全世界が中国の携帯電話技術に注目
中国のモバイルユーザー、年内に1億突破

「世界電気通信・情報の日」である5月17日の前夜、大唐電信集団副総裁でチーフエンジニアの陳山枝氏は新華社記者の取材を受けて次のように話した。

「現在、中国のTD-SCDMA(中国独自の第3世代=3G=携帯電話システム)は商用規模のプロセスの中で、ユーザーの爆発的増加と産業チェーンの好循環が始まった重要な転換点にある。関連産業は急速に成長しており、その発展の見通しに全世界が注目している」

また、「今年の年末には、TD-SCDMAユーザーが中国のモバイルユーザーに占める割合は10%を超え、1億の大台に迫るか突破する可能性が高い」と予測している。

 

■規格

国際競争に深く参与

 中国の通信史100年の中で、初の中国独自の知的財産権である国際規格TD-SCDMAの10年ほどの標準化・産業化の過程を振り返ると、重大な道標的意義を持つさまざまなキーポイントにはいつも大唐電信の姿があった。

 1998年6月、大唐は国際電気通信連合(ITU)にTD-SCDMA技術を提出した。想像を絶する努力の結果、2000年TD-SCDMAはITUから3G国際規格に承認された。

2007年4月、韓国最大手携帯電話キャリアのSKテレコムが構築した初めてのTD-SCDMA海外テストベッドが韓国ソウルで正式に開通し、大唐はこのテストベッドのために全システムの無線製品及び付帯工事サービスを提供した。

2010年10月、大唐は主要企業として、中国主導の、大唐が中核的基礎特許を擁するTD-SCDMA-Advancedを4G国際規格に合格させることに成功した。

 「TD規格の提唱者であり産業化の主導者として、大唐は産業界と共同で中国工業界を動かし、史上初の数千項目近くを有する独自知的財産権の技術特許の産業化に成功した。世界で初めてモバイル環境におけるTDD(Time Division Duplex)方式の大規模配備と商用化の道を切り開いたのだ」。陳山枝は誇らしげな様子で語った。

 

■産業チェーン

中国パワーの台頭

 TD-SCDMAは商用化3年で、中国GDPを2380億元押し上げ、43万人以上の直接雇用をつくりだした。

 今のところ、全世界のどの国のTDネットワークの建設でも、第1候補に選ばれる製造業者は大唐、華為、中興などすべて中国企業だ。「TD-SCDMAの産業化は川上、川下の企業に大きな躍進をもたらし、ローエンド製造から高付加価値のハイエンドへ製造への脱皮を実現。

引き続き産業構造のレベルアップをリードして、中国の通信産業全体を「Made in China」(中国生産)から「Created in China」(中国開発)に転身させた」。

陳山枝氏は、TD-SCDMAの産業化は中国の新世代情報技術などの戦略的新興産業に発展をもたらし、インターネットやモバイルインターネットの発展を効率的にサポートしたと考えている。

 大唐はTD産業連盟を設立後、すべてのTD-SCDMA技術の権限を提携パートナーに委譲し、他のメーカーがTD-SCDMA産業に参入する敷居を大幅に低くした。

後から参入した企業は、既存の技術プラットフォームをベースに、迅速にTD産業チェーンの各部分の研究開発と産業化業務に進出し、TD産業化全体の歩みを加速させた。

現在、すでに200を超える企業がTD-SCDMAサプライチェーンに参入し、中国企業を主導として、グローバル企業が幅広く参与した多層的な産業勢力構造を形成している。

 

4Gの展望

世界の業界が幅広く認可

 「半端で無用」なTDD周波数帯は世界的に人気がなく、ヨーロッパ主導の4G規格FDD(Frequency Division Duplex)周波数帯の競売では「無料プレゼント」とされていた。しかし今日では、全世界でTDD周波数帯戦略が注目されている。

TDD周波数は全世界の周波数スペクトル(周波数帯)の競売で徐々に人気が上昇し、フィンランド、ノルウェーなどの国で、TDD周波数帯の価格はFDD(NTTドコモなどが進める携帯電話システム)の周波数価格を超えた。

 中国のTD-SCDMA産業化成功の経験とユーザーベースにより、TD技術はさらに幅広い国際的地位を確立することとなる。さらに国際的なネットワークの全面的な認可を獲得したことで、さらに多くの国際的主流メーカーが続々と加入することとなり、関連企業の陣営は日に日に巨大になっている。

 陳山枝氏は、これから10~15年以内に、TD技術は地球規模で商用化され、世界の第4世代移動通信(4G)市場で30%以上のシェア占めるだろうと予測する。「大唐には、TD産業4G発展の主導力を持っているという自信がある」。

 あるデータによると、今年4月までに、世界ではすでに7つの通信事業者がTD-LTE(TD-SCDMAの拡張規格)の商用サービスを正式に開始し、15を超える通信事業者がTD-LTEの商用計画を明確化し、37のテストベッド(試験用プラットフォーム)を設立するという。

 

【補足】

 TDは中国が独自に研究開発したTD-SCDMAを指す。

 TD-SCDMAとは「時分割複信-符号分割多元接続」と訳される無線通信の技術規格である。中国が提出し、国際協力で完成した規格で、中国モバイル業界の初めての試みであり、中国の第3世代移動通信の発展にも貢献した。

 欧州・米国がそれぞれ提出した3G規格との競争で中国が提出したTD-SCDMAが勝利したことは、正式に世界3G規格の1つとなり、中国が移動通信領域で世界のリーダーとして肩を並べたことを示している。

プランの主な技術は大唐の手に握られており、その設計はTDD(時分割複信)の、1つの周波数帯の時間領域方式を参考にしている。