中国はより理性的に貿易摩擦に対応する

中国は過去4年間で、合わせて328件、総額531億ドル(約54兆500億円)の貿易救済措置を提起された。2013年第1四半期には、12の国から22件、総額9億6300万ドル(約980億円)の貿易救済措置を提起されている。これらのデータは、中国がすでに世界で最も深刻に貿易救済措置の提起を受ける国になったという事実を示している。中国商務部公正貿易局の宋和平調査専門員は先日、中国商務部が対外貿易摩擦を受けて行った記者会見で2013年の情況について言及し、中国に対する貿易救済措置は2012年より多少増加するだろうと語った。

売る物が増えれば貿易摩擦も深刻に

欧州委員会が中国の太陽光発電パネルの「双反(反ダンピング、反輸出補助金)」に対する予備裁定結果を出すまで、余すところ1カ月余りとなった。2012年にEUは中国の太陽光発電パネルに対する「双反」調査を提起し、中国の太陽光発電パネル産業の発展に深刻な影響を与えた。統計によると、2012年の中国の太陽光発電パネル製品の輸出は前年比で35%も減少している。

 

この件ばかりではない。(チャート参照)

対外経済貿易大学国際経済貿易学部の姚新超教授は、この現象には実は客観的な原因があり、「中国が3年連続で世界の貨物貿易最大の輸出国、第2の輸入大国になり、売る物が増えれば増えるほど、貿易摩擦などの問題を引き起こす可能性がますます大きくなっている」と見ている。

さらに注目すべきは、欧米などの伝統的な発展市場に続いて、新興市場国家も中国に対する貿易救済措置を提起し始めたことだ。

 

積極的に応訴して最大の権益を争うべき

絶え間なく拡大する貿易摩擦に直面して、中国はどのように対応すべきか? 中南財経政法大学経済学部の李小平教授は「企業は必ず積極的に応訴すべきだ」として「もし輸出企業が反ダンピング調査を提起され、応訴しなければ、それはダンピングの存在を認めたに等しく、最終的には必ず敗訴することになります」と語っている。

WTOの規定では、企業が敗訴するということは懲罰性の高額の関税受け入れを意味する。だが勝訴すれば、比較的低い単独税率、場合によってはゼロ税率の適用を受けられるのだ。

中国の輸出企業はすでに規定を利用して積極的に応訴することの重要性をますます深く認識しているとともに、メリットも理解し始めている。

2011年、ブラジルが中国から輸出された亜鉛めっきコイルに対する反ダンピング調査を提起した。中国鉄鋼協会の組織的な協調の下、武漢鋼鉄がリーダーとなって積極的に応訴し、専門の法律事務所を代理として招聘し、速やかに調査アンケートと関係文書を提出した。2012年末、ブラジルはこの反ダンピング調査に対してゼロ税率の裁定を下し、武漢鋼鉄だけでも9000万元(約14億7000万円)近い懲罰関税を免れた。

ますます多くの中国企業にとって、組織化して集団で応訴し、勝訴の機会を争うことはすでに共通の認識になっている。2012年初頭、EUは中国の陶磁の食器・厨房機器に対する反ダンピング調査を展開した。泉州市対外貿易局は陶磁商会と応訴のための連携会議を招集して、企業に対してトレーニングを行い、企業の積極的な応訴を発動した結果、最終的にEUは応訴しなかった企業に対しては関税を58.8%とする予備裁定を下したが、応訴した企業は26.6%という単独税率を勝ち取ったのだ。

宋和平調査専門員は、中国商務部が「四体が連動」して作用するメカニズムを構築し、商務部、地方の商務主管部門、商協会と当該企業が相互に協力して、それぞれがその責務を果たした結果、かなり望ましい成果を得たと紹介している。

 

摩擦は企業に革新を迫る

「貿易摩擦は短期的には中国にとって不利なものですが、長期的に見ると、中国の商品に研究開発や、品質とサービスをより重視することを迫るものです」。姚新超教授はこのように語っている。

唐山晒陽太陽能科学技術公司はこうした必要に迫られて新商品の研究開発を進めた好例だ。王亜経営総経理は「EUの『双反』の影響を受けて、それまでの考え方ではヨーロッパで新たな顧客を獲得することが非常に難しくなり、自社の特色ある商品開発が必要になったのです。現在は1000万元(約1億6400万円)をかけてソーラールーフを開発生産し、競争力のある差別化を通じて市場を開拓しています」と語っている。

広東五星太陽能股?有限公司は、これとは別の「自己練磨」方式=市場そのものの移転を選んだ。会社の廖羽国際マーケティングディレクターは「アフリカ、ラテンアメリカなどの市場はいずれも太陽エネルギー商品に対するニーズが大きいため、会社はそのニーズに合わせて専用の改善プログラムを提供しており、顧客は非常に関心を持っています」と語っている。

姚新超教授は品質とサービスを向上させると同時に、企業は国際貿易ルールと慣例に対する研究を強化するべきだと考えている。

同様に、政府の役割も欠かせない。姚新超教授は、政府が関連情報を積極的に企業に提供し、「企業に早めに情況を理解させ、早めに準備させる」必要があるとしている。商務部では目下、より多くの企業に貿易摩擦の動向をタイムリーに理解させ、貿易救済ルールを理解させ、対応方法を把握させるという貿易摩擦の早期警戒メカニズムの強化に注力し、政府の公共情報サービスと貿易救済措置に関する知識の普及活動をしっかり行おうとしている。