消費者の権利と利益の重視へ
消費者権益保護法、20年ぶりに改正

1994年に初めて「消費者権益保護法」が公布、施行されてから20年が経過した。今年3月15日、改正された同法が正式に施行された。大幅に改正された新しい消費者法(以下、新法)では多くの内容が追加されている。この改正では消費者と事業者の平等という原則を具体化し、消費者の権利保護を明確にすると同時に、ネットショッピング、権利訴訟、懲罰的賠償などの重要課題についても規定された。

 

「代金の三倍返し」で権利保護を促進

消費者協会の法律顧問である邱宝昌弁護士は、新法は事業者の詐欺行為に対して「三倍返し」まで賠償範囲を拡大したが、その目的は違法経営に対する取り締まり強化にあるとしている。今まで消費者や法律関係者が指摘してきたように、悪徳事業者による偽物や劣悪な商品の販売、問題あるサービスという消費者の権利を侵害する行為に対する罰則が軽すぎた。新法では、消費者に対する詐欺行為に対する賠償額を3倍にまで拡大した。これで違法事業者にコストを負わせ、違法経営に打撃を与えることになる。

 

虚偽広告の出演スターにも連帯責任

数年来、スターを製品やサービスの広告塔にするのが流行しているが、業界関係者によるとテレビ番組やスターの宣伝する製品が不良品だったりする虚偽の広告が消費者に被害を及ぼしている情況に対し、新法では相応の規定が設けられた。1つには、虚偽広告を行った事業者に対する責任を強化したことで、もう1つは広告に出演した人の責任を明確にしたことである。社会団体やその他の組織、個人の広告で宣伝した商品やサービスが消費者に損害を与えた場合、出演者は連帯責任を負うことになる。

 

7日間以内のクーリングオフ

新法の規定によると、インターネット、テレビ、通信販売などの形式で販売した商品について、消費者は7日間以内であれば理由がなくても、理由を説明せずに返品することができる。このことについて北京の張家華裁判官は、新法の大きなハイライトであり、消費者に一定期間内に契約を解除する権利を付与したものだと紹介している。しかし、消費者は返品の送料を負担しなければならない。国際的な慣例により、7日間のクーリングオフ期間を設けているが、事業者の利益とバランスをとるため、4つの場合については理由のない返品はできない規定となっている。

 

顧客の個人情報保護の義務

新法では、はじめて消費者の個人情報の保護を事業者の義務とした。新法では事業者が収集、使用する情報については、収集、使用する目的、方法、範囲を明確にし、消費者の同意を得なければならない。また事業者とその従業員は収集した消費者の個人情報を厳格に保持し、漏えい、販売あるいは他者へ不法に提供することはできないとしている。新法は、現実的に個人情報の漏えいやデマが氾濫している情況に対し、事業者が個人情報を収集、使用する原則を規定し、収集した個人情報の機密保持義務、商業的情報の発送制限など、消費者の権利保護を重視している。

 

事業者の「覇者条項」も禁止

飲み物の持ち込み禁止、物品の紛失に店は責任を持たない、事業者が最終的な解釈権を持つ……など、ずっと契約条項に存在していた「霸者条項」も禁止された。今年3月15日に施行された新法では、明確に「霸者条項」の無効が定められ、消費者の権利が保持されるとともに、個別の悪質事業者に対しても規制がなされた。北京市工商局合同処の関係者は、「新法では、事業者による条項、通知、声明、店頭掲示などの方式で消費者の権利を排除、制限したり、経営者側の責任を軽減、免除したり、消費者の責任を重くしたりする消費者に対する不公平、不合理な規定を禁止した」と紹介している。

 

偽物取り締まり人にチャンス

ある取り締まりのプロは「細かく新法を読むと、以前存在していた法律的なグレーゾーン『偽物と知って偽物を買う』は今後さらに明朗化されるだろう。新法ではプロの偽物取り締まり人を消費者のカテゴリの外に出しておらず、サービスを受けるまたは商品購入の行為があったどうかに注目するように変わっている」と述べている。

プロの取り締まり人である王海は、先月「今年は大きなチャンスだ。食品、薬品の分野に200万元(約3289万円)を投入し、2000万元(約3億2895万円)を取り戻す」と言う。消費期限切れ食品、表示の適法性、添加剤の含有量など食品の安全問題は彼やそのチームが注目している分野だ。北京地区のプロの取り締まり人は現在少なくとも300~400人おり、そのうち地方出身者が3分の2を占めている。