連雲新城―海上CBDの構築で再び時代の表舞台に

中国に14ある沿海の経済技術開発区の一つでもある江蘇省の連雲港北東部に海を埋め立てて建設されたこの59㎡の土地に、まさに山、海、島、湖をまるごと集めた新たなタイプの海上CBD(中心業務地区)が立ち上がろうとしている。二千年前、徐福はここから東に向けて船出し、一衣帯水の隣国、日本に1つの新たな時代の始まりをもたらした。数百年前、『西遊記』はこの地で誕生し、中国の歴史上最も偉大な神話伝説が綴られた。千年の海風が吹き渡り、新たなシルクロード経済ゾーンと海上シルクロードが戦略的に交わって、その中枢の接点とならしめていることから、この港湾都市・連雲港は再び時代の表舞台に登場したのだ。

 

 

ベース-連雲港の新たな都市発展のコア

連雲新城は連雲港市の北東部に位置し、東は北固山に抱かれ、西は臨洪河口の湿地に接し、南は省道242号線に臨み、北には海州湾を擁する。総面積58.88?で、その内30%が埋め立て地だ。このエリアは東に連霍高速道路(連雲港と新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州霍城県を結ぶ高速道路)が走り、西は長深高速道路(長春~深?)と瀋海高速道路(瀋陽~海口)に接し、南には省道242号線と、隴海鉄道(連雲港~蘭州)が走る。

このため連雲港市CBDの重要な一部になっており、連雲港市の国際的な海浜都市建設の本陣、全市の沿海開発の主戦場であり、今後の市クラスの行政の中心の所在地でもある。エリア内は「湾と入江」をコアとして計画され、山と海の天然の回廊により、全体に山、湿地、海の風景を配置してレジャー旅行、ビジネスオフィス、ウォーターフロント住宅という三大エリアを造成している。

連雲新城開発建設本部の陳書軍本部長は「連雲新城の建設は連雲港市や江蘇省北部全体の発展に影響を与えます。計画では、娯楽レジャーエリアは主として海州湾国際会議センター、フードストリート、西墅湾などのプロジェクトが含まれており、ビジネスオフィスエリアには主に企業の本部、政府のレンタルオフィス、ブティックホテル、ビジネスマンションなどのプロジェクトが含まれ、ウォーターフロント住宅エリアは主として高層マンション、従業員用アパート、ゆとりのある敷地の住宅およびそれに付随する施設になります」と紹介してくれた。

 

チャンス―新シルクロード

貿易物流センター

隴海鉄道に沿って中国の東西を貫くこの広大な地域は新シルクロード経済ゾーンが打ち出されたことで再び世間の注目を浴びることになった。中央アジアとヨーロッパ、アフリカ大陸がつながるこの経済ゾーンは現在30億人を超える人口を有し、その数は世界の人口の半分を占めて、巨大で厚みのある潜在力を持つ市場を形成している。特に今まさに発展のただ中にある中央アジアには、エネルギーや農産品の面で中国経済と高度な補完関係があり、極めて大きなビジネスチャンスが存在している。

連雲港は海陸連動という独特な優位性によって、新シルクロードと海上シルクロードの交わる場所として「一帯一路」建設のコアなハブとなっており、「新シルクロード国際ビジネスサービスエリア、中央アジア五カ国ビジネス集積エリア」の設立に焦点を当てている。さらに11万6000㎡の海州湾国際会議センターをキャリアとして、新シルクロード投資フォーラムの永久会場所在地たらんと積極的に申請し、貿易、展示の2枚の経済カードを切ろうとしている。

企業の本部は税収、資本集積、消費刺激、雇用創出にとって強力な戦略的なドライブ効果を持っている。新シルクロード経済ゾーンを契機として利用し、中日韓自由貿易区パイロットエリア建設の力を借りて、海路と鉄路の連動など重層的な優位性で、連雲新城は今後さらに多くの優遇政策を打ち出す。主に長江デルタを攻め、中西部に奉仕して、連雲新城を地域的な企業本部の集積地、金融業、貿易物流企業の集積地にしようとしている。

しかし、連雲港の当面のビジネスサービス機能は依然として相対的には弱い。今回の連雲新城の建設は、レンタルスタイルのビジネスエリア、ビジネスサービスセンターなどをコアのキャリアとすることを通じて、中西部地域の港湾物流にサービスプラットフォームを提供する。つまり、連雲港を日韓東アジア資本が中国に入る正真正銘の橋頭保とし、長江デルタの発展した地域から江蘇省北部、山東省南部の後発地域に至る前線基地とし、中西部の産業グループの沿海地域におけるオフィスとすることだ。

 

蓄積―科学技術による

省エネ理念を実践・成功

海に依存して生まれたこの新都市では、開発と建設は一貫して科学技術と環境保護を特徴としている。その志は、新素材や新技術の応用に着目し、国内外の最も先端的で最も実用的な省エネ建築技術を大量に導入して、エコ型の科学技術新都市を作り上げるというものである。

総投資11億9000万元(約179兆6000万円)、全長6.5㎞の海浜大道に立って、連雲新城の関連プロジェクト責任者は記者に「この道路は2013年末には全線が貫通し、その内4つの区間は目標より1カ月早く完成しました。特徴はすべて新たに開発された工法を採用したことで、建設の工期を大幅に短縮しただけでなく、建設資金も累計で2億元(約33億2100万円)余り節約でき、全市のコファダム工事に歴史的な模範を打ち立てたのです」と紹介してくれた。

科学技術による革新の理念はここにも根付いている。ビジネスパークプロジェクトはベースとして基礎固形化技術、除塩技術、隔塩技術などを組み合わせて運用し、単体面積3万2000㎡超の軟弱な地盤の強化とそのアルカリ土壌の緑化に成功し、沿海部のシルト質の環境の緑化に貴重な経験を総括した。ビジネスサービスセンタープロジェクトではジオヒートポンプ技術によって電力を3分の2節約し、新たな工法によって3000万元(約4億9800万円)を超えるプロジェクト資金を節約した。これらにとどまらず、連雲新城は多くの大学とともに「産、学、研」の提携プラットフォームを構築し、「脱塩緑化、シルト質への杭打ち、コファダム処理、土壌掘削・入れ替え」など多くの課題を実践し成功した。

 

計画―グループ戦略で

住みやすい都市建設

目標が定まれば、それに焦点を当てて行動する。ウォーターフロントの「海、島、湾」という三大特色に立脚して、連雲新城計画はビジネス、娯楽レジャー、ウォーターフロント住宅というコアになる三大機能を拡大し、2014年に4つのグループ戦略によって独特な海浜の風情を備えた、エコで住みやすい都市を作り上げ、ビジネス客、レジャー客、住民の「三入駐」という目標実現を揺るぎないものにした。

①緑化工事グループ:「大樹を植え、大いに樹を植え」て、新都市の緑化を全面的に推進し、新都市の至るところを緑で覆う。2014年には12億9000万元(約214億2000万円)を投資して周囲を湖で囲まれた景観や重点プロジェクトおよび道路両側の緑化を全面的に完成させる。

②旅行レジャーグループ:8?のビジネスセンターエリアの旅行レジャーブロック、海州湾国際会議センターと西墅湾フードストリート、レジャー街など海州湾のファッショナブルな文化エリア建設はいずれも2014年に急速に推進される。アートプラザなどもすでに運営が始まっており、新都市の特徴と港湾の風情に富んだ魅力的なベイエリアを形作っている。

③ビジネスレンタルグループ:25億元(約415億1300万円)を投資した政府による2棟のレンタルオフィス棟のメインビルは2014年には10階を超え、ビジネスサービスセンターが全面的に完工して、連雲新城のビジネスレンタル総合サービス機能が目に見えて向上する。

④社会事業グループ:道路網や橋はほぼ完成し、学校、病院、コミュニティーサービスセンターが2014年内に建物の工事を終えて内装段階に入り、新都市の付帯施設がほぼ整う。

 

集合―戦略の積み重ねが

集積効果を発揮

「新都市を飛び出して新都市を見てみよう」。新シルクロード経済ゾーンと21世紀海上シルクロードの「一帯一路」、江蘇沿海地域の発展、長江デルタの一体化、東中西部地域提携モデルエリアの建設と自由貿易港申請など、多くの要素が積み重なった発展チャンスはどれも、全面的に深まる新たな改革が放つパワーとともに、この建設中の新都市に前例のない発展のチャンスを与えている。

国家の東中西部地域提携モデルエリア建設に立脚して、中西部地域の運輸、物流、東中西部地域の提携企業と社会組織による連雲新城本部経済区への組織設立を積極的に取り込むこと。サービス業の主要産業が集積した徐?新区は都市の付帯施設、ビジネス、生活やレジャーなどの面で徐?新区の産業と連動する効果的なつながりを創り出し、お互いに望ましい連動と協調発展の枠組みを創り出していくこと。

「中日韓自由貿易区」政策に引き続き「東方の海上シルクロード」に寄与する企業本部エリアの建設は、現有の連雲港国際ビジネスセンターが果たしている機能とつながることで、互いに補完し合って日韓とのビジネス連携を強化し、「ワンストップ」式サービス体系の効果的な運営を加速させ、まさに連雲新城の「海上CBD」の集積効果とサービス機能を発揮させることになるであろう。