世界に誇る「食の安全」を目指す
「国家食品薬品管理監督総局」が誕生!

「ニュージーランド産粉ミルク」にジシアンジアミドが含まれていた事件や、最近クレームのあった「貝因美粉ミルク」の虫の混入事件まで、乳製品に関わるマイナスのニュースは消費者をナーバスにしている。2013年の両会では、「食品の安全」をいかに確保するかが代表委員たちの関心の焦点となった。中国では食品の安全は何故宇宙工学より難しいのか? 多くの代表たちは業者の無節操と管理監督の弱さが主要な原因だと考えている。彼らは中国がより強力な監督総局を設置し、食品の生産、流通、使用のそれぞれの段階で管理監督を行い、世界に食の安心を与えることを相次いで提案している。

 

農産品には「身分証明書」が必要

全国人民代表大会代表で山東薬学科学院院長の凌沛学氏は「食品添加剤の基準について、国外と同様にリストがあるべきだ。現在ある3000以上にわたる食品チェック基準は多過ぎるゆえに、全国的な統一基準が必要だ」と述べている。


長沙市工商局望城分局の係員が管轄区域内の食品スーパーマーケットで
食品の安全検査をしている様子(撮影/龍弘涛、新華社)

全国人民代表大会の江西省代表団で、正邦集団会長の林印孫氏は「養豚を例に取ると、種豚、飼料、防疫、食肉処理、コールドチェーン輸送から最終的に末端の市場に至るまで、正邦集団ではすべての節目で完全制御を行っています。生きた豚が解体された後、作業員は一つひとつの肉の塊にバーコードを貼り付けなければなりません。このバーコードはつまり豚肉の『身分証明書』です」と語り、健全な農産品の質の安全と食品の安全を追跡するシステムを早急に作り、農産品にも「身分証明書」を付すことを提案している。

全国人民代表大会代表の中国移動広東公司総経理の徐龍氏は「『QRコード』や無線センサネットワーク、GPS即位システムなどの総合的な技術手段を用いた『食品トレーサビリティ』システムを作り、『食品の安全』を保障すべきだ」と提案している。

「統一された」安全管理へ

全国政治協商会議委員の瀋?さんは「『セグメント化された管理、包括的な制御』の方式はすでに現在の食品安全のニーズに合っておらず、食品安全管理監督部門は『スリム化』して効率を高め、食品安全を管理監督する適切な切り口を正確に特定すべきだ」と考えている。

中国国務院の馬凱秘書長は先日、「現在国務院の各部門では、例えば職能上の越権行為や職能欠如の問題が深刻で、職責がまたがるなどの現象が多く、行政の効果が高くないなど、職能の位置づけや組織の設置、責任分担、行動のメカニズムなどの面で多くの問題がある」と指摘している。

このような観点から、今回の両会期間中、中国農工民主党中央、中国国民党革命委員会中央、中国致公党中央はそれぞれ食品の安全管理監督体制の完備などの問題に対して提案を行い、食品管理監督の現状改革の必要性を強く主張した。

人々を喜ばせたのは、今回の国務院の組織改革で、要望に応えて「国家食品薬品管理監督総局」が誕生し、これまでのセグメント化された管理を継ぎ目なしにつなげる方向に向き、食品安全管理監督体系が「統一」されようとしていることだ。

有害食品の販売を犯罪に

全国人民代表大会代表で三全食品の会長である陳澤民氏も、食品工業は良心に基づいた仕事で、必ず消費者に責任を負わねばならず、「もし食品生産企業が自分たちが生産した商品さえ食べたがらないと言うのでは、道徳の欠如、良心の欠如です」と語っている。

全国人民代表大会代表で河南農業大学校長の張瓊女史は、農薬や化学肥料を必要以上に使用することが一般的になるにつれて、今では農村の土地の汚染はすでに深刻な社会問題になっており、土地の汚染は必ず食卓の汚染を生み出すとして「土地の集約化を急ぐことが土地の汚染を効果的に防ぐ1つの方法です」と述べている。

全国人民代表大会代表で河南省高級人民法院の張立勇院長は今回全国両会に参加し、有毒有害食品製造販売罪など5つの罪名を『刑法』で元々定められていた『社会主義市場経済秩序破壊罪』から『公共の安全に対する危害罪』に組み替え、違法分子の違反に伴う代償を引き上げ、国家が食品安全問題に厳格に取り組む決心を刑事立法の面から旗幟鮮明にするという1通の意見書を提出した。

ネットでの食品販売と購入が盛んな問題も、両会代表の食の安全に対する懸念材料となっている。全国政治協商会議委員の浙江省政治協商会議・姚克副主席は現在、グルメサイトの盛況と矛盾しているのは、「ネットで販売される食品の安全性に対する管理監督がほぼ手付かずの状態にあることだ」と考えており、『ネットでの食品販売の安全管理監督対策を強化する意見』を提案した。