発展中のブロックチェーンは政府や市場の支持、政策面や資金面での支援を得て、業界関係者の間では新たな重点投資分野とみなされている。だが多くの見方が一致するように、ブロックチェーンがまだ発展初期にある現時点では、開放的な態度や発展という視点が必要であるとともに、資本市場での投機行為に警戒することも必要になる。
工業・信息化部信息中心工業経済研究所の于佳寧所長は、「ブロックチェーンは確かに一連の分野でこれまでの情報通信技術(ICT)を超越した。従来のインターネットの優位性は高効率の情報伝達にあり、情報はコピー・ペーストが可能であり、同時に多方面への拡散が可能だった。だがまとまった金銭を1回につき1人にしか送れないという金銭などの『バリュー』のやりとりは、一方向で、1つの送り先にしか送れなかった。よって従来のネットはバリューを伝達することは不得手だったといえる」と述べた。
于所長は続けて、「ブロックチェーンはバリューの伝達過程での完全性、真実性、唯一性という問題をある程度解決し、伝達のリスクを引き下げ、伝達の効率を高めたため、現在の『情報のインターネット』から『バリューのインターネット』へのバージョンアップに合致するものとなった」と述べた。
ブロックチェーンは現在、発展の初期段階にあり、それ自体にもバリュー伝達という属性が備わり、技術本意ではない応用ももたらし、ICO(仮想貨による資金調達)などの資金集めの投機行為が盛んになり、長期的な発展にはマイナスとなっている。2017年9月、政府の7部門が「仮想通貨発行による資金調達リスクの予防に関する公告」を発表し、無秩序に拡大する仮想通貨による資金調達行為を直接名指しした。
清華大学の張偉副研究員は、「ブロックチェーンの応用は現在、その大部分が構想にとどまっている。この時期には資本市場における過剰な投機行為に警戒が必要だ」と指摘した。
業界の予測では、ブロックチェーンの発展は3つの段階を経る可能性がある。1.0バージョンの第1段階はビットコインを代表とするデジタル通貨の時代。2.0バージョンの第2段階は産業のブロックチェーンの時代で、ブロックチェーンが産業、商業、取引などと結びつく。3.0バージョンの第3段階はブロックチェーンと人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などが結びつく時代だ。
インターネットは偉大な革命と呼ばれ、その誕生の時から絶えずイメージを刷新し続け、世界を変えてきた。ブロックチェーンの登場を前にして、真の信任が可能な時代が始まったという人がいれば、従来のパターンをひっくり返す脱中心化の時代が始まったという人もいる。さらにはブロックチェーン以前のインターネットを古典的インターネットと呼ぶ人さえいる。
前出の于所長は、「より注意しなくてはならないのは、インターネットそれ自体が機能を整え、モデルチェンジとバージョンアップを進めていることだ。ブロックチェーン技術はインターネットに長期にわたり存在したデータの無秩序な伝達、真偽の弁別の難しさ、信任の欠如といった問題を解決するものだが、インターネットを基礎的なベクターとしており、技術の変革を通じて信用の問題を解決するものにほかならない。『取引のオンチェーン』を通じて、インターネット上でのバリューの高効率伝達を実現させることになる」と述べた。
中国QRコード登録認証センターの張超執行代表は、「ひっくり返すというのは相対的なもので、脱中心化も相対的なものだ。ブロックチェーンは脱中心化、脱仲介者などの特徴を備え、信任の問題や情報の改ざんリスクが存在する物流、供給チェーン、金融、追跡などの分野に変革のチャンスをもたらし、一連の第三者取引、信用、検証などのプラットフォームに影響を与えるが、脱中心化の枠組内にあっても、やはり実用的な信用の媒体やベクターによって応用シーンを設定しこれを豊富にする必要があり、今後はさらにブロックチェーンの各方面における応用と発展を見守ることが必要だ」との見方を示した。
また張執行代表は、「人類社会の発展プロセスからみても、インターネットの発展プロセスからみても、ある技術がコストを引き下げ、効率を引き上げることができるなら、おのずと優勝劣敗の法則が働き、時代をひっくり返すような影響を及ぼすことになる。だが現在のブロックチェーン技術はまだ未成熟で、ブロックの生成に長い時間がかかる、メモリの規模が大きいといったことがあり、今後はさらに演算速度、暗号化の方法、インフラ構築などでブレークスルーを達成するかどうかをみなければならない」と述べた。
ブロックチェーンの発展はまだ初期段階にあり、市場が十分に育つことが必要であり、政府が時代の流れに応じて誘導することも必要だ。中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC)の張野委員長は、「ブロックチェーンは既存の法律法規に対して一連の課題をもたらし、特に金融分野で課題をもたらす可能性がある。私たちはそのような未来を恐れる必要はないが、そうしたプロセスをしっかりと監督し管理する必要はある」と述べた。
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