成約件数が減少しデベロッパーは必死の販売拡大
不動産抑制政策は住宅価格安定化に有効

中央政府が継続する厳しい不動産市場抑制策が効果を見せ始めた。各地の高額な住宅価格は明らかに抑制されつつあり、さらに値下がりするかもしれない

成約量が減少、価格も上げ止まり

デベロッパーが販売に腐心、新築住宅と中古住宅の価格が“逆転”、成約量が減少――は住宅価格が下落する三つの兆候と考えられている。最近、多くの都市でこの兆候が現れている。

北京では、通州区の一部の物件の最近の下落幅は1平方メートル当たり1万元前後で、昨年より20%以上も下がっている。また環状五号線、六号線の外側の多くの物件はすべて値下がりしている。

統計によると、今年の8月1日から30日の北京の新築住宅と中古住宅の成約件数は全部で1.3万件と、昨年同時期より26.4%も減少した。この成約量は2009年以来最低の数字だ。価格面では新築住宅の平均契約価格が7月より2.5%下がり、中古住宅も0.9%下がった。上海や深〓(〓は土へんに川)の商品住宅の取引量も同様に減少している。

国家統計局によれば、大中70都市中、8月の価格が前月に比べて下落した都市が16都市、同水準を維持したのが30都市だった。7月に比べて価格が下落したか横ばいだった都市が明らかに増えている。住宅販売価格が前月比で上昇しなかった都市が半分を超えたのも2009年以来、初めてのことだ。

新築住宅と中古住宅の価格が逆転する現象も一般的になって来た。「北京偉業我愛我家市場研究院」の最新統計によると、北京の2011年1-8月の中古住宅平均成約価格は(1平方メートル当たり)2万3709元だが、新築住宅は2万2038元にとどまった。

同様の現象は上海、広州、深〓(〓は土へんに川)などその他の“一級都市”でも見られる。「中原地産」のサンプル統計によると、現在、上海の一部区域の中古住宅の1平方メートル単価は新築住宅より2300元から3300元も高いという。業界筋は従来の経験から、新築住宅と中古住宅の価格の逆転現象は市場の価格回帰を意味すると考えているという。

現状の不動産市場について、華紡房地産開発公司の関係部門責任者は次のように指摘している。

「現在の不動産市場の状況は成約件数が減少し、価格の上昇が止まっている。価格下落の余地が生まれ一部の消費者は買い時と捉える一方、一部は模様眺めの状態。大部分の不動産会社が資金繰りに苦労している。中国人民銀行の金融引締めでデベロッパーへは融資が難しくなり、融資にかかわるコストも上昇している。少数の何社かを除いて、大部分のデベロッパーは土地の取得に慎重になっている」。

抑制政策の価格抑制効果が顕著に

住宅価格の緩みは中央が抑制政策を維持している結果だ。2010年以来、中央政府は一連の不動産抑制措置を打ち出し、その中には流動性(金融貸出枠)の圧縮、購入制限、借入コスト(金利)のアップ、不動産税の徴収、中低所得層向け住宅の建設増など様々な手段が含まれている。

しかし、住宅価格の上昇が止まり、緩み始めたのはようやく最近になってからだ。前出の華紡房地産開発公司の責任者は「現在の市場から見ると、政府の抑制政策の価格抑制効果が出て来ている」と語っている。

専門家は、購入制限と貨幣供給量の減少が投機のバブルが抑制されている直接の原因だと話す。また、中国が中低所得層向け住宅建設を加速することが需給ギャップを弱め、高額住宅バブルの傾向が徐々に弱まるとみている。

住宅価格抑制の良い兆しが出て来ているとはいえ、油断してはならない。

住宅都市建設部政策研究センターの王?林副主任は「今後、抑制政策は当然継続的に強化すべきで、もし政策が多少緩めば住宅価格は反騰するかも知れず、そうなればこの数年の抑制政策がもたらした効果も水の泡になってしまう」と語る。

また、業界筋は次のように指摘する。

「政府は、一面ではマクロ政策実施の力を継続的に強め、投資や投機目的の住宅転がしを封じ込めねばならず、また一方で住宅購入制限が実施されていない一部の二三級都市の住宅価格が急速に上昇するのを防がねばならない。最近、一部の非購入制限地域と一部の二三級都市で住宅価格が暴騰する状況が現れているが、一方で一級都市の中心部の住宅価格は依然として高止まりの状況だ。例えば北京の環状五号線内側の住宅価格は昨年の最も高い時期と比べれば多少戻り始めているが、それでも下げ幅はごく僅かだ」と。

住宅価格はすでに“曲がり角”なのか

中国不動産学会の陳国強副会長は「地域や不動産市場が異なれば状況は皆違い、ある都市では郊外の住宅価格は下がるが中心部の高品質住宅の価格はまだ上がり続けており、むやみに“曲がり角”と言うことは出来ない。

平均価格で見ると、北京と一部の都市の住宅価格は上昇が止まっているが、これはすべての不動産市場で価格が下がることを意味しているわけではない。短期的には、デベロッパーは利益を抑えた低価格で量をさばこうとする物件が増えるだろう。さもなければ彼らは資金回収が難しく、市場の低迷状況を変えるのが難しい」と指摘している。

住宅価格は今後も下がり続けるのか

華紡不動産開発公司の責任者は次のように述べている。

「住宅価格下落の扉は既に開かれた。まず成約量が減少し、デベロッパーは価格を維持しようとするが、持ちこたえられなくなれば価格は下がってくる。もし中央の抑制政策が緩まなければ、住宅価格は必ず下落する。

共産党の第18回全国代表大会開催前には穏やかに下がり始めるだろう。最も悲観的な予測で下げ幅は30%、大部分のデベロッパーは10%-15%の下げ幅と考えている」。

しかし、山東省のあるデベロッパーは次のように指摘する。

「土地の基礎価格が下がらなければ住宅価格は下がらない。現在、多くのデベロッパーが待ちの状態で、ある者は土地を入手しても開発を遅らせ、ある者は売り惜しみして、来年政策が緩和されるのを期待して待っている」。

 

2011年の瀋陽秋季不動産展示交易会で不動産市場の情報を収集する市民(撮影 新華社記者 潘昱龍)