「5G+VR」消費の市場規模は1兆3000億円超

仮想現実(VR)のデバイスを装着して中国の大地を駆けまわり、VR店舗に入って最新の製品を買う。5GとVRがさまざまな分野で「手を結ぶことに成功」し、VR産業は加速的普及と商用化実現における発展の新たなチャンスを迎えた。工業情報化部がこのほど通達した「5Gの加速的発展の推進に関する通知」は、5G+VR/AR(拡張現実)などの応用をさらに普及拡大し、新型の情報消費を促進するよう求めた。AR/VR産業市場調査会社のグリーンライトインサイツの予測では、「2020年に世界のVR産業の規模は1600億元(約2兆4205億円)に達し、中国市場の規模は900億元(約1兆3616億円)に達する見込みだ」としている。


5GとVRの装置を使っている子供

「科学技術のペア」で

超クールな体験

あでやかな姿の「東方の女神」、生き生きとした「天に昇る大蛇」……江西省上饒市の三清山観光エリアは5GとVRを活用した24時間のライブ中継により、全国各地のオンライン観光客たちに「天下第一の仙峰」の素晴らしい景色を見せた。観光客は携帯電話やコンピューターを通じ、家から出ずに「没入型」の観光を楽しめる。

新型コロナウイルス感染症対策が好転し続けるのにともない、全国の大手オンライン旅行プラットフォームと観光地が相次いで5G+VR技術を活用して、「クラウド見学」や「クラウドツアー」などのイベントを打ち出し、観光客は列に並ぶことも、押し合いへし合いすることもなく、外に出たい、旅行したいという強いニーズを満たすことができる。5G+VRという「科学技術のペア」が各種応用シーンに根を下ろし、人々の暮らしに非常にクールな新体験をもたらした。

四川省成都市では、現地初の5G+VRクラウド店舗の華為大悦城クラウドVR店舗がまもなくリリースされる。VR店舗では、売り場と陳列棚が360度完全に再現され、利用者は画面をドラッグ&ドロップすれば興味のある「オンラインカウンター」に行って商品の詳しい情報をチェックすることができる。5Gネットワークのバックアップの下、画面は高精細、ショッピング体験は安定してスムーズだという。

感染症対策の期間中に、多くの小売業者が5G+VRの360度VRショッピングガイドプラットフォームの構築に焦点を合わせ、オンライン消費を開拓すると同時に、「オンラインカウンター」で顧客を呼び込むモデルを通じてオフライン実店舗がさまざまな方面で顧客資源を獲得するようサポートし、店舗の売り上げ増加を促進し、オンラインとオフラインが融合した新型消費モデルを実現した。

VRクラウド店舗の責任者は、「VR店舗の顧客フローは今後も大きな発展の可能性があり、現時点で5G+VRは顧客の消費新モデルを育成しているところだ。5Gネットワークがカバー範囲を広げるのにともない、今後はより多くの複合商業施設、ブランドメーカー、小売企業がオンラインオフライン融合型の新型消費シーンに加わるようになり、5G+VR消費新モデルがより多くの消費者に受け入れられ認められるようになるだろう」と述べた。


5GとVRを活用した「没入型」の観光

「5GとVRは双子のよう」

VR技術が登場して以来、関連製品がさまざまな分野で幅広く応用されるようになったが、技術が十分に成熟しておらず、インフラの支えが不足しているなどの問題があり、VR産業の発展にはずっと浮き沈みがみられる。

以前は、VRデバイスの実際の応用の中で、利用者は画面の遅延や音声と画面のズレによって目まいなどを感じることがあった。業界関係者は、「データ伝送効率を保障するため、VRデバイスは体積重量が比較的大きく、長い時間装着していられなかったし、データケーブルを『抜けない』こともデバイスの可搬性を制約していた」と振り返った。

恒信東方文化股份有限公司の呉狄傑副社長は、「今では5G技術の融合でVR技術の欠陥をよりよく補完することができ、デバイスの体験が今ひとつという問題の効果的な解決につながる。5Gには高速、低遅延、大容量という特徴があるため、5G+VRのデータ伝送はこれまでよりも速くてスムーズになり、コンテンツの保存と提供もこれまでより大量の空間と時間を消費せず、従来のVRの技術的ボトルネックを打ち破り、体験もおのずとよりスムーズなものになった」と述べた。

VRデバイスの構造とコストをみると、5G技術は超大容量のクラウド端末保存、高速で安定したデータ伝送によって、データの一部と計算のはたらきをクラウド端末で完了させることができ、VR端末をより小型化軽量化し、ワイヤレス化することができる。ハードウエアの製造コストも70%前後値下がりすることになり、実際のランニングコストもこれに応じて低下する。

業界関係者は、「5GとVRは双子のように寄り添い合う。5GとVRの融合がさらに深化すれば、VRデバイスはクラウド端末化を実現できる可能性がより高まり、このことがVR端末の大規模な普及と商用化をさらに推進することになるだろう」との見方を示した。