白い風車は中国のクリーンエネルギーをリード

中国の風力発電産業の価値は無限

1980年代初頭より、白い風車はしだいに一基一基と中国の大地にそびえ立っていった。あるものは砂漠に根をおろし、あるものは草原にまっすぐ立ち、あるものは海辺に連れ立ち、あるものは山の風と共に舞っている。これらの旋回する白い精霊こそ、いわゆる環境保護エネルギー――風力発電ユニットである。

2010年末時点で、中国(台湾を除く)の風力発電ユニットは累計3万4485基。その中で、国産ユニットの市場占有率は既に85%を超えた。

中国再生可能エネルギー学会・風力エネルギー専門委員会の秦海岩秘書長は、次のように指摘する。「中国はすでに風力発電ユニットを自前で生産する能力を十分に備えている。基幹部品は基本的に国産化を実現し、風力発電ユニットのサプライチェーン(供給連鎖)はしだいに完全なものになっている」。

「十一五」(第11次国民経済・社会発展5カ年規画)期間、中国風力発電産業のユニットは、中国の低風速、低温度、高海抜などの特殊な環境に適合するべく様々なアイデアを打ち出し、大容量ユニットの開発も世界に歩調を合わせて実現した。現在、既に4つのユニット製造企業があり、全世界のトップ10に入っており、風力発電設備はすでに国内から国際市場に進出している。

2010年、中国は新たに風力発電機の容量を1892.8万キロワットに増やした。装置容量を累計すると4473.3万キロワットとなり、どちらも世界第1位である。

風力発電は中国のクリーンエネルギーの主役

現在、中国の電力構成の75%は石炭電力によるものだが、風力発電は二酸化炭素などを減少させ、温室効果ガスを排出し、全世界の気候の温暖化を緩和させるなどして、重要な役割を果たしている。世界エネルギー委員会の計算では、風力発電は平均して1時間に100万キロワットの電力量を提供し、また約600トンの二酸化炭素を排出することができる。

秦海岩秘書長は、次のように語る。「風力発電は再生可能エネルギーを内包しているだけでなく、そのエネルギーを提供し保持する重要な役割を果たしており、すでに中国は、経済とエネルギー政策の転換を成したといえる。さらには、政策、技術、産業および資源などの有利な条件に支えられて、風力発電は中国のエネルギー政策の主流となっている」。

中国は風力発電が発展する条件に恵まれている。領土面積は果てしなく広く、風力エネルギー資源は豊かで、風力エネルギーの総埋蔵量は32.26億キロワットで世界第1位である。ほぼすべての地域の平均風速はすべて毎秒3キロ以上で、これは風力発電が必要とする最適の風速が毎秒3~25キロという要件に合っている。その中で、東北の高原、西北の高原、西南の高原そして内モンゴルなどの地域および沿海部と島嶼部は、いっそう風力発電に必要な風速値に合致しており、風力発電発展のポテンシャルは計りしれない。

アモイ大学・中国エネルギー経済研究センターの林伯強主任は、中国の風力発電発展の情勢は見通しが大変明るいと見ており、次のように語った。「風力発電をその他のクリーンエネルギーと比較した場合、コストが比較的低い。規模であれ市場であれ、そのいずれも比較的よい将来性を備えていて、クリーンエネルギーの主役になっても、真の実力があれば名声はおのずとついてくるという状況だ」。

風力発電用送電網の難題はいまだに発展のネック

今のところ、風力発電は依然として中国のクリーンエネルギー産業のリーダーである。しかしながら、いろいろな問題が次々に起こっている。

林伯強主任は、風力発電所が幹線送電網に接続して送電を開始することの難しさが依然として制約となっており、中国の風力発電発展の最大のネックであると語る。

風力発電の安定性をコントロールすることが大変難しいので、発電所が幹線送電網に接続して送電を開始することが、むしろ風力発電の安定並びに長距離輸送全体にとても高いリスクを持つことになる。統計によると10%の風力発電が「送電網問題」および負荷を取り除く方法がないなどの原因で浪費されてしまう。

実際、この問題はすでに関連部門の関心を引いている。『国家「十二五(第12次国民経済・社会発展5カ年計画)」科学と技術の発展計画』では、風力発電の「送電網」問題を「十二五」の重点的な技術発展のカテゴリーに入れている。そのほかに、「中国国家電網公司」の舒印彪副社長が明らかにしたのは、風力発電送電網技術国家基準――『風力発電場接続電力システムの技術規定』と職業基準――『大型風力発電場送電網設計技術規範』が近いうちに実施される見込みがあるという点だ。これは中国の風力発電送電網の難題解決の強力な推進力となるだろう。

何年か先も、風力発電は中国のクリーンエネルギーの発展をリードしつづけるだろう。国家エネルギー局の算定では、2015年には、中国風力発電装置は1億キロワットに達し、年間発電量は1時間に2000億キロワットを超過し、石炭8000トン程度を節約でき、かつ風力発電がエネルギー全体に占める割合は、2010年の0.2%から2%程度まで増えるだろう。

ミニ知識

7月13日、科学技術部が正式に発布した『国家「十二五」科学と技術発展計画』は、以下のことを指摘している。「十二五」期間に中国は5兆ワット以上を風力発電ユニットの完成品で作り出すが、キーポイントは部品の設計であり、基幹部品を製造することである。それは、発電網の電気システムを構築する最重要の技術である。風況を分析して、発電ユニットや風力発電所、風力発電送電網技術のシステムを構築し、近海や陸上における風力発電の技術レベルを世界の先進的レベルにまで高める。