知的財産権の意識向上にいかに取り組むか

「小明は朝起きると『栄養抉線』を飲んでから登校し、休み時間に、おやつとして『小完熊』を食べた。下校して家に着くと、母親がちょうど『周住牌』で洗濯しており、父親は『濾州老酒』を味わい深げに飲んでいる。誰も食事を作ってくれないので、小明は仕方なく『康帥傅』ラーメンを煮て、『白事コーラ』を飲んで・・・」。最近、このような有名ブランドの「パクリ」をからかうミニブログの発言が、ネット上で広まっている。こうした状況に対して、国家工商行政管理総局は先ごろ、全国的に「ブランド不正利用」撲滅のため特別な法執行活動を展開すると決定した。

 
(左)雲碧、(右)雪碧

玉石混交で、見分けられず

陝西省西安市に住む姚雪さんは、この手の「パクリ商品」を買ってしまったことがある。今年の新年に、一家でテレビを見ながら瓜子(グアズ、お茶受けのスイカやカボチャの種)をかじっていた時だ。注意深い母親が、テーブルの上にあるのがいつもの「洽洽」ではなく、「治治」であるのに気付いた。「こんなわずかな文字の違いは、買う時になかなか気付かないわ。この手の商品は質が良くなくて、体に害があるんじゃないかと心配だわ」と姚さんは言う。

「商標の主な役割は、商品とサービスの見極めがつくというところにある。したがって、似通った商標を同じような商品やサービスに使ってはいけないのだ」と、中国政治法律大学知的財産権研究所所長の来小鵬教授は、人民日報の取材に答えた。また、「ブランドの不正利用は、正常な市場の秩序を乱すだけでなく、本来の権利者の知的財産権に損害を与え、消費者の合法的権益にも損害を与えるものであるから、法的に規制しなければならない」との見解を示した。

 

正規登録の「パクリ商品」も

多くの「パクリ商品」は確かに小さな工場の「三無商品(製造日、品質合格証や生産許可証、製造メーカーの3点の表示がない商品)」であるが、なかには堂々と真似している場合もある。

記者は、国家工商行政管理総局商標局の主催するデータベース「中国商標網」で「治治」と入力し、発見した。「申請人『万雲松』の『治治』は、商標権の有効期限が2019年10月27日までで、登録区分には『加工した瓜子』も含まれる」と登録されている。「治治」以外に、「脉劫」(正規品は「脉?」)、「雲碧」(正規品は「雪碧」、スプライト)なども、工商局に登録されている。ただし、「周住」(正規品は「雕牌」)、「??抉?」(正規品は「??快?」)などは申請しているが、商標としては無効とされている。

「商標登録申請の過程で、1つの商標が有名ブランドを模造しているかどうか、法律に違反しているかどうかに関し、商標審査員各人によって商標に対する異なる判断基準があるので、あいまいな部分が存在するのは確かだ」。中国知的財産権弁護士サイトの首席弁護士である徐新明氏は、「現在は商標に関する法律が整備されていない状況で、偽ブランドが容易に法の網の目をくぐっている」と見ている。

 
偽物と本物の見分け方を市民に説明する中国工商総局の職員

国民の意識向上が不可欠

実は、中国の『反不正当競争法』(日本の「不正競争防止法」にあたる)は、無断で有名な商品特有の、似た名称やパーケージを使用するのは、購入者に、それが有名商品であると間違った認識をさせる行為であり、不正競争に属するものであるから、関係の経営者は相当の法的責任を負わなければならない、と明確に規定している。

しかし、なぜ依然として「李鬼(偽物)」ブランドが市場に氾濫し、その上、国家の登録申請を通ってしまったのか? 分かっているのは、「パクリ商品」の主要な市場は地方都市・町・辺鄙な農村地域であり、監督管理のアンテナにはめったに触れることがなく、さらに、多くの地方監督部門が、かなりあいまいな態度をとっているということだ。

「『パクリ商品』は、地方経済に素早く相当な収益をもたらすため、管理部門もパクリ商品に対して、片目をつぶるのだ」。この現象に長年注目してきた四川外国語学院の劉国強教授は言う。「この類の商品は、商標登録を止められることは少ないどころか、地方によっては、形を変えて奨励されているのだ。関連の職能別部署の監督管理の欠如の責任を追及すべきだ」。

来教授は、「法規と管理制度の整備が待たれるほか、企業自身も権益保護意識を持つべきだ」との考えを示す。来教授はまた、「『パクリ商品』を根本から取り除くことができるかどうかは、全国民の知的財産権の意識向上、法律体系の整備、法執行の力量強化にかかっている」と語る。