PMI、盛衰ラインの上方を維持するも連続2カ月の減速
マクロ経済はなお低迷、調整の段階

国家統計局サービス業調査センターと中国物流購買連合会(CFLP)が近日発表したデータでは、2月の中国製造業購買担当者指数(PMI指数)は50.1%で、前の月と比べて0.3ポイント下がった。専門家は、この反落は主に春節(旧暦の正月)の影響によるもので正常な変動であり、変動幅は過去の同期よりは小さいとみなしている。PMI指数のデータは、盛衰の境界線の上方に位置し、製造業はなお拡張のセクションにあることを表しており、さしあたりの工業生産の形勢は基本的に安定しており、企業の今後の市場予測も比較的楽観的で、全体的に見ると経済の動向は安定した範囲内にある。

 

季節的要因が下落の原因

データでは、2月のPMI指数は5カ月の最低である50.1%まで減速した。連続して2カ月緩やかな減速が見られたことを示している。

専門家によると、「PMI指数はマクロ経済の重要な先行指標であり、2012年10月以来、中国のPMI指数は連続5カ月間、臨界点である50%を上回ってきたが、今年のこの2カ月連続のPMI指数の小幅な減速は、製造業拡張の傾向が少々衰えていることを意味している。特に中小企業のPMI指数は前期より下降し、中小企業の生産経営活動の力が衰えていることを示している」という。

中金公司(China International Capital Corporation;CICC)首席でエコノミストの彭文生氏は、当面、経済成長の回復基調は確保できないと考える。主な項目別指数は程度の差はあるが、どれも下降しており、今後、再び上昇する活力が幾分弱っていることを示唆している。その中の新規輸出受注指数は連続2カ月収縮期にある。従業員指数は0.2ポイント下降し、連続9カ月の収縮期にあり、成長率回復のための内在力が不足していることも表しているが、安定成長政策を安易に止めると言ってはいけない。

「2月のPMI指数前月比が下降し、境界線に近づいたので、業界人の一部が憂慮しているのかもしれない」。中国人民大学経済学院の劉元春副院長は人民日報記者に、「その中では、季節的要素が主たる原因である」と語った。具体的には、1つ目は、今年の春節は2月で、業務日数が少なく生産活動が減少したことによるもので、祝祭日の影響が比較的大きい。2つ目は、購買担当者へのアンケート調査そのものが月ごとの調査であるので季節の影響を受けやすく、データの変動も大きくなりやすい。また、集計方法から見て、データが季節的条件の調整を経たものであっても、現在はまだ祝祭日などの要素の影響を完全に取り除く方法はないのが現状だからだ。

シーソー状態の出現は正常

エコノミストたちは次のように指摘する。春節前後の季節的な変動要素、および最近は、サンプル数量が820社から3000社に拡大したことがデータ解読の難度を大きくしている。また、この先数カ月、PMI指数のデータが一定期間ごとに上昇、下降を繰り返すシーソー状態が起こったとしてもきわめて正常なことである。経済形勢全体がよい方向に向いている背景のもとで、経済活動に一定の反応が生じて、経済全体が低迷し、調整段階にあるということなのだ。

彭氏は、「春節が2月だった過去の5年には、総指数は平均1.3ポイント下降しており、当月の総需要と生産調整がもたらしたPMI指数の小幅な反落は何も予想外のことではない」と分析する。中国物流・購買連合会の特約アナリストである張立群氏は、「2月のデータは1月の反落態勢の続きで、継続した小幅の下降は、経済成長率が回復して安定に向かうことを示唆している」と考えを示した。

「我国のPMI指数は去年9月から現在に至るまでずっと臨界線の上方にあり、あいだに小幅な上昇あるいは下降の形勢が出現するのは全く正常なことだ」と劉氏は言う。また、「全体的に言うと、中国の経済はまだ完全に回復状態になっていないが、世界の経済回復の中では先頭に位置している」と。

劉氏はさらに、「中国は去年5月から一連の安定成長政策を採っているが、この政策のパワーはあまり大きくなく、比較的緩やかなため、中国経済が中・低速水準の成長率となっているのも想定内のことだ。同時に、中国自身の経済構造などに存在する根深い問題によっても、以前のように迅速な繁栄の可能性は少ないだろう」との考えを示した。

2013年、経済全体はさほど悪くならない

専門家は、次のように考える。今年、マクロ経済は幸先のよいスタートをきっており、安定的な傾向を保ち、需要の基礎もさらに強化され、需要と供給の関係も改善された。中央は、マクロ経済政策の連続性と安定性を保持するには、適性と有効性を極力引き上げ、適宜適度な準備や微調整を行い、政策の調和を強化する必要があると強調している。経済発展の基礎と原動力は比較的しっかりしており、消費と投資には新たな成長の余地がある。

「今年の経済全体の形勢はそれほど悪くはない」。劉氏は言う。先進国の経済形勢と世界のPMI指数から見ると、世界経済は絶え間ない改善と快方に向かうプロセスの中にある。世界経済予測では、今年は2010年の全体的経済予測と比べ、特に製造業では、大幅によくなるだろうということだ。

彭氏は、「中国のこの2カ月の製造業の拡大形勢減速は、決して季節的要素の影響範囲を超えてはいない。春節後の準備資産などによって、3月分の企業受注見込みは著しく回復し、内需拡大は目下、製造業の拡張維持の主な原動力となっている。最近の工業系企業の利益回復・不動産投資回復、並びにインフラ投資が成長推進を支えるという状況の下、短期間のうちに製造業と経済全体は安定成長の趨勢を維持できるようになるだろう」との考えを示した。

また、張氏は、「総合PMI指数の変化と市場ニーズの動きから、将来の経済動向は全体的に比較的安定した状態を示すだろう」と予測した。