無尽蔵の「風」と「光」
再生可能な新エネルギー

中国初の宇宙実験室「天宮1号」が発射され宇宙に向かう。「天宮1号」にとって最も重要な電力を供給するのは一対の「翼」――表面に装備された太陽エネルギーパネルだ。

 都会の屋根に張られた太陽エネルギー活用のための太陽光発電板、ゴビ砂漠に林立する白い風車、海岸に造られた風力発電ユニット――再生可能電力はまるで植物の種のように、中国の大地に省エネの根を下ろし芽吹いている。

  

 「風」と「光」のメリットは無限大

 中国国務院発展研究センターの8月の調査研究報告は、2010年に中国の風力発電能力が4000万キロワットに肉薄、新たに増加する電力量が1893万キロワットに達し世界第1位に躍り出る、と明らかにしている。また中国の太陽電池の生産量も800万キロワット相当に達し、世界の半分を占める。中国の風力発電と太陽光発電産業の発展状況は現在、世界の上位にあり、大規模な応用が可能な産業基盤となっている。

 2010年に世界で設置された発電設備の3分の1は風力発電であり、新たに加わった太陽光発電も1600万キロワットに達した。風力発電と太陽光発電はその大気を汚染しないクリーンさと「無尽蔵」というメリットにより徐々に火力発電と水力発電に取って代わり、新たな電力の主役になっている。

 9月15日、国内最大規模の太陽光発電パネルを屋根に設置した発電所が山東省高密市の城北工業園区で落成した。園区内のすべての建物の屋根には、合わせて4万6182枚の太陽光発電パネルが設置されている。

 「風力発電では、中国は外国と比較して30%前後コストを安く抑えられる」と国務院発展研究センター産業経済研究部の馮飛氏は述べており、現在、比較的条件の良い地域では風力発電のコストは1000キロワット時当たり0.5元を下回り、火力発電の価格に非常に近づいている。同時に、多くの風力発電設備が輸出されていることは、中国の風力発電設備の設計製造能力が世界の先進的な水準に達している証である。

  

成長には悩みも

 「一年一場風、従春刮到冬(年間を通じて風の吹く期間が長いことを表現する慣用句)」――世界的に有名な風力発電の宝庫として、甘粛省酒泉市は全国で初めて1000万キロワットクラスの風力発電基地が建設された「中心都市」であり、開発利用が可能な風力資源は毎年8000万キロワットに達する。

 しかしながら、これほど豊富な風力エネルギー資源と巨大な発電能力を持ちながら、酒泉玉門市委員会書記の?興明氏は顔をしかめる。それは、電力供給ネットワークの建設が基地建設に比べて遅れており、風力で発電した電気の一部分は送電が制限されているからだ。酒泉では年間30億キロワット時の電力が送電されないまま失われている。

 また同様に再生可能エネルギーの新たな柱となる太陽光発電産業が発展の過程で直面する困難はさらに大きい。現在中国の太陽光発電産業は、国内で評価されず、外国での評価の方が高い。太陽電池の生産量の90%は輸出向けであり、外部ニーズへの依存度が高すぎるのだ。ひとたび国際市場が低迷すれば、中国の太陽光発電産業に直接打撃を与えることになる。

中国エネルギー経済研究院戦略研究センター主任の陳柳欽教授は「ここ2年ほど、ヨーロッパの太陽光発電市場の需要はそれほど大きくなく、太陽電池は市場で供給過多の状況になっている」と述べている。

  

スピード感のある発展を

 中国の風力発電と太陽光発電は爆発的な発展を遂げた結果、設備の製造能力不足は解消されたものの発電した電力の処理能力不足が大きな課題となっている。

 9月19日、中国初のスマートグリッド(次世代送電網)が天津で操業を開始した。スマートグリッドは先進的な制御技術、蓄電技術を応用し、再生可能エネルギー受け入れの能力を向上させた。馮飛氏は「この技術の発展により、電力供給ネットワークは再生可能エネルギーの発電分を完全に処理できるようになる」と述べている。

 太陽光発電産業の対外依存度が高いという問題については国内市場を開拓することが最も直接的な解決方法となる。

 国家発展改革委員会は8月1日、太陽光発電プロジェクトの供給電力価格を明確化、太陽光電力の「供給公定価格」を実現して国内の一般人が太陽光電力を手頃な価格で使えるようにし、中国の太陽光発電産業の新たな発展を支援すると発表した。

「第十二次五ケ年計画」期間中、中国は大規模な入札などの方式で国内の太陽光発電市場の需要規模を拡大することによって、国際的な太陽光発電市場の変動による影響を軽減させる。

 長期的に見れば、中国の再生可能エネルギーが発展する可能性は大きい。中国国務院発展研究センターは、再生可能エネルギーの発展目標をさらに引き上げ、2015年には風力発電と太陽光エネルギーの発電容量をそれぞれ1億2000万キロワットと1000万キロワットに引き上げ、風力発電と太陽エネルギー発電にエネルギー供給不足を補う重要な役割を担わせ、新たに生み出す電力の中での主役となるよう提案している。

山東省東営市の大唐風力発電プロジェクト。撮影 俄国慶(中国新聞社発)