「ブラックフライデー」
「ブラックフライデー」中国人のカートがグローバル化


湖北省自由貿易試験区で作られた越境EC産業パーク

年に一度の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)が幕を下ろしてそれほどたたないが、欧米各国で恒例の11月下旬の「ブラックフライデーセール」の際、中国の越境EC産業は「ブラックフライデー」のネットショッピングキャンペーンを盛んに展開するようになった。例年と異なり、2019年は販促商品がより豊富になり、海外通販のライブ配信が新たな注目点になり、市場競争もより激しくなっている。

「ブラックフライデー」は西洋で恒例の大規模セールの日だ。毎年11月第4木曜日の「感謝祭」の翌日が「ブラックフライデー」で、2019年は11月29日だった。ここ2年ほどの間に、中国でも輸入を手掛ける越境EC産業にとって重要なショッピングイベントになった。

最近、洋碼頭、天猫国際(Tmallグローバル)、考拉海購、拼多多、京東国際をはじめとするEC企業がそれぞれの「ブラックフライデー」セールを打ち出すと次々発表し、中国の消費者は家にいながらにして、今海外で人気を集める世界中の特色ある商品をネットで手に入れられるようになった。

上海に本社がある越境ECの洋碼頭によると、2014年に「ブラックフライデー」のネットショッピングイベントが中国に導入されて以来、同社にとって2019年は6回目のセールになる。ユーザーを呼び込むため、2019年はプラットフォームで世界の1000人を超える配信パーソナリティによる海外ショッピングスポットのライブ配信を数千回行い、中国の消費者が米ロサンゼルスの街中にある人気ブランド店や欧米のぜいたく品ディスカウントショップなどに「入り」、世界の特色ある商品や割引セールの情報を得られるようにしたという。

洋碼頭の創業者で最高経営責任者(CEO)の曽碧波氏は、「ライブ配信をするECが流行すると、数億人を超えるネットショッピング利用者の間で配信を見てから買い物をするのが一種の習慣になった。現在、国民の消費高度化の歩みが加速し、消費習慣が変化し、中国のユーザーが高い品質・高いコストパフォーマンスの商品や個性化したサービスにますます高い要求を打ち出すようになっており、『ブラックフライデー』はこれから中国の消費のグローバル化を加速するだろう」と述べた。


2019成都国際サプライチェーンと物流技術装備博覧会の会場

「ブラックフライデー」セールを機に中国市場へ進出する海外の新製品が増えている。天猫国際は11月25日にセールを開始し、欧米や日韓など各国の人気ブランドが2500以上参加し、このうち約40の有名ブランドが中国市場限定の新製品を初めて打ち出した。天猫国際は2019年のセール期間に越境冷凍チェーンサービスを打ち出し、海外企業が新鮮な冷凍食品を中国市場まで運ぶのをサポートした。

「ブラックフライデー」のビジネスチャンスを目の前にして、大手EC企業はどこも現在の越境ECブームの中でパイの分け前にあずかりたいと考えるようになった。ECプラットフォームの新顔・拼多多もこのほど「ブラックフライデー」の海外通販市場に初めて進出すると発表した。グローバルショッピング事業の中で米国、英国、ドイツ、日本の4カ国に「グローバルショッピング海外ステーション」を設置しており、これからグローバル直接調達、保税区からの直送といった方法を採用して「ブラックフライデー」のネットショッピングイベントに参加するという。また米EC大手のアマゾンはこのほど、発表の日から12月末まで、アマゾンの海外通販「時間限定ポップアップストア」が拼多多に登場し、海外の商品約1000種類を提供すると発表した。


アモイ市で開通された越境ECの直送貨物のための「特別ルート」

考拉海購の関係責任者の説明によると、「中国人の買い物カートがますますグローバル化している。消費者は『ブラックフライデー』を通じて1クリックで世界中のものを買えるようになった。国際的ブランドからニッチなし好品まで、『ブラックフライデー』は窓口を提供し、中国の消費者が海外版『ダブル11』に参加できるようにし、よりコストパフォーマンスの高い方法で世界中の素晴らしい商品を楽しめるようにしている」という。

現在、越境ネット通販消費がブームになる中、95後(1995年から1999年生まれ)の新しい消費層が急速に発展している。考拉海購の分析では、今、「ブラックフライデー」に熱心に参加する層は若い消費者が主体で、中でも95後が新たな中心になりつつあるという。

「ブラックフライデー」のネットショッピングブームの背後に映し出されるのは、現在の中国における越境ECの急速な発展だ。網経社のEC研究センターのモニタリングデータによれば、18年には中国の輸入を手掛ける越境ECの取引規模が1兆9000億元(約29兆7300億円)に達して、2017年同期比26.7%増加した。2018年12月末時点で、中国には日常的に越境ネットショッピングを行うユーザーが8850万人おり、同34%増加し、ますます多くの消費者が海外通販で買い物をするようになった。