国家経済と国民生活に関わり、社会の安定に影響
食の大国「中国」が「食品安全」大国を目指す!

三鹿集団(中国の大手牛乳メーカー)のメラミン入り粉ミルク事件から、「色つき饅頭(使用禁止の着色料を使った中華まん)」、更には「痩肉精(塩酸クレンブテロール。家畜飼料用には違法薬物として禁止されている)事件」まで、ここ数年、食品安全に関わる悪質な事件がたびたび発生している。

そのため政府は、食品安全に関わる違反に対する処罰を強化している。食品の安全は国家経済と国民の生活に影響し、国家の経済発展と社会安定に関わるもので、違反の処罰強化は必須だ、と業界関係者は指摘する。

 

食品安全に関する事件が頻発

 「地溝油(排水溝や下水溝に溜まった油を濾過、精製した再生食用油)」、「色つき饅頭」、「フォルムアルデヒド入りの酒」、「粉ミルク問題」など。食品安全に関するどの事件も世の中を驚かせたが、さらに人々の不安を募らせるのは、食品のトップ企業さえ、同様に問題を起こしていることだ。

 最近では、広州、南京等で、冷凍食品の有名メーカー、三全と湾仔碼頭の一部ロットの製品から、地元商工部門の検査で黄色ブドウ球菌が検出された。また、別の有名メーカー思念餃子の一部の製品でも黄色ブドウ球菌が検出され、すぐに北京市商工局の回収リストに載せられた。

11月22日、三全公司は、抜き取り検査された製品に黄色ブドウ球菌が検出されたことを認め、回収を開始したことを正式に発表した。翌23日、湾仔碼頭も問題の製品を回収すると発表した。

 次々と業界トップの企業による問題が発覚したことで、再度、消費者が食品安全に関して神経質になる事態となり、食品の安全に対する不信感はますます募るばかりで、政府の食品安全に対する関心度も大幅に高まった。

 同月24日、最高人民法院(最高裁)の孫軍工報道官は、訴訟事件の件数が著しく増加しているのは、次のような理由だと述べた。一つには、犯罪分子は利益目的で行動し、摘発をものともせず犯罪を犯すため、食品の安全を脅かす犯罪が依然としてはびこっている。また一方で、三鹿粉ミルク事件の後、各地で、食品安全を脅かす犯罪に対する行政の取締りと司法の罰則が強化されたため、法に則って移送し起訴される食品安全事件の件数が増えたためだ。

 

違反企業には破産するほどの処罰が必要!

 目下の深刻な食品安全犯罪の形勢に鑑みて、最高裁は法に依り、食品の安全を脅かす犯罪の常習犯、共同犯罪の主犯、健康に重大な危害を及ぼす犯罪や販売額の巨大な犯罪の犯罪分子及び、生産・販売の大元の犯罪分子に、極力重い処罰を下している。

 孫報道官は、食品安全事件に関わった汚職職員に対し、裁判所は厳罰に処すと表明した。収賄、食品安全を脅かす犯罪活動の腐敗分子をかばうこと、見逃すこと、食品安全の監督管理や調査処理の職務怠慢・職権乱用・私欲に踊らされること――などを行った汚職職員もその対象となる。同時に、財産刑の処罰を強化し、刑執行の猶予や免除の適用を厳格にする。

 「懲罰の効力を上げることが急務だ」と言う経済評論家の余豊慧氏は、「食品安全の事件はいたちごっこ。表面的には、①企業が管理をおろそかにしている、②利益のために正義を忘れる、③調査処理能力が乏しく、処罰効果が及ばない、④ひどいものでは企業と監督管理者がグルになっている――などが要因ですが、根本原因は、地方政府が政治的業績を上げることや地方税収を増やすことなどのために見逃しやかばいだてをするなど、深刻な『地方保護主義』にあります。過去の例では、庶民の心身の健康に影響する食品安全の問題は、違反企業の処罰が軽すぎました。企業の罰金は低すぎ、違反によって得られる所得は罰金よりはるかに大きかったのです。そのため、食品偽造、有害な添加物の添加などの食品の違法行為の処罰を強化し、罰金を引き上げることが必須です。企業が破産するほどの処罰を与え、高級管理職を食品生産の隊列から徹底的に追放し、永遠に食品生産業界に携わることができないようにする。企業及びその高級管理職に厳しい経済的制裁、及び道徳的、将来的、コスト的な犠牲を負わせなければ、食品安全の問題は好転しません」と語る。

 

食品安全を政治的業績として審査すべき

 民衆の食品安全に対する憂慮に直面して、どうしたら人々がこれ以上「食」の話題で顔色を変えないですむようにできるのか。業界関係者は、中国には現在も食品安全の監督責任者の法を守る意識の薄さ、管理体制の改善の必要性、食品安全管理能力の著しい不足、食品安全の地方法規整備の遅れなどの問題が普遍的に存在し、食品安全の監督管理の責任は重大で前途は遠いと考える。

 中国農業大学の李秉龍教授は、以下の3つの提案をする。

第1に政府レベルでは、法に従って管理し、食品安全法執行機構、特に法執行の末端機構の権限を強化する必要がある。食品安全の計測は技術性の高い業務なので、財政面での支援強化、人員育成や計器の水準を高める必要がある。

第2に企業レベルでは、法に対する意識の向上に努めるとともに、厳しく律するほか、食品の多くは農家が生産するため規模が小さく、一定の水準を満たす生産が難しいので、農業合作社によるブランド作りを強化し、業界全体の規格水準と安全水準を引き上げなければならない。

第3に消費者としては、安全品質の認識能力、鑑別能力を高める必要がある。

 余豊慧氏は、食品安全を地方政府の業績の一つと位置づけ、食品安全を含む国民生活指標の審査水準を高め、食品安全に関する重大な事件が発生したかどうかを、地方公務員の昇進の参考基準の一つとすることを提案している。そのほか食品業界への参入の敷居を高くし、違反コストを引き上げ、大幅に処罰の効力を高める必要があるとも語った。

 

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