4億人を超える中産階級
『グローバル・ウェルス・レポート』は2012年の全世界の個人世帯の総資産の伸びが8.1%で、最近の6年間では最も高い伸びを示したとしている。その主な要因は株式市場の好調さ、つまり証券の形で保有する資産の増加が10.4%に上ったことで、これにより全世界の資産総額は111兆億ユーロ(約1京4886兆円)という記録的な水準にまで押し上げられた。
アジアは金融資産の伸びが全世界で最も高い地域で、日本を除いたアジア全体では16.7%の伸びを示し、全世界平均の水準を遥かに超えている。中でも中国はまたしても筆頭を占め、国民の純資産総額は日本に次いでいる。
専門家は、中国が前面に躍り出たのは過去10年の急速な経済成長で1人当たり資産が大幅に増加し、大量の中産階級の一群が生まれたことに関係していると指摘している。レポートでは2012年は全世界で中産階級の人数が1億4000万人近く増え、その中でも中国の占める割合が最大で、中国人の中産階級人口はすでに4億1300万人に達しているとしている。
中国国際経済交流センター情報部の徐洪才部長は「中国では、資産形成の過程で一部の人が先に豊かになりました。その中で、民間経済の活力が十分に発揮され、一部の民間企業家が個人の知恵と能力で資産を蓄積したのです。他にも、ここ数年の不動産の成長も多くの人に資産形成のチャンスを与えました」と指摘している。
アリアンツレポートによると、全世界の資産に占める中産階級の顔ぶれには顕著な変化があり、今日では中産階級の2人に1人はアジア人であり、この趨勢は今後も続くだろう。
世界的に低い1人平均資産額
中国大陸の国民資産総額はアジア第2位であるとはいえ、1人当たり純資産の面では世界的には明らかに立ち遅れており、開発の進んだ新興地域とは大きなギャップがある。統計によると、ごく一般的な中国人の平均資産は4720ユーロ(約63万3000円)で、マレーシアの7810ユーロ(約104万7000円)、韓国の19180ユーロ(約257万2000円)、そして台湾の65080ユーロ(約872万8000円)より明らかに低い。
中国大陸の1人当たり純資産額の低さは歴史と国情によるものだ。徐洪才部長は「中国は人口が非常に多いため、平均するとそれぞれの金融資産額は自ずと低くなります。また、中国はGDPの成長速度がかなり速いとはいえ、経済発展のスタート地点が低く、親から受け継いだ資産が乏しいのです。今後、進むべき道は多くの課題に面しており、中国経済は依然として苦難に満ちた坂道を上っている過程にあります」と指摘している。
現状からみると、金融資産の伸びの大部分は少数の人々に集中しており、貧困階層に属する一部庶民の1人当たり金融資産は極めて少ない。徐洪才部長は「所得分配の問題に注意を払う必要があります。所得分配のギャップを解決し、生産要素(土地、労働、資本を含めた財とサービスの生産に用いられる資源)の配分方式を変えることに注意を払って、生産要素に占める労働力の価値を高めるべきです」と注意を促している。
膨大な資産総額に隠れた懸念
アジアの金融資産の伸びは全世界平均の水準を遥かに超えているが、成長の過程には、個人負債の伸びがすでに資産の伸びを上回っているという、楽観できない要素もある。アリアンツのミカエル・ハイゼチーフエコノミストは「信用貸付に依存して資産を伸ばすモデルは続かない」と警鐘を鳴らしている。
アリアンツの試算によると、2000年以降、中国の信用貸付伸び率の平均は18.2%まで押し上がっており、日本を除いたアジア地域全体の平均を遥かに上回っている。ただ、この現象は2012年には多少改善され、調整政策と経済運営の減速の影響を受けて中国の信用貸付ニーズは18.6%に鈍化し、純資産総額の伸びは逆に19.8%に上がっている。
徐洪才部長は「中国は依然として発展途上の国であり、GDPが日本を超えたとは言っても、トータルウエルスアセットはまだ日本を下回っています。1人平均資産額で見ると、中国と先進国との間には明らかなギャップがあり」「中国大陸の金融資産がアジア第2位という現実は冷静かつ理性的に見る必要がある」と語っている。そして、「成長の過程では、不公平な所得分配の問題に注意する必要があります。政府は所得再分配、三次分配を正しくリードし、それによって共に豊かになるという目標を実現しなければなりません。また、産業構造の問題も考える必要があります。中国にはまだ、産業結合の仕組みの弱さ、技術水準の低さ、制度体制の革新能力の欠如等の問題が残っています。体重が同じでも筋肉質の人もいるように、同じような財産でも、金の含有量は違うのです」と語っている。
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