北京市文化局が主催する漫画・アニメ・ゲーム産業のイベントの第5回「動漫北京」が9月15日から17日にかけて北京国家会議センターで開催された。このイベントは2012年に始まって現在に至り、レベルの高さ、規模の大きさ、専門性の高さ、内容の豊富さで知られ、北方地域で最も大規模な、最も影響力をもった漫画・アニメ・ゲーム産業の一大イベントとなっている。今年は6ブロックに分かれて約70の活動が行われ、関連企業と漫画・アニメ・ゲームファンが大勢会場を訪れた。統計によると、今年の入場料収入は300万元(約4536万円)、入場者数はのべ15万人、取引金額は3000万元(約4億5360万円)に達したという。総娯楽化のパワーが漫画・アニメ・ゲーム産業の前進を後押しする力強い流れとなっている。
イベント会場をながめると、ゲーム産業は目下、総娯楽化の方向へと発展し、消費者はこれまでのように漫画・アニメ作品を鑑賞したり、ゲームで遊んだりするだけでは飽き足りなくなっており、漫画・アニメ・ゲームの知的財産権(IP)から派生した映画、ドラマ、大規模双方向(インタラクティブ)娯楽プロジェクトが文化消費の新しいホットポイントになったことがわかる。
会場に向かうコスプレイヤー
二次元の世界が身近に
「装備をお持ちのお客様は指定の入口からお入りください」。このような入場アナウンスに従い、長い行列がゆっくり入口に向かって進んでいく。「装備」とは、ネットワークゲームの愛好家がしばしば使用する道具で、愛好家がコントロールするキャラクターの特殊能力を向上させる。イベント会場では、キャラクターが二次元の世界から飛び出し、コスプレ好きな漫画・アニメファン演じる実在の存在として登場する。長い大きな刀を抱えた人、人の顔くらいあるロリポップキャンディー、頭や体に特製のヘッドフォンを装着した人、古代の衣装を着ている人、幽玄なムードの衣装を着ている人、色とりどりのカツラ……コスプレ空間にいると、普通の服を着ている自分が「異質な存在」になったような気がする。
会場ではゲームのコントローラー、コスプレの道具、漫画・アニメ・ゲームの派生商品のブースの前はどこも人でいっぱいだった。ポーズを取るコスプレイヤーの周りでは絶え間なくフラッシュが光り、歓声が上がっていた。
関連データによると、中国の二次元世界の消費者は2億7000万人に達しており、漫画・アニメ・ゲーム産業はまもなく爆発的発展期を迎えるとみられる。イベント会場をながめると、来場者は14~25歳の若年層が中心で、言葉を覚え始めたばかりの小さな子どもを連れた若いパパやママの姿も少数ながら見られた。
主催者側のデータによると、初日の閉館2時間前の時点で、来場者はのべ3万人を突破し、昨年の来場者数に達したという。
インタビューを受けているコスプレイヤー
総娯楽化がトレンド
イベント会場にはオリジナル仮想現実(VR)ゲームの無料体験コーナーがあちこちにあり、大勢の来場者が楽しんでいた。ヘッドマウントディスプレイを装着し、コントローラーを持って、ゲームの中で小鳥に変身し、卵を集めて巣に戻すゲームがあった。チームになって戦車に乗り、戦車のいろいろな位置のリアルな感覚を味わえるゲームもあった。
2016年にはVR技術と拡張現実(AR)が発展して漫画・アニメ・ゲーム産業をまったく新しい時代へと導き、これと同時に、新技術が産業の変革を後押しする重要なエネルギーにもなり、巨大な消費市場を誕生させただけでなく、産業の新たな繁栄を推進し、業界やプラットフォームの枠を越えた「総娯楽化」の流れを導いた。
また質の高いコンテンツのIPを中核とする業界の枠を越えた産業チェーンが形成され、オンラインではゲーム、ネット文学、ネット映画、ネットドラマ、オフラインではテーマパーク、派生商品の開発などが登場し、コンテンツを中核とする「総娯楽化」の概念がトレンドになり、漫画・アニメ・ゲーム産業は分野や業界の枠を越えて融合発展を遂げている。
中央財経大学文化経済研究院の魏鵬挙院長は、「コンテンツを中核とする総娯楽化が漫画・アニメ・ゲーム産業の発展の流れであり、これに対し、産業は分野や業界の枠を越えて融合し、質の高いコンテンツのIPを中核とする産業チェーンを構築する必要がある。オンラインではゲーム、ネット文学、ネット映画、ネットドラマ、オフラインではテーマパーク、派生商品の開発などがある。また国内の漫画・アニメ・ゲーム産業はスタートからそれほど長い時間が経っておらず、業界は人材不足だ。そこで業界の人材育成を重視し、漫画・アニメ・ゲーム企業のハイレベル人材の育成を進める必要がある。このほか、政府も漫画・アニメ・ゲーム産業の発展に向けて良好な環境を提供し、政策の面で奨励と支援を与え、法律の面で保護する必要がある」と指摘する。
文化部と国家発展改革委員会は国の第13次五カ年計画における戦略的新興産業の計画を制定中で、指導リストにはデジタルクリエイティブ産業の項目がある。今後はデジタル文化産業を対象とした指導意見をうち出すことも検討中という。
イベントに参加しているコスプレイヤーたち
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