世界で最長の高速鉄道 全行程8時間
夢の京広高速鉄道が開通!

2012年12月26日午前9時、銀色のCRH380AL型高速列車が時間通りに北京西駅を出発、世界最長道程の高速鉄道―京広(北京~広州)高速鉄道が全線開通した。8時間後には、2298kmを跨ぎ、終点の広州南駅に到着する。京広高速鉄道は、北は北京を起点に、石家庄、鄭州、武漢、長沙を経て、南は広州に至り、最短走行時間は、従来の最速普通列車に比べ、12時間30分も短縮された。この5年で、それまで最速20時間30分かかった北京・広州間を8時間で駆け抜けたのだ。

高速鉄道地図―最長の「一縦」を建設

26日の北京はまさに10年ぶりの厳寒であったが、G801号の列車内で、王さんはホットコーヒーを飲み、Wi-Fiでネットにつないでミニブログを更新し、イヤホンで抑揚のある音楽を聴いていた。その王さんと同様に、列車の中の多くの人々は、もうひとそろいの服装を準備している。8時間後に彼らを迎えるのは「花城」広州の20℃近い気温である。

中国の「中長期鉄道網計画」では、「『第十二次五カ年計画』の期間中に『四縦四横』の高速鉄道網を建設する」と示している。「四縦」とは、「京滬(北京~上海)高速鉄道、京広高速鉄道、哈大(ハルピン~大連)高速鉄道と東南沿海旅客専用線である。「四横」とは、徐蘭(徐州~蘭州)旅客専用線、滬昆(上海~昆明)旅客専用線、太青(太原~青島)旅客専用線、滬漢蓉(上海~成都)旅客専用線である。

さしあたり、中国高速鉄道網「四横」のすべてが、部分的に建設されている。また、京滬高速鉄道と哈大高速鉄道の相次ぐ開通に続き、京広高速鉄道の建設は「四縦」のうち「三縦」がすでに建設されたことを示している。

京広高速鉄道の全長は2298km、北京、石家庄、鄭州、武漢、広州のそれぞれで、すでに建設が終わり開通していた高速鉄道とつながり、「三縦」のうち最長の「一縦」として全線が開通した。

「京広高速鉄道の全線開通により、中国の高速鉄道網に一応の目鼻がついた」と、鉄道部関係責任者は言う。中国960平方kmの大地に、中国高速鉄道網の最新地図が繰り広げられ始めた。

現在までに建設が終わり運行している高鉄の総距離は9349kmに達し、世界第1位の座に就いた。「中長期鉄道網計画」の要件に照らし、2020年までに中国が建設しようとしている旅客専用線は1.6万km以上に及ぶ。

 
京広高速鉄道の美しい「女性アテンダント」(撮影/祝偉)

経済地図―三大経済圏を貫く

京広高速鉄道は28都市を通り、6の省をつなぎ、環渤海経済圏・長江デルタ経済圏・珠江デルタ経済圏などの3大経済圏と武漢都市圏・中原都市群・関中都市群・長株潭都市群などの大都市群をつないでいる。

これまでの最速普通旅客列車に比べて、北京~長沙間の最速は5時間40分で7時間20分ほどの短縮、北京~武漢間は最速4時間29分で5時間10分ほどの短縮、北京~鄭州間は最速3時間30分で3時間ほどの短縮、北京~石家庄間は最速1時間7分で1時間ほどの短縮である。

「京広高速鉄道が河南、湖南、湖北の中部3省を跨ぎ、中部地域の人々の時間と心理的距離を大きく縮めたことは、鄭州・長沙・武漢の『都市同期化』を推進し、3省の都市化・工業化・情報化の歩みを速め、中部の経済発展を助けるのに有効であろう」と湖南師範大学の朱翔教授は指摘している。

「高速鉄道建設がもたらす付帯施設の建設など、沿線都市がGDP増大の様式へモデルチェンジするのを促進するだろう」と、中国工程院(中国の技術分野の最高研究機関)会員の王夢恕氏は語る。

 

生活地図―8時間生活圏を構築

「広州と北京の往復はとても便利になりました!『美食愛好家』の1人としては、朝に北京で炸醤麺(肉みそ和え麺)を食べ終えてから、昼にはもう鄭州に着いてあんかけ麺を食べることができ、夕飯時にはさらに広州でワンタン麺にありつける!」大学生の姜燕さんは興奮しながら言う。

以前は、北京から広州に行く列車は1日5本しかなく、たとえ平日でも北京広州間を往復する旅客が口々に「チケット入手が極めて困難だ」とため息をついていることが常であった。京広高速鉄道の開通は、千里の道を日帰りできるという願いをかなえただけでなく、「チケット入手困難」の歴史にもピリオドを打った。

ところで、切符代は乗客の大きな関心事だ。調べてみると、北京~広州は高速鉄道の最も安い2等席料金で865元(約12500円)、最も高いビジネスクラスの料金で2727元(約39300円)。これに比べ、広州~北京の空の便は約1700元(約24500円)で、京広高速鉄道の最低料金865元の2倍ほどだ。

京広高速鉄道の上空を飛ぶ中短距離および長距離の航空運賃を問い合わせてみると、26日当日の最低チケット料金はおしなべて高速鉄道の2等席料金より低いことが分かった。影響を受けているのが明らかな路線は広州~鄭州、広州~石家庄、武漢~北京、鄭州~北京だ。例えば武漢から北京のチケットは86%オフの150元(約2200円)という「白菜価格(超安値の意味)」で売られているが、高速鉄道のチケットは最低でも522元(約7500円)なのだ。

「行程500km以内の旅客にとっては、飛行機に比べ高速鉄道のほうがやはり吸引力がある」と北京交通大学経済管理学院の趙堅教授は言う。

ほかにも、2012年1~11月期に高速鉄道が民間航空輸送の旅客・貨物総取扱量に与えた影響は0.3ポイントに達し、総取扱量が減少した路線は15%に達したということだ。高速鉄道の中国各地での開通・運行に伴い、1000km以内の高速鉄道が民間航空に与えた打撃は約20%の客席率減少というものだ。さらに多くの民間航空のローカル路線が運航停止を余儀なくされるであろう。「高速鉄道は民間航空業に打撃を与えたが、一方では民間航空の旅客輸送負担の軽減もしている」と中国民間航空総局の李家祥局長は述べている。