個室が毎日ガラ空き 9割の宴会が予約キャンセル
高級レストランが庶民派に鞍替え

最近、中国国内の飲食業の消費熱が下がり続けている。中国物流購買連合会・中国国家統計局サービス業調査センターが発表した最新データでは、四半期の飲食業最新購買担当者指数は2カ月連続で下落し、50%以下で推移しており、飲食業事業活動予想指数は42.3%まで下がり、データでの調査開始以来、最も低い水準となった。ある分析では、飲食業の購買担当者指数の下落は、中央が提唱する「倹約の励行」に直接的関係があるとしている。これに対し、業界関係者は、「倹約励行」は無駄を抑制するだけで、消費を損なうことはないと指摘する。飲食関連企業は発展構想と様式を転換し、サービスのモデルチェンジを行い、大衆化飲食サービスシステムを構築することに力を入れるべきである。

高級飲食店に予約キャンセルの波

中央が、「8項目規定」という方法に変更すると発表してから、多くの都市部の高級レストランに注文数の減少・宴会予約キャンセルなどの状況が出現した。海南省ホテル・レストラン協会の陳恒秘書長によると、多くの飲食店での年越しの食事の予約がキャンセルされ、一部レストランでは半数の個室がキャンセルされたということだ。これらキャンセルされた宴席は、ほとんどが政府機関と企業の忘年会・新年会の宴席だった。

報道によると、広州で仕事関連の宴会を売りにしているホテルの個室は、予約率が20%にも届かない。あるレストランの主人は、「うちには22の個室があるが、今は毎日のようにガラガラだ。現在は9割以上の商用の予約が、キャンセル、あるいは個室でなくホール席に変更になった」と説明した。

国家統計局のデータでは、今年1~2月の中国の飲食業の収入は4030億元(約6兆5000億円)で、前年同期比8.4%の成長だったことを示している。その中で、基準額以上の企業(機関)の飲食収入は1278億元(約2兆600億円)で、前年同期比で3.3%下降し、成長率は史上最低となった。中国飲食店協会(China Cuisine Association)の調査報告では、中央が倹約に勤めることを励行し、見栄による無駄遣いに反対をアピールして以来、全国で60%前後の飲食業者にキャンセルが相次ぎ、その中でキャンセル率20%以上の業者が10%を超えたのだが、その業者の大部分は高級レストランを星付きホテルだった。

いびつな繁栄は長続きしない

飲食業の購買担当者指数の下降について、「8項目規定」によるものだと結果付ける人もいる。これに対し、業界関係者は、「中央が提唱する『倹約励行』は確かに高級商用宴席を減少させたが、飲食業利用減少の根本原因ではない。『倹約励行』の風潮は、高級レストランに対して短期的に動きを取れなくさせているが、大量の見栄による浪費・公費による消費を抑制し、当該業界のいびつな繁栄を浮き上がらせた。長い目で見れば、飲食業界の安定的発展にとってプラスになる」と指摘した。

商務部前部長陳徳銘氏は、「飲食の浪費を抑制することは、飲食業界が回避してはいけない社会的責任だ。派手な飲食、無駄なぜいたくは、ある種の飲食業者にいびつな繁栄をもたらすかもしれないが、決して長続きはしない。庶民への配慮が第一という精神を貫き通さなければ、理性的な消費による中国の飲食業の持続可能な発展は実現できないだろう」と指摘する。

「『中央8項目規定』が実力のある業者へ及ぼす影響は小さく、本当に影響を受けているのは高すぎる付加価値をつけて、過度のパッケージングをしている業者である」と、南京国佳文化伝播有限会社の周義玲取締役は述べている。これは飲食業が機構の調整を行うきっかけとなり、市場の需要に適した確かなポジションにある企業にとっては、吸収合併やモデルチェンジの好機である。

飲食業関係者は、「経営コストのアップこそが経営難の主な原因です」と示した。広州市越秀区飲食業商会の長喩子会長は、「給料・店舗の賃貸料・水道光熱費や同質化経営の現状は、目下の高級レストラン業界が苦境に陥った最も主な原因である」と述べた。関連データによると、目下、飲食業の年間賃貸費用の増加幅は8%前後である。2012年上半期の労働力コストは10%前後の上昇で、25%に達するところもある。食材コストは平均約10%増加している。

大衆化サービスシステムの構築

「民は食を以って天と成す」。専門家は、「飲食業は高級商用宴席を売りにして暴利をむさぼるという考え改め、多くの庶民へのサービスをしっかり文章にし、労働効率・厨房の標準化・製品の標準化などを通してグレードアップを図るべきだ」と指摘する。陳氏は、「多くの飲食関連企業は実情に即した成長の考え方と成長様式に転換し、大衆化飲食サービスシステムを構築することに力を注ぐべきである。各地のビジネス主管部門と業界団体は朝食事業、地域社会のファースト・フード、職場団体の食事を含む庶民の飲食を飲食業成長の重要なポイントとして捉え、チェーン経営の一括配送サービスの成長を加速させ、集約的に飲食業の成長レベルを高める必要がある」と強調した。

現在、各地の高級レストランはプライドをかなぐり捨て、自ら中級の料理や庶民的な料理を開発するとともに、個室の最低注文金額の廃止・飲み物の持込許可などの措置を打ち出し、庶民市場の中から利益を生み出すことを掘り起こし始めた。中国国内で筆頭の民営レストラン「湘鄂情」は最近、全面的な転身、つまり大衆化飲食市場への参入を宣言し、高級海鮮料理をメニューからはずした。広州市飲食商業会の区又生会長は、「広州のレストラン業界が『大店舗から小店舗へ、高級から中級へ、個室からホールへ』というスローガンを提出した」と説明した。

専門家は、「飲食の消費量を高めるには、サービスの近辺から工夫をする必要がある」と指摘する。陳氏は「マクドナルド、ケンタッキー、台湾から来た永和も含めて、電話をかければすぐに家まで配達してくれる。しかし、中国国内の多くの飲食業者はいまだにやっていない。彼らもそれを学びとり、やってくれることを望む。我々は今年も様々な方法によって消費、特殊な家事等のサービスなども含んだ、みんなのためのよりよいサービスを奨励していく。中国は商品小売総額に関して、今年は14%前後の成長率を保っており、まだ一定の見込みはある」と述べた。