人民元国際化は「最大の課題」を解決できるか

 

課題は人民元資本勘定の開放

 人民元資本勘定の開放は人民元国際化過程の重要目標であるとともに、最も実現が難しい目標でもある。資本勘定開放の過程とその実現後に、金融市場の安定したオペレーションをいかに保つかは、世界各国すべてが直面している課題だ。

中国の経験と現在の金融情勢から見ると、現状では資本勘定を全面的に開放する条件はまだ十分に整備されていない。それは、①人民元の為替レートと利率を市場化する改革が相対的に遅れていること。②金融市場の体系と機能を早急に整備し、金融業の競争力とリスク抑制能力を向上させる必要があること。③金融に関する法制を早急に整備し、金融に対する監督能力、監督レベルを向上させる必要があること。④金融業が実体経済にサービスするという考え方と能力を早急に強化しなければならないことだ。

 

開放へのプロセス

 今後、人民元資本勘定の開放は、以下の点で積極的に条件を作り出していくべきだ。

 第1は、人民元の国際化と資本勘定の開放に関する関連金融法規の立法と監督体制の組み合わせの整備を加速すること(これには銀行法、保険法、為替管理法、会社法、証券法など、一連の関連法の改正が含まれる)。

 第2は、金融改革のペースを加速し、利率と為替レートを市場化する枠組を整えること。人民元の為替レートを形成する枠組と利率の市場化の改革は組み合わせて行い、「二つのレート」が連動して柔軟に対応できる仕組みを創設し、経済の内外均衡を実現する。

 第3に、資本の流動に対する監視を強化し、国内資本市場の発展レベルに釣り合った規模の抑制と動静を調整する権利を確保すること。一連の資本流動に伴なうリスクを抑制する政策管理体系と資本の流動リスクに対する監視体系を早急に構築し、国境を越えた資本の流動を効果的に統計し、トレースし、予測と分析を行うこと。

 第4は、人民元のオフショア市場での発展をさらに推進して、資本勘定開放のための経験を蓄積すること。香港と上海2つの金融センターにおける人民元オフショア市場と金融業務を大いに発展させること。これは中国資本の金融機関が国際金融市場のオペレーション規律をステップバイステップで学ぶことができ、リスク回避能力を向上させ、「海外進出」のコストを低減させる。

第5には、資本市場の改革スピードを速めて、資本勘定開放のために必要な条件を作り出すこと。その重点は、株式市場の機能を投資と融資に絞り込み、株式市場の投資機能と投資家の保護、投資家への報告の整備を株式市場管理監督活動の出発点、立脚点として、新株の発行制度、上場企業による投資化へのインセンティブ、定期報告制度などの改革整備を加速することだ。