中国は大洋で「宝探し」の区域を拡張

8月2日、申請と審査に一年以上かけ、中国大洋協会が提出した多金属硫化物鉱床申請が国際管理局理事会の批准を得た。その結果、中国は西南インド洋国際海底区域に1万平方キロの専属探査権を持つ多金属硫化物資源鉱床を獲得し、さらに、今後、資源を開発する際の優先的地下資源採掘権を得た。

これは、2001年に大洋協会が東太平洋で得た7.5万平方キロ以上の多金属団塊(マンガン・ノジュール)資源探査契約区域につづくものであり、中国は国際海底区域において2番目となる専属探査権と優先開発権を有する海底鉱床を獲得したことになる。

「宝探し」の道はとても長い

1980年代の早い時期から、中国は太平洋国際海底区域において、多金属団塊に対する系統的な探査を行ってきた。1991年、中国大洋協会は国連に「国際海底先行投資者」として登録する許可を得て、15万平方キロの多金属団塊の開拓区域を手に入れた。90年代、国家の特定プロジェクト資金の後押しにより、中国大洋協会は中国国内の優秀な力を結集し、開拓区域で10回の航海探査研究活動を行った。そして、総面積が渤海とほとんど同じ広さの7.5万平方キロにおよぶ多金属団塊地域を選び出し、海洋法の多国間条約規定に則って、探査任務を期日通りに中断し撤退した。

2001年5月22日、国際海底管理局のサティア・ナンダン事務局長と中国大洋協会の金建才秘書長は、北京で「合同探査」契約を結んだ。この契約締結により、中国は太平洋地域に専属探査権を、さらには、多金属団塊に関して商業的採掘を行う場合には優先開発権を持つことになった。

この時点から、中国は、ロシア、韓国などにつづき、海洋多金属団塊探査を行うグループの新たなメンバーとなった。

海洋「宝探し」の将来性

多金属団塊とは違って多金属硫化物は、銅、鉛、亜鉛、金や銀などの金属を豊富に含むことから、潜在的な経済価値が大きく、将来性があるため、日増しに国際社会の関心を引いている。

今回の申請・許可を得た後に、大洋協会は年内に国際海底管理局と15年間の探査契約を結び、契約に従って、環境モニタリング調査、環境ベースラインの調査・研究を実施し、その後、探査領域の面積の75%を放棄して、発展途上国家における科学技術者の育成・訓練などを行う。将来的に見れば、中国の海洋での「宝探し」拡張の動きは、新たな領域への一歩であり、海洋経済の科学的発展を推し進めているといえよう。

深海探査は利益が多い

探査潜水艇の総設計技師であり、「中国船舶重工業集団公司」第702研究所の徐?南研究員は、「深海は地球上で最後に残った未開発の地である。深海探査は人類進歩のシンボルでもあり、海洋資源を管理し利用することは、人類にとって必要な知識と経験を与えてくれる」と指摘している。徐?南研究員によると、深海には大量の海洋資源がある。極限的環境下で生息する生物がいる。深海生物とその遺伝子については、科学研究及び経済的にも巨大な価値があり、世界中の海洋科学研究者から最も注目されている研究テーマである。

国家海洋局副局長で中国大洋協会理事長でもある王飛氏は、次のように指摘している。「中国が国際海底鉱床の専属探査権を獲得したことは、人類が海底資源を利用する点、人々が深海の科学を学ぶ点、海底環境を保護するという点において有益である。さらには、深海における技術装備の研究開発という新しい分野を拓いていく点においても有益である」。

■ミニ知識

 海洋の富鉱

 どこの国にも属していない国際海底区域は約2億5170万平方キロあり、地球の表面積の49%を占めている。国連の海洋法公約の規定によると、この区域およびこの区域が埋蔵している豊富な資源は、全人類が共同で継承すべき財産と位置づけられ、国際海底管理局が全人類を代表して管理している。

 人類がすでに発見した主な海洋鉱産資源は、天然ガス、石炭や鉄などの固体鉱産物、海浜の砂鉱(しゃこう)、多金属硫化物、多金属団塊およびコバルトリッチマンガンクラフト、メタンハイドレート(燃える氷)の6つである。

 海洋には全世界の70%を超える天然ガス資源を埋蔵している。また、全世界の深水区域の原油推定埋蔵量は1000億バーレルにもなる。この10年間で、我々が新たに発見した埋蔵量は1億トン以上で、その70%は海にあり、そのまた半分が深海に存在している。海洋石油資源は、将来の原油生産量を増大させる重要な供給源であり、全世界の50%以上の天然ガス生産量と埋蔵量が海洋にあるということを様々なデータが示している。