高齢化の課題に対応しサービスの向上を加速
高齢者福祉が内需拡大の新たな視点に

李克強中国国務院総理は先日、国務院常務会議を主宰し、健康サービス産業の発展促進について議論研究を行った。会議では、生活水準の向上につれ、大衆の健康サービスに対するニーズは増大し続けており、高齢者福祉サービスの向上を加速しなければならないと指摘した。専門家は、中国は既に人口高齢化が急激に進む段階に突入しており、福祉サービス業の発展を着実に推進することは人口高齢化、民生の保障と改善に積極的に対応するだけでなく、今後内需を拡大し、雇用を増加させ、経済の転換、バージョンアップを推進する上で重要な視点だとしている。

  

サービスのニーズは大きい

中国民生部が発表した2012年社会サービス発展統計公報は、60歳以上の高齢者人口が1億9400万人で、総人口に占める割合は14.3%だとしている。権威筋の試算では、2025年には3億人を突破するだろうとしている。

中国国家発展改革委員会社会司の責任者は先日、「全体的に見ると、中国の福祉サービス業はまだ発展の初期にあり、福祉サービスと商品の供給が不足していることは明らかです。現在、高齢者のニーズがひっ迫している生活のケア、長期の介護、精神的慰安、文化娯楽などのサービス分野の発展はいずれもかなり緩慢です」と語っている。

専門家は、高齢者サービス業の発展を加速することは高齢者のニーズを満足させるのに必要な措置であると同時に内需を拡大し、経済社会の持続的な発展を促進する重要な出発点だとしている。

福祉サービス業ばかりでなく、医薬医療、ヘルスケア、フィットネスを含む中国の健康サービス業全体の発展の余地と潜在力はいずれも非常に大きい。中国国家衛生計画委員会計画・情報司の侯岩司長は、「中国の健康サービス業はすでに相対的に整った産業体系が形成されてはいますが、国内総生産の5%前後を占めているに過ぎません。米国では2009年には17.6%に達しています」と述べている。

 

健康サービス業は内需拡大、

産業構造の調整に有効

業界人は、生活水準の向上に伴い、ますます多くの高齢者がより高いレベルの「心身の健康を主にした」福祉サービスを求めており、高齢者向けのサービス、ヘルスケア、文化娯楽業、ヘルスツーリズム、金融保険業、心理カウンセリングなどの産業は大きな発展のタイミングに直面している、と指摘している。

中国国際経済交流センター情報部の徐洪才部長は「膨大な数に上る都市、農村住民のさまざまなレベルの福祉などの健康サービスに対する国内のニーズは巨大で、内需主導型の経済と社会の発展戦略に合致します」と語っている。

専門家は「福祉サービス業は中国の公共サービスの中では一貫して弱い部分でした。現在、中国のサービス業の比率は同等の発展レベルの国々と比較して10ポイント余りも劣っており、早急な改善が必要です」と指摘している。

徐部長は「健康サービスは基本的には公共サービスの範疇に属するもので、政府による投入の増加、管理の強化、良質で低価格の健康サービスの提供が必要です」と語っている。

中国財政部財政科学研究所の劉尚希副所長は「健康サービス業は大きなサービス業という概念で捉えるべきものです。この業界を発展の重点に置くことは経済構造を調整するという考えを反映しています」として、「政府が主導的役割を果たすべきで、真に経済成長に拍車をかけることができ、それには先端医療、リハビリ体験や健康カウンセリングなどの新興のサービス業態も含まれ、これらは当然市場化されるべきです」としている。

徐部長は「重工業と違って、健康サービス業は労働集約型産業で、大量のエネルギー資源を消費する必要がありません。この産業の健全な発展は中国の産業構造の適正化にとって有利に働きます」と語っている。

 

政策による先導、支援が鍵

専門家は「各レベルの政府が、誰もが基本的な福祉サービスを享受できる状態を保障することが必要です。とりわけ社会的な組織が福祉組織を運営することをサポートし、公共の福祉組織の改革を推進して、関連の指導、サポートおよび支援政策を完備すべきです」としている。

中国国家発展改革委員会社会司の責任者は「福祉サービス業の発展をサポートする政策体系の構築、完備が早急に必要」とし、「福祉サービス業の主要分野は初期投資が比較的大きく、専門人材に対するニーズが高いうえ、回収の周期が比較的長い。さらに現段階では高齢者の消費や支払能力に限界があるため、民間資本が参入したがらず、福祉サービス市場の発展を鈍いものにしているので、早急に積極的な指導とサポートをする必要があります」と指摘している。

徐部長は「国は福祉などの健康サービス産業に対するサポートを強化し、金融面や土地などの面で必要な優遇措置を提供すべきです」として、「この他にも、政府は社会資本や外資が国内の健康サービス市場に参入することを大いに奨励し、健康サービス業に対する投入を増やすことで都市・農村住民に多様なレベルのサービス商品を提供すべきです」と提案している。

さらに徐部長は、「対照的に、国外の健康サービス業はサービス理念や技術面で国内の業者が学び、採り入れるべき多くの価値を備えています。国と地方は国外の実力ある健康サービス機関の国内投資を奨励すべきです。健康サービス業の健全で秩序ある発展のために、政府は業界標準を制定して監督を強め、この産業が安全で優れたサービスを提供できるよう保障しなければなりません」と語っている。