物商品、非現物商品問わず、ネット通販の売り上げが約40%に達するほど成長している。

中国国際経済交流センターの専門家である王軍氏は「この数年、中国の経済においての構造的変化が起きており、第三産業が第二産業に代わり経済構造の中核を担っている。データをみても、工業付加価値額、固定資産投資などの第二産業の多くのデータではある程度の回復はしているが、決定的な影響をもたらすには至っていない。むしろ第三産業の中におけるインターネット、科学技術、イノベーション関連の産業は主力として経済成長をけん引している。このことは、なぜ伝統的な経済指標が好転の兆しがない中で半年間の経済成長が依然として予測を上回ったのかを説明することができる。


山西省にある製造工場の様子

イノベーション企業の貢献は大きい

成長率7%の達成は決して偶然ではない。上半期、対外貿易、消費、起業などそれぞれに有利な経済政策が目まぐるしい勢いで出てきた。力強く、高頻度での支援・奨励策の発表、底を支える原動力を与えただけでなく、各業界が景気後退局面からの脱出に対する自信をますます高めるようになった。

4月末、国務院常務会議は日用品の関税の引き下げ、一般大衆が消費する品物の消費税対策を改善、通関地における免税店の増加、回復を含めた国内消費を刺激する5大措置を打ち出した。国民経済の「トロイカ」のエンジンとして、消費の経済成長における寄与度が向上し続けている。データでは上半期の消費が成長率に対する貢献度は60%に達し、昨年同期に比べ5.7%上昇した。

このほか、伝統的な貿易の強みが徐々に弱体化する中で、対外貿易の新たな強みを育成することが検討課題に上がっている。「1ベルト、1ロード」沿線国との経済、貿易の協力の向上を含めて、「長患い」の対外貿易に「良薬」を処方するため、国境を越えたネット通販の発展などの措置が引き続き打ち出されてきた。

王氏によれば、「これらの対外貿易競争の新たな強みはまだ未完成だが、効果の面から見れば依然として顕著に表れている。とりわけ中国と「1ベルト、1ロード」沿線国の経済貿易額は2ケタ成長を続けており、上半期全体的に後退局面にあった対外貿易の中の数少ないハイライトになっている」という。

アナリストの李慧勇氏は「『イノベーションと創業企業』の上半期の急速な発展が、GDPの半年間『7%維持』に大きな原動力を与えた。今年5月から国の『大衆による起業・革新』への態度が徐々にはっきりしてきており、継続して政策や意見を発表し、証明書類の発行や、地方保護主義の打破など、イノベーションと創業企業に十分なサポートを行ってきた」と話した。