上海CITM(国際旅游公益会)
旅行企業がリードする業界の新たな発展

「旅行業界のオリンピック」と称される2012年中国国際旅游交易会(CITM)が、先日上海で幕を閉じた。統計によると、今回のCITMには国内1582ブース、国際・海外932ブースが出展され、業界人と一般人を合わせて延べ10万人が来場した。会期中に7054件の契約が結ばれ、成約金額は8億元(約104億6000万円)となった。今回のCITMで特に目を引くのは、旅行企業が主役の座を占めただけでなく、業界の発展をリードする活力を示したことだ。

 
華僑城ブース(撮影/欧陽勇)

旅行企業が交易会の主役に

現在、中国はすでに世界で3番目のインバウンド(海外からの旅行)、アウトバウンド(海外への旅行)を擁する国である。正に世界最大の国内旅行市場となっており、世界の旅行業界から日々高い関心が寄せられている。これまでの交易会と比べ、今回参加した海外のバイヤーは韓国、ロシア、米国など40の国と地域から1200人以上に上り、歴代の交易会の中で最も多かった。

今回の交易会では出展する業界も引き続き多元的な展開を見せており、カバーする業界はさらに拡がった。政府の観光部門以外にも、旅行社、観光地、ホテル、航空会社、クルーズ会社、旅行サイトや予約サイト、旅行用品など、旅行企業の出展意欲が明らかに高まり、旅行企業の出展比率が70%に達して、すでに今回の交易会の主役の座を占めている。

イメージ重視からビジネスの場へ

CITS(中国国際旅行社)総社、香港中国旅行社、海航旅業、首都旅游集団、中国国際航空、c-tripなど、各分野で最も実力を備えた大型旅行企業は軒並み大きなブースを設けた。従来の交易会のように現場で企業の発展ぶりを展示したり交流を深める以外に、一部の旅行企業はこの機会を利用して新商品を発表し、プロジェクトを契約するなど、より多くのビジネスチャンスを求めていた。


米国ブース(撮影/趙珊)

CITS総社は交易会で中国銀聯と全面的な業務提携契約を交わした。金融面と旅行サービス面での双方の優位性を結びつけ、共同で旅行金融サービスの「新たなフラッグシップ」を造成し、旅行業の支払いの近代化、容易性の増加を推進して旅行者への場所を選ばない支払いサービスをさらに向上させるのが目的である。今回の提携は国内外の旅行商品の開発、支払いの革新、マーケティング、旅行情報サービスなどの業務をカバーしている。CITS総社は国際旅行における豊富な経験と世界的なネットワークの優位性を備えており、これにより中国銀聯が取り扱うネットワークは都市部と農村部に拡大されるとともに海外130以上の国と地域に拡大される。双方は2013年の春節期間中に共同で台湾とハワイへの1000人海外旅行プロジェクトを推し進め、中国人観光客の世界旅行の体験を後押しする。

目を引く新業態と新商品

近年、リゾートが中国旅行業の新しいスタイルになっており、多くの業界人から中国旅行業の「ブルー・オーシャン」と称賛されている。高くそびえるシュロの樹、漂う白い雲、観光客の満面の笑顔……交易会の現場ではこうした人々を楽しませるリゾート的な要素が華僑城の展示エリアの「ブース」に詰め込まれている。華僑城は現在全国に13の総合旅行リゾートを展開しており、これまでに訪れた観光客は累計で述べ2億人に達し、アジアで唯一、5年連続で世界の観光地グループのトップ8に入っている企業だ。華僑城は今回の交易会では傘下のテーマパーク、生態観光ゾーン、文化芸能、フェスティバル、ホテルやビジネスセンターなどの商品型を統合して、生態リゾートと都市型エンターテイメントリゾートの二つのシリーズを設け、中国国内の至る所のリゾート商品を配置していた。


中国国際航空ブース(撮影/趙珊)

海航旅業のブースでは、人より少し大きいくらいの1機の赤いヘリコプターの模型が多くの人の目を引き付けていた。交易会にヘリコプターが登場したのは初めてだ。すでに中国旅游集団のトップ20で6位を占めている海航旅業は傘下に大新華運通(グランドチャイナエクスプレス)ホールディングス、海航ホテルグループ、カイザー旅游、首都航空、金鹿公務機(ビジネスジェット)、首航ヘリコプターなどのメンバーを従えている。首都航空は新たに杭州-珠海-海口、西寧-貴陽-海口などの多数の路線を運行する予定だ。2013年1月の営業運行開始を予定しているクルーズ船ハンナ号は三亜、天津などを母港としてベトナム、韓国などへ特色あるクルーズ旅行路線を運行する。海航旅業は他にも国民旅行カードを推進しており、廬山風景区管理局と共同で廬山如意カードを発行し、498元(約6500円)を払ってカードを買えば、生涯無料で廬山に入山出来るようにしている。今後海航旅業は中国国内各地で国民旅行カードのプログラムをスタートさせる予定だ。

中国国際航空のブースで、記者は最新機種、先進的な机上設備や真新しいVIPラウンジ、無料の専用シャトル、出入国手続きとセキュリティーチェックの迅速化サービス、バゲージスルー(注)などの旅客サービスを理解し、iPadブースでは国際航空の機内無線LANなどのサービスを体験した。中国国際航空は航空旅客市場を重視するとともに有望視しており、こうしたことも今後の市場発展の支えとなるだろう。

オンライン旅行企業も旅行のスタイルをリードしている。アリペイは多くの旅行企業と提携したワイヤレス決済のプラットフォームを展示している。これは携帯電話でチケットの予約を確認するだけで、オンライン旅行予約プラットフォームが自動的にアリペイとの間で安全な決済を実現するものだ。「カードリーダー」を通して携帯電話でリアルタイムの支払いもできる。

旅游交易会という窓口を通して、旅行企業が業界の主役としてますます重要な推進作用を果たしつつあることが容易に理解出来る。