上海ディズニーリゾートが華々しく開園
「ミッキーと灰太狼との一騎打ち」

世界最大の「夢の国」が、中国大陸に門を開いた。上海ディズニーランドは6月14日から3日間にわたり、盛大なオープニングイベントを催し、16日に正式にオープンした。上海ディズニーランドは、米ウォルト・ディズニー・カンパニーが中国大陸部に建設した初のテーマパークであり、米国以外では最大のディズニーランドとなる。

上海ディズニーランドは着工以来、中国国内でテーマパーク・ブ―ムを巻き起こした。某海外メディアは、この現象を「ミッキーマウスと灰太狼(注:中国アニメのキャラクター)との一騎打ち」と例えた。だが、さらに多くの分析によると、モデルチェンジ期において、中国の消費力はますます世界を魅了するようになり、中国人はカルチャー旅行により多くのお金をかけたいと思うようになった。ミッキーマウスであろうと灰太狼であろうと、それが魅力的な存在でありさえすれば、どちらでも構わないのだ。


開園当日、上海ディズニーランドの来園客

ディズニー社の野望

AFP通信の報道によると、投資額55億ドル(約5642億6200万円)を上回る上海ディズニーランドは、上海市の郊外に建設された。以前は田畑や小工場があるだけだった土地には、園のシンボルとなるお城の青い尖った屋根がそびえ立っている。ウォルト・ディズニー・カンパニー会長兼CEOのロバート・アイガー氏は、「上海ディズ二―ランドは、弊社の発展にとって大きな『一里塚』的な意味合いがある」と話した。上海ディズニーランドの開園時期は、数十年間2桁台の成長を続けていた中国GNPの高成長期が終わったタイミングと重なった。だが、ウォルト・ディズニー・カンパニーは、「中国の経済減速が、急増する中国の中産階級の勢いを食い止めることはできない」という認識を持っている。この信念は、中国政府が国内消費を大いに奨励したことから、ますます強くなっている。中国の消費者は、だんだんと、中国経済をけん引する大きなパワーとなりつつある。これらの消費者層が、ミッキーマウスの新居を訪れ、お土産を買い、食事をして、宿泊したいと考えている。

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「上海ディズニーランドは、中国に対するディズニー社の野望のための踏み石となっている。海外でのテーマパーク事業は、ディズニーにとって数少ない斜陽事業のひとつである。フランス、日本、中国香港にあるテーマパークは軒並み、営業収入が芳しくない状態が続いており、赤字の場合もある」と報じた。だが、「上海ディズニーランドは、ディズニー社の振るわない海外業務収入を盛り返すであろう」と見るアナリストは数多い。野村証券は、「上海ディズニーリゾートは、開園1年目、1500万人の来園客と5億ドル(約512億9000円)の営業収入が見込まれる」と予測する。報道によると、ウォルト・ディズニー・カンパニー会長兼CEOのロバート・アイガー氏は、「上海ディズニーリゾートの意義は、中国一の大都市により多くの人々を誘致するビジネスチャンスだけにとどまらない。弊社創始者の故ウォルト・ディズニー氏がテーマパークの助けを借りてディズニーブランドを米国内で大きく発展させたように、中国でも、同じような輝かしいチャンスが再現されるに違いない」とコメントした。

中国人はミッキーマウスにまだ関心があるのか

日増しに拡大する中国の消費者層に眼を向けている国際大手企業は、何もディズニー社だけではない。AFP通信は、「中国でテーマパークが建設されるスピードは、世界のどの国よりも速い。昨年1年間で21のテーマパークが開園、さらに20園が建設中だ」と報じた。ユニバーサル・スタジオは、北京にテーマパーク建設を計画しており、ドリーム・ワークス・アニメーションも24億ドル(約2462億円)を投じて「ドリーム・スタジオ」を建設するという。

「中国のストーリー」を追い求めているのは、海外巨頭だけに限らない。不動産大手「大連万達集団(ワンダグループ)」の王健林会長も、自社独自のテーマパークを建設している。この前、同社初の大型複合観光施設「南昌万達文化旅遊城(ワンダ・シティ)」がオープンする数日前、王会長はディズニーによる「カルチャー侵攻」を批判、「ミッキーマウスやドナルドダックが起こした騒動はもう終結した。我々が盲目的にディズニーの後を追う段階はすでに終わったのだ」と話した。

ロイター通信によると、ディズニーは大きな課題に直面している。挑戦を仕掛けているのは、中国では超有名な「熊大」や「灰太狼」などのアニメキャラクターだ。これらのキャラクターの存在感が大きいため、中国の子供たちはミッキーにはあまり関心を示していない。 今の中国の子供たちに「一番好きなアニメキャラを描いてみて」というと、ミッキーやドナルドを描く子はほぼ皆無だ。中国のテーマパークが増えるに伴い、ディズニー側が中国の子供たちのハートを捉え、親の財布の紐を緩めることは一層困難になるに違いない。

独週刊誌「デア・シュピーゲル」は、次の通り報じた。「ミッキーと灰太狼との一騎打ちの時が来た。上海ディズニーはこのほど、中国大富豪の王健林氏から公然と『宣戦布告』を受けた。ディズニーは、中国での立ち位置について憂慮しなければならないのだろうか。上海ディズニーランドの入場券は国内テーマパークより高いが、開園後数週間分のチケットは完売状態で、中国における米国の娯楽商品の人気の高さがうかがえる。王健林氏もその例外ではない。3年前、万達の投資によって建設された青島東方影都(オリエンタル・ムービー・メトロポリス)が開業した際に、王氏はニコール・キッドマンやレオナルドなど米国の映画スターを招待した。灰太狼がミッキーと正真正銘の実力比べをしようと思うのならば、さらに努力しなければならないだろう」。