コロナ禍で熱くなった中国のオンライン経済

 
モノのインターネット(IoT)のビッグデータプラットフォーム

2020年に突如襲来した新型コロナウイルス感染症は、さまざまな地域の経済や人々の生活の「一時停止ボタン」を押した。しかし、時代の勢いに乗って上昇し、時代の風をうまくコントロールして前に進むオンライン経済が急成長の段階に入り、この特殊な年に温かく明るい話題を提供した。

オンライン経済とは何か

オンライン経済について、多くの人が真っ先に考えるのは、おそらく暮らしの中のさまざまな「クラウド化」だろう。クラウド診療、クラウド教育、クラウド展示、クラウドオフィスなど、これまではあちこち駆けずり回ってきたさまざまなことが、今では家から一歩も出ず指をちょっと動かすだけで軽々とこなせるようになった。

たとえばインターネット診療の場合、これまでは単なる話題作りだと思われてきたが、感染症によりこの新業態はさながら一夜にして生まれ変わったように爆発的な成長を遂げた。現在、全国にはネット病院が900カ所以上あり、オンラインで医学講座、受診、処方箋発行などを行っている。新しいスタイルの医療が徐々に人々の生活習慣を変えるとともに、患者が「省を越えてオンラインで保険証を使えるようになる」という大きな変化のドアを一気に押し開けた。

オンラインの応用とともに盛んになったものに、たくさんのオンラインの新職業や新ポジションがある。よく聞く「ブルーカラー」と「ホワイトカラー」に続き、「ニューカラー」が登場し注目されるようになった。2020年7月、人的資源・社会保障部など複数当局が9つの新職業を正式に発表し、インターネットマーケティング担当者、ブロックチェーン応用操作員、オンライン学習サービス担当者などが人々の視界に入るようになった。

ますます増加するライブ配信パーソナリティによるオンラインの活動に比べれば「孤高」のブロックチェーンエンジニアリング技術者のような職種でさえ、人数がますます増えて、徐々に存在を知られるようになってきた。

1年前なら、ブロックチェーンエンジニアリング技術者が何をする職業なのか知っている人がどれくらいいただろうか。この職業に従事する若者がますます増え、牛一頭一頭が「身分証」をもつようになってトレーサビリティが可能になり、感染症対策で寄付したお金がどのように使われたのか追跡が可能になるにつれ、ブロックチェーンは人々の暮らしにとってますます身近なものになってきた。

続々と登場するオンライン経済行動促進案

オンライン経済の飛躍的な発展は、一方ではニーズの内側にあるエネルギーが推進したものであり、また一方では政策による外側からの支援と切り離せない。たとえば国家発展改革委員会と中共中央サイバーセキュリティ・情報化委員会弁公室が通達した「『上雲(クラウドサービス支援)・用数(ビッグデータ運用)・賦智(スマート化支援)』行動の推進と新経済(ニューエコノミー)発展の育成に関する実施案」は、オンライン消費、非接触配達、ネット診療、ワンストップ式移動、「おうち経済」などの新業態を支援し、経済発展の新たな可能性を切り開くことを提起した。

全国各地を見ると、オンライン経済行動促進案が雨後の筍のように次々登場し、たとえば上海市はデータ資源共有開放行動、イノベーション型企業育成行動を打ち出した。河北省は新型インフラの支援行動、フレキシブルな働き方を奨励する行動を打ち出し、安徽省はデジタル技術のイノベーションを支援し、オンライン経済イノベーション発展試験区を建設することを提起した様々な行動が現れている。


クラウド教育

ショート動画とライブ配信の流行

2021年を見通すと、消費者のオンラインでの支出が引き続き増加するとみられる。ショート動画とライブ配信の流行が続き、流れを引き寄せるツールというだけでなく、新経済の発展の中で無視できない大きな力になる可能性が高い。

オンライン経済は業務の再開を支援し、生産活動の再開を促進し、効率を高め、雇用を安定させ、5Gやモノのインターネット(IoT)やビッグデータなどの急速な発展にともなって、第一次産業から第二次産業、第三次産業が「ネットに接触してクラウドに進出する」流れを加速させ、デジタル経済がもつ貯水池としての役割をさらに発揮させ、新たな原動力を発揮させ、新たなブルーオーシャンを開拓し、経済社会の質の高い発展を推進することになるだろう。