中国経済の減速をどう見るか

中国経済は2012年に減速、安定、反発(第4四半期)という曲線を描いたのち、2013年第1四半期のGDP成長率は対前年同期比でまたもや鈍化し、7.9%から7.7%に下降した。「第4四半期の上昇、第1四半期の減速」は人々に疑問と懸念を生んでいる。

投資、消費がやや減速

中国経済景気監測センターの潘建成博士はこの現象を統計データの角度から分析している。彼はまず「第4四半期の上昇、第1四半期の減速」は単純に経済が第4四半期に上昇し、第1四半期に減速したと理解するだけではいけないと強調し、次のように語っている。

「実際上、第4四半期は第3四半期の7.4%から7.9%へとかなりの幅で回復し、逆に第1四半期は7.9%から7.7%へと鈍化しましたが、鈍化の幅は比較的小さく、全体として見れば現在の経済状況は昨年の第3四半期よりは良好です。中国経済景気監測センターの企業景気調査のデータでみると、昨年の第3四半期から今年の第1四半期まで、3四半期の変化は工業以外のほぼすべての業界で第4四半期には多少上向き、第1四半期は減速するという同じような変動の特徴を示しています。最もそれが激しいのはホテル、飲食業で、第1四半期の景気状況はかなり大きく鈍化しました。これは前述した状況を補完して、第1四半期は投資と消費がどちらもある程度鈍化した状況を実証するものです」

 

投資の影響力が鈍化

「第4四半期の上昇」の原因について、潘建成博士は主に不動産市場の活況とインフラ投資の伸びによるものだとして「2012年の第4四半期以降、不動産の成約面積と販売額は大きく変動し上昇していますが、それが経済全体に与える影響は大きなものがあり、社会全体の投資の成長を促進しただけでなく、ある程度の消費の成長ももたらしました」としている。

第4四半期の上昇のもう1つの原因は、インフラ投資の伸びが加速したことだ。彼はまた「鉄道と道路だけを例に取ってみても、昨年第4四半期の鉄道への投資は通年の半分近い金額に達し、道路への投資は通年の投資額全体の3分の1に近い数字を記録しています。各地の空港、都市の軌道交通、高速鉄道を含めた建設も加速されました。これも第4四半期以降の経済回復の重要な原因です」と語っている。

しかし、投資はなぜ2013年の第1四半期に鈍化したのか? 潘建成博士は「私個人としては、製造業に対する投資が引き続き鈍化していることと関係があると見ています。投資の成長変動曲線を見ると第一次産業と第三次産業に対する投資が伸びており、第二次産業に対する投資の伸びが鈍化していて、第1四半期は鈍化の度合いが更に大きいことが分かります。私は第1四半期に投資の経済成長に対する貢献が弱まったのは、主に生産力過剰を背景とした製造業の成長が明らかに鈍化したことによるものだと考えています」と語っている。

消費面でみると、春節前後の1月と2月は消費者心理が多少緩んで上向いた状態だったが、3月になると消費者心理が冷え込んできた。潘建成博士は「投資、消費と輸出に関わるデータは基本的にどれも第4四半期に上昇し、第1四半期に鈍化しています。そのためGDPが第4四半期には上昇し、第1四半期は鈍化することになったのです」と見ている。

 

7.7%は低い数字ではない

人々は中国経済の高度成長に慣れ、8%より低い成長率にはどうしても不安を感じ、成長が「鈍い」と感じてしまうようだ。では、成長の速い、遅いはいったい何で判断するのか?

中国国家統計局の盛来運スポークスマンは「成長、雇用、物価、収入および構造調整面の総合的な状況から判断して、第1四半期は成長率が多少鈍ったとはいっても、全体的に見れば順調なスタートを切り、着実に進展している。特に第1四半期は世界経済が依然として深刻な調整局面にあり、回復が遅れていることを考えれば、7.7%という成長率は世界経済の情勢からみて低い数字ではない」と述べている。

2013年の残り3四半期の経済の趨勢について、大多数の経済学者や企業家はいずれも、今後投資は安定して増加すると予測している。世界経済には依然として多くの不確定性があるとはいえ、中国社会科学院人口・労働経済研究所の蔡昉所長は「仮に外需の状況に大きな変化がないとしても、中国経済の成長ニーズは十分です。2013年第1四半期のGDP成長率7.7%の内、4.3ポイントは最終消費が貢献したものであり、2.3ポイントは総資本形成が牽引したもので、1.1ポイントは貨物やサービスの純輸出による貢献です。ですから、2013年は外需に大きな変化はないでしょうが、十分な雇用を確保しさえすれば仮に投資が多少減少してもGDPの成長率が潜在成長率を下回ることはないでしょう」と見ている。

蔡昉所長は「8%以下のGDP成長率は許容されるべきものです。実際、このような成長率は正に中央の予測に合致しており、適度な減速は経済発展モデルの変換に有利でもあり、中国の経済成長バランスの再調整を実現するものです」と語っている。