北京・上海30万円超
地域別住民1人あたり消費ランキング発表


ショッピングをしている人たち

中国国家統計局がこのほど発表した31省(自治区・直轄市)別上半期住民一人当たり消費支出データによると、上海と北京はいずれも2万元(約30万円)を突破し、上海は2万2513元(約33万4400円)で全国トップとなり、北京と天津がその後に続いた。

中国全土でみると、2019年上半期、全国住民1人あたり平均消費支出額は1万330元(約15万3400円)、前年同期比名目増加率は7.5%、価格要因を差し引いた後の実質増加率は5.2%。上海、北京、天津、浙江、広東、江蘇、福建、遼寧、湖北の9地域は全国平均を上回った。

中国人民大学経済学院の劉瑞教授は、「消費力は、住民所得レベルと地域の経済活力をある程度反映している」と指摘している。

また、「消費の増加は、やはり所得の増加の影響を受けている。住民一人当たり可処分所得が今年も引き続きGDP成長や物価の上昇を上回った場合、それらの要因が消費をけん引することは、極めて明らかなことだ。一方で、所得の増加は経済成長と連動している」と劉教授は続けた。

住民はどこにお金を遣うのか

上半期の住民一人あたり消費ランキングを見ると、増加率が最も高い分野は、教育・文化・娯楽で10.9%に達し、食品・タバコ・酒類の消費額が最も多かった。このほか、住居費の支出は2389元(約3万5800円)と、かなりの割合を占めた。国家統計局総合司の付凌暉副司長は、データを総合的に分析したうえで、「住民のサービス関連消費に対する潜在需要が次第に掘り起こされつつある」と指摘した。

付副司長は、「大まかな統計によると、サービス関連消費が住民消費全体に占める割合は50%に近づいている。これは、物財消費がほぼ満たされ、住民の消費がよりサービス性の高い消費にシフトしつつある状況を反映している。今年上半期の状況をみると、たとえば、清明節連休やメーデー連休は、旅行者数・観光収入はいずれも2ケタ台の増加を維持している」と続けた。

国家統計局世帯調査弁公室の分析によると、住民一人あたり教育・文化・娯楽支出が10.9%増となったのは、主に教育機関での教育費の増加が大きく、これが教育支出を17.4%押し上げた。住民一人あたり医療保健支出は9.5%増、これは、昨年度の財政補助額が引き上げられたこと、医療保険医薬品目録の内容が拡大したこと、異なる地域での受診に関する直接清算がより便利になったことなどで、国民がより多くの医療サービスを享受できるようになったことが大きい。国務院発展研究センター市場経済研究所の王微所長は、「住民の消費構造の変化は、消費の内部アップグレードが継続して推進されている状況を裏づけている」と指摘した。

王所長は、さらに「物財消費からサービス消費にシフトしている裏には、庶民の生活レベル、生活の質、個人の成長力の向上が認められ、教育・医療・健康・養老・娯楽などのサービス分野において、サービス消費も、消費増加の最も重要な基盤を支えている事実を示している。新たな技術革命という環境のもと、消費スタイルの革新も、多くの新たな消費エネルギーを形成している。例えば、ネットショッピング、O2O消費(Online to Offline=インターネットからの情報に基づく消費)、さらにはエコ発展理念がけん引している大量の省エネ・環境保護商品の消費などはいずれも、消費市場の拡大に一役買っている」と指摘した。


5G設備を体験している市民

5Gは「新消費」の注目ポイントに

国家統計局国民経済総合統計司司長兼報道官の毛盛勇氏はこのほど、「消費の基礎的役割は引き続き強化されている。寄与率という視点からみると、上半期、消費増加が経済成長への寄与率は60.1%に達した。消費内部の高度化は、引き続き推し進められている」と述べた。

毛司長は、「経済成長が内需の増加に依存する度合いがますます高くなり、ますます消費への依存度が拡大するため、中央政府は国内市場の成長と拡大により多くのエネルギーを注入しなければならない」との見方を示した。

消費の拡大は、より多くの「新消費」による支えが必要だ。国務院発展研究センター市場経済研究所の王所長は、「『90後(1990年代生まれ)』や『00後(2000年代生まれ)』は、消費層の主流になりつつあり、消費高度化をけん引している」と指摘。モルガン・スタンレー中国首席エコノミストの邢自強氏は「今後、5Gは『新消費』の注目ポイントとなるだろう」との見通しを示した。

邢氏は、「中・長期的スパンで見ると、我々は、消費に対する潜在力をいっそう発揮し、さらには高度化を進めていくことに多くの期待を抱いている。具体的には、5Gネットワークが展開し始めると、スマート都市・モノのインターネット・車のインターネット分野での5Gの応用が、次の大きなステップとなり、最終的には、より消費者に近い、カスタムメイドのサービス・体験・ショッピング・医療をめぐる消費活力がいっそう発揮されることになる。これは、今後しばらくの注目ポイントとなるだろう」との見解を示した。