中国経済は今後も「一人勝ち」できるか

2013年に入り、中国経済は底打ち回復するか否かが注目されている。欧米経済の回復力が乏しく外需が縮小しているなかで、対外貿易が中国の経済成長の足を引っぱるとする見方もある。また、経済がグローバル化している今日、中国経済が「一人勝ち」の状態を保つことは難しいという専門家もいる。したがって、中国はまず自国に目をむけ、改革の深化によって活力を増し、構造調整によってポテンシャルを見い出すと同時に、高度なグローバル化のなかで、世界の主要な国家との経済協調を強化し、目下の世界情勢に共同で立ち向かうべきである。

運命共同体

2012年を振り返ると、世界経済は灰色だった。EUの国債は危機が深刻化し、米国経済の回復は遅く「財政の崖」に直面している。新興経済諸国の経済は反落し、西アジアや北アフリカの情勢は不安定である。このような世界では中国も明るい状況にはなく、経済下降に悩まされている。

専門家によると、2013年、世界経済の回復への動きはまだ弱く、外需の不振が続いており、対外貿易の反落が中国経済に影響している。シティバンク(中国)の研究および投資分析主管である邱思甥氏は、対外貿易は今年の中国経済の成長に貢献しないだけでなく、さらに全体の成長率を1%引き下げる可能性もあるが、そのもっとも大きな理由はヨーロッパ経済が衰退の局面から脱出していないことにあるとしている。

中国経済は開放が進むにつれ、世界経済にますますリンクするようになり、運命共同体として、すでに緊密な相互依存の構造を形成している。「対外貿易は以前のように経済成長の大きな推進力にはなり得ない」と中国国際経済交流センター情報部の徐洪才副部長は指摘し、昨年の中国の輸出は経済成長に対してマイナスの貢献となったが、これは明らかに欧米経済低迷の影響によるものとしている。欧米経済は構造的問題があり、短期的には解決が難しいため、中国の対外貿易が以前のように10%以上成長することはもはや期待できず、今後の対外貿易は7%以下の成長が通常の状態となるだろう。

 
浙江省義烏市の雑貨は国内外で人気だ。イラク人バイヤー(左)が義烏国際商貿城で買い付け中(撮影/潭進、新華社)

大元が滅びれば末も滅びる

「覆巣之下、復有完卵不乎」(「ひっくり返った巣に完全な卵が残っているだろうか」。大元が滅びれば末も滅びるの意)という。改革開放以来、中国と世界との連携は日々緊密になっており、相互の影響はますます大きくなっている。専門家によると、米国のGDPが1%減少するごとに、中国の輸出は5%ずつ減少するという。

徐洪才副部長は、「現在の世界経済は、人の中に自分があり、自分の中に人がいるという状態で、鎖国経済なんておとぎ話だ。中国と世界経済との連携度は輸出入額からも見てとれる」という。中国税関の統計では、2012年の輸出入総額は3兆8667億6000万ドル(約360兆6140億円)である。

中国はグローバル経済に参入することで多くの発展のチャンスを得たが、同時に国際金融危機というマイナス面の打撃をも受け続けている。2008年の世界金融危機では、世界経済の衰退が中国経済にも大きな影響を及ぼした。過去1年間、欧米の金融危機や発展途上国の量的緩和政策や貿易保護主義などのすべてが、中国の輸出と国内市場にショックを与えた。

専門家は将来、国際的な経済環境が複雑に変化し、グローバル経済はなお深刻な構造調整の中にあり、中国の経済成長維持を取り巻く外的環境は依然として厳しくなると予測している。

財政部の朱光耀副部長は、「2013年中国経済の外部の発展環境は極めて難しくなり、世界経済の不安定、不確実性はさらに増すだろう。特に現在、中国の主要な輸出先である欧米経済が困難な調整段階にある。ユーロはまちがいなく衰退するだろうし、米国は『財政の崖』の処理というリスクを抱えている。もし米国が『財政の崖』問題をうまくコントロールできなければ、米国経済に直接にGDP4.8%減の打撃を与え、中国経済に波及し成長率を1.2%押し下げる可能性がある」としている。

 

協力して解決から挑戦へ

国際情勢の大きな試練に対して、朱光耀副部長は、「われわれはまず自国のことを解決し、改革を進め、構造調整を維持し、経済成長構造調整とインフレ抑制をうまく処理し、ソフトランディングすると同時に、中国経済をさらに開放し、さらに持続可能な方向に推し進めなければならない」と指摘している。

また徐洪才副部長は、「われわれは目の前の現実を認め、受け入れて開放を進め、開放を通じて内部体制の改革までボトムアップしなければならず、経済構造の調整をスピードアップしてさらに改革を進め、GDP成長の質と効果を向上させ、都市化、工業化、情報化、農業の現代化の4つの建設を進めなければならない」としている。

専門家は、今後の発展はグローバルな視野を持つ必要があるという。朱光耀副部長は、「われわれは世界の主要国家の経済政策と協調し、お互いに協力し合う精神で現在の世界が直面している試練に立ち向かわなければならない」と述べた。

徐洪才副部長は以下のように提言している。「グローバル経済の発展と整備について、われわれは積極的に参加し建設しなければならない。国際的ステージにはわれわれの声と訴えを上げて、勇気を持って責任を果たさなければならない。われわれは先進国と良性の相互関係を持ち、合理的に責任分担し、各自の長所を発揮すると同時に、自由貿易区の建設をさらに強化し、アジア太平洋諸国、発展途上国とさらに緊密な関係を築かなければならない」。(敬称略)