約1300億円の規程違反
北京―上海高速鉄道の4つの問題点

中国中央政府の監査部門・国務院審計署が3月19日に発表した、北京―上海高速鉄道建設プロジェクトの2011年追跡審査結果によると、物資の購入、工事管理、環境保護・土地の立ち退き収用、資金の使用などにおいて4つの大きな問題が存在していたことが明らかになった。規定に違反した資金は100億元(約1300億円)近いという。

 審計署・固定資産投資審計司の徐愛生司長は、北京―上海高速鉄道の4つの問題について指摘した。

まず、入札と物資の購入管理において、土建・施工と個別物資の購入の入札に違反があった。例えば、北京―上海高速鉄道全線の土建・施工の入札の募集が、入札の規定や時刻の規定に則って行われなかった。さらに、個別物資の購入においても規定に従った入札が行われず、その金額は8.49億元(約110億円)に及んだ。

工事建設管理においては、個別の工事管理が不十分だったため、一部の区間の防風壁工事が取り消され、4.13億元(約53億円)分の資材が使われないままであった。

環境保護・土地の立ち退き収用では、沿線各地の末端組織をまとめての収用や、河川の堰き止め工事、立ち退き・収用資金の流用などで4.91億元(約63億円)の資金がかかった。

南寧市の江寧経済技術開発区管理委員会は2008年10月、虚偽の資料を用いて、1.4億元(約18億円)の土地収用のための補助金を申請していた。

建設資金の使用においては、2011年5月時点で、同プロジェクトの施工企業は、656の資材供給会社への資材の代金と、1471の作業チームへの労賃が未払いとなっており、未払い金は合わせて82.51億元(約1070億円)であった。

昨年6月末、この中国の史上最長、投資金額最大、最高水準の高速鉄道の全工程が完成し、総投資額は1962.66億元(約2兆5360億円)であった。