分譲住宅が週に3000元近く下落 中古住宅の契約数が最近3年間で最低に
「買い」から「売り」に転じた北京の住宅マーケット

北京不動産交易管理ネットによると、8月は北京の新築住宅の契約数が5261件、中古住宅の契約数が7782件と合計1万3000件だった。これは昨年より26.4%減となり、この3年間で最も低い数値である。

「金九銀十」といわれるように、9月、10月はもともと北京の不動産業界が活気づく時期だが、購入制限、貸し付け制限、価格制限など不動産抑制政策の下で低迷が続き、不動産価格の下落が期待されるようになった。

販売量が落ち込み、物件の売れ残りが急増している中で、不動産価格が揺らぐのか、転換点は遠からず訪れるのか、不動産価格は本当に下落するのか。多くの人々の関心の高いこの問題をめぐって専門家を取材した。

不動産価格が半値以下の物件も

北京不動産交易管理ネットによれば、先週の一般分譲住宅の成約価格は20,776元/㎡、その前の週は23,730元/㎡で、2,954元の下落で、12.4%減である。一週間の間に3,000元近く下落したことになる。

不動産仲介業を何件か取材して、最近成約した普通の中古住宅は、売値から5万から8万元ほど値が下がり、物件によってはほぼ20万元も安くなっていることが分かった。「我愛我家」の西大望路店の販売員は、これは特別という訳ではなく、いまでは四環(高速道路)の内側や二環、三環の地域でも値引きして販売されていると話した。

新しく売り出された物件の販売価格も値下がりしている。北京市でもっとも早く値下がりした通州区を例にとると、現地で最高値の物件は、2009年に25,000元/㎡で、高騰した時は30,000元/㎡にもなった。しかし、9月7日に記者が電話で知ったのは、この物件の最低価格は13,000元/㎡になっていた。北京の房山、大興などでも、販売停滞、値下げ販売といったことが目立ってきている。北京の万科では房山地区の中でも先立って、頭金の支払いをローンにするという、すでになくなっていた販売法がとられた。

北京中原市場研究の責任者、張大偉氏は次のように分析している。「購買者が値下がりを信じ、売れ残りが多くなるなどの原因で、成約価格の下落は拡大の傾向にあり、とくに通州、大興、房山などの地域の住宅では、値下がり幅がおそらく10%を超えるものもある」。

 

供給の関係が不動産下落の主因

「市場の予期が変化を起こし、価格の急上昇が抑制された」。中国不動産学会副会長で、北京大学教授の陳国強氏は次のように考えている。「北京のこの8カ月間の新築、中古を去年と比較すると、価格の下がり具合が激しい。不動産市場の調整が行われ、開発ローンや住宅ローンの貸し出しが厳しくなり、住宅市場資金の調達が難しくなった。その上、不動産市場では売れ残りが増えており、開発業者にはプレッシャーとなっている。そこで、販売を促進する手段がとられ、価格を下げて数を売ろうとしていることも住宅下落の原因である」。

しかし、中国不動産、住宅研究会の顧雲昌副会長は、不動産価格は各地の需給によって決まるもので、供給量と需要量の変化によって住宅価格のこうした変化が生じたと指摘している。

北京の新築住宅の未販売戸数は11万戸以上に上っているが、顧氏は北京の不動産市場は需給関係が逼迫しているとみている。しかも、売り手も買い手も互いに様子を探り合っている。売り手は値下げを望まず、というのも資金面ではまだどうしても値下げしなければならない状態ではないし、買い手はもちろん値下げを望んでいる。

顧氏は、北京市の中古住宅市場の価格はすでに変動が生じていて、このことが新築住宅の価格にも影響を与えるであろうが、まだ時間がかかると見ている。

同時に、陳氏も次のような提案をしている。「一部の制度を新しくして、社会的な資金を不動産の供給に回し、不動産開発の資金源を増やして、今後の市場の供給を増加させることによって、長期的な供給の矛盾を解決することができる」。

 

住宅価格の揺らぎが早まる

取引量は減少しているのに、市場の伝統的な「金九銀十」に期待して、多くの開発業者は9、10月に望みをかけたため、売り出しに拍車がかかった。9月、開発業者は北京で40棟近くのマンションを売り出した。8月のほぼ3倍にあたる。

しかし、業界内部の人々はいい状況だとみているわけではない。一般的に不動産業界から言えば、資金が戻ってくるのはより難しくなり、全体的に値下げ販売の傾向もさらに強まり、この「金九銀十」が期待はずれになることを恐れている。

中原不動産の北京顧問であり副社長の殷氏は次のように語っている。「市場は絶えず対峙と膠着状態にあり、成約した後は閑散として、周辺の物件も低調である。今年の年末には『持ちこたえられない』開発業者は値下げして販売を促進するか、あるいは別の形で住宅価格を下げる方法を用いて資金難を解決するしかない。もし、販売を促進するために『ニセ値下げ』をするとしたら、賢明な策でないだろう。開発業者が顧客を獲得したいなら、誠意のある価格でなければならない。

陳氏も次のように述べている。

「購買限定範囲が広がっていくことにより、価格下落の予想も強まって、価格の揺らぎが早まるだろう。当面、安定政策の予想は、住宅価格を安定させるのに非常に重要である。調整を続けて、その力を弱めなければ、将来、市場の動向に影響を与えるであろう」。

顧氏は、北京の住宅価格は安定し下がる見込みがあると予測している。

「北京の住宅価格は、一般分譲と職場限定分譲の二種類に分けられる。職場限定分譲の数は多く、一般分譲よりずっと安い。職場限定分譲が多くなれば、北京の住宅価格も下がっていくであろう」。