市場は分岐点に、価格の大幅なリバウンドを防ぐ必要あり
2012年も不動産コントロールの緩和はない

 中国指数研究院が先ごろ発表した報告によると、監督測定35都市のうち、30都市で住宅市場の物件取引量が前年同期比を下回り、7都市での取引量下げ幅は50%以上となった。では中国の不動産コントロールの効果はどうなのか。中央銀行が預金準備率を引き下げたことは、2012年の不動産コントロールを緩めることを意味するのだろうか。

 

不動産コントロールの成果は明らか

 中国の国家統計局が先ごろ発表した10月の新築物件データでも、同じく不動産価格は上昇から下降になったと断定した。9月と比較すると、70の大中都市のうち、34都市で価格が下降、17都市で増加、残り20都市では横ばいとなり、前期比で価格が上昇した都市でも、上げ幅はすべて0.2%以下となった。

 中古不動産では前月比で、70の大中都市のうち、価格が下降したのは38都市、増加は13都市、残り19都市は横ばい。価格が上昇した都市でも、前期比の価格上げ幅はすべて0.5%以下となった。

 データでは全面的に下落傾向で、購入制限のある都市の下落幅は明らかに非制限都市より大きい。制限のある40都市の下落幅は0.215%で、非制限都市の下落幅は0.047%である。

不動産価格は値下がりの傾向が現れているが、まだ転換点ではない。中国社会科学院金融研究所の易憲容研究員は、転換点は存在しない、現在の下落は、政府の不動産価格コントロール政策がすでに効果を表し始めたことを示していると考えている。

 

2012年もコントロールの緩和なし

 近日、管理部門は継続的に不動産市場のコントロールを推し進める態度を表明し、中央政府が引き続きコントロールを推進する決意は固く、来年から今後数年にわたり、コントロールを緩めないことを表明した。

 中国人民大学公共管理学院土地管理科の葉剣平主任は、「コントロールを緩めれば必ずリバウンドがあるだろう。そういった状況は誰も見たくはない。政府のコントロールは、なおしばらくは実施されるだろう」と述べた。

 現在、不動産コントロールは分岐点にさしかかっているが、制度改革は始まったばかりで、もし、コントロールを緩めれば、住宅市場はまた元の軌道に戻り、不動産価格は必然的に大幅に反騰し、前回の最高水準を上回るものまで出てくる可能性がある。そうなると2年間コントロールを続けてきたことが無駄になる、と業界関係者はみている。

 だが、不動産コントロールの緩和措置という憶測もないわけではない。欧米の債務危機による影響は依然として未知数で、中国経済の加速にも一定程度の落ち込みが現れた。一部の企業は深刻な資金と市場リスクに直面しており、地方政府の不動産税収と土地財政収入は著しく下降し、一部の建設中のプロジェクトでは資金面のプレッシャーに直面している。これらのどれもが不動産コントロールを緩める理由になるかもしれない。

 しかし、どの角度から考えても、コントロールを緩めてよい時期にはなっていない。価格だけを見ると、現在、不動産価格のマクロデータは依然落ち着いた状態といえる。値下がりは限られた一部の物件だけであり、しかも短期間のことであり、戸建住宅の販売促進に限られている。全体の不動産価格の水準は依然として、一般住民には「背伸び」の領域をはるかに超えている。コントロールの価格目標は、多くの人の予想とは程遠いのである。

 中国の不動産学会の陳国強副会長は、「全体的に見ると、不動産価格の大幅な下降の可能性は依然小さく、現在、一部の物件は大幅に値下がりしているが、これは不動産企業やプロジェクトの個別の例に過ぎず、全体のデータ上ではまだはっきりと反映されてはいない」と語っている。

 

不動産マクロコントロールの成果を強固に

 「我々の当面の判断では、中国の不動産価格のコントロールは非常に効果的だった。不動産価格市場は、マクロコントロールの目標に向けて推移している」と中国国家統計局の盛来運新聞報道官は強調した。そして、「まだ油断はできない。期に応じて、不動産市場の発展を監視・制御し、不動産マクロコントロールの成果をさらに強固にしなければならない」と語った。

 葉剣平主任は、「今後の不動産市場のコントロールは保護もあり、抑制もありという政策であるべきだ。有効なことは継続し、効果の小さなものは改革すべきだが、進展はさほど速くはないだろう。全体的に市場を安定させ、着実に進めるべきである。そうすることで、価格の上げ下げにも耐えることができる」と述べている。

 専門家は次のように考えている。不動産コントロールの長期目標は「不動産市場の長期間の安定と健全な発展の促進」であり、これに関連した土地の「入札・競売・公示」、不動産税、不動産情報システムなどの制度改革はまだ動き出したばかりで、多くはまだ探究中である。

不動産コントロールを継続的に行うことで、価格の下落はさらに大幅に、さらに広範囲に、さらに深い段階へ向かうことは間違いない。現在の中央政府関係部門の態度を見ると、不動産コントロールを堅持する決心はゆるぎないようだ。地方政府にとって、当面の急務は、明確な態度とプレッシャーに耐えることであるが、同時に不動産購入者への警告とリスク教育という業務をしっかり行うことで、社会の安定を保つことができる。同時に、プレッシャーを改革の動力に変えることが重要なのである。

(写真)海南省(海南島)瓊海(けいかい)市の工事中の物件(蒙鍾徳撮影 新華社)