米国と肩を並べる中国のネット通販

「ダブル11(独身の日、11月11日)」の激安セールは2015年で7年目を迎えた。この日は今や、中国最大のショッピングセールの日となっただけでなく、2015年は世界各国への波及も新たなレベルに到達した。日韓および欧米、オーストラリアなど各国のブランドがこぞって商戦に参加している。「ダブル11」の発展は、中国における電子商取引(EC)の急成長の縮図とも言える。中国のECの発展はすでに米国と肩を並べるほどの水準に達した。一方、日韓両国では企業が保守的、オンライン決済の手段が限られるといった要素に足を引張られ、ECが十分に発達していない。

米国:クロスボーダーECは世界最強

米国統計局のデータによると、近年、米国のEC売上高が小売売上高全体に占める割合は6~7%に達し、成長率は14%前後と、小売全体の成長率を上回っている。2015年第2四半期のEC売上高は約838億ドル(約10兆2880億円)、小売売上高に占める割合は7.2%に達した。一方、中国商務部が11月9日に発表したデータによると、2015年の第1~3四半期、中国の電子商取引の売上高(B2Bとオンライン取引を含む)は11兆2000億元(約215兆700億円)に達し、うちオンライン取引は2兆6000億元(約49兆9300億円)と、世界一の規模になった。ただ、中国のネットショッピングは規模は大きいものの、世界市場への影響度では、AmazonとeBayという2大大手を抱える米国が首位に立った。

米国の大部分のオンラインショップは、取扱い商品が合格品であることを保証し、消費者も様々な理由で返品することが可能だ。中国と違い、米国ではネットショップを利用する際、店側のスタッフと交流することが少ない。

日本:ネットショップに価格面での強み無し

日本のEC市場の発展は、同国の実店舗の発展水準とは比例していない。市場シェア、産業チェーンの深度のどれをとっても、中国の京東商城や阿里巴巴(アリババ)とは比べようも無い。

日本の製品は人気を集めているのに、日本企業の「EC化」はなぜ遅々として進まないのだろうか。それは、日本では実店舗商売が高度に発達しているためだ。日本では、デパートやスーパー、専門店(ドラッグストア)、コンビニなどが、便利で完備されたビジネス圏を形成している。コンビニだけでも日本全国に5万3000軒存在し、主要都市の住民は徒歩15分の範囲内で様々な需要が満たせる。日本のECサービスの多くは「通信販売」から発展してきたもので、オンライン化しても、定期的に商品カタログが郵便で届く。

日本国内の市場競争は十分で、価格体系も成熟しており、消費者は海外の通販サイトで安い商品を買ったり、安価なコピー商品を買うといったことが無い。また、送料が高く、ネットで購入しても実店舗で購入しても価格がほぼ同じだ。さらに、日本式のサービスでは、顧客との1対1のコミュニケーションを大切にしている。同じ化粧品を買うのでも、カウンターで店員に紹介されるかどうかで大きな違いがあるのだ。

また、日本企業の保守的な態度もECの発展を妨げている。特に中国や東南アジアといった新興国に対し、多くの日本企業は自国でのやり方を通そうとして失敗している。日本企業に中国業務のコンサルティングを提供する専門家は「5~6年前に、日本の有名な化粧品メーカーに中国でEC市場を開拓するようアドバイスしたことがある。だが、この会社は全く興味を示さなかった。最近になり、代理購入市場が発展したのを見て、やっと気づいたようだ」と語る。今や、中国の巨大な市場ニーズに後押しされ、日本もEC改革を断行せざるを得なくなっている。このほか、高齢化も日本のEC市場の発展が緩慢な原因の1つかもしれない。

韓国:米国のEC大手が自国のEC企業を買収

韓国政府は1998年より企業と個人のネット起業・EC展開を推奨し始めた。多くの主婦がネットショップを開設し、韓国はECブームを迎えた。韓国のECサイトは大きく2種類に分けられる。1つはB2Cのオンラインショッピングモール。多くがロッテなどの大企業を後ろ盾としている。もう1つはオープンプラットフォームで、中国のタオバオに似ている。オープンプラットフォームの方が取引が活発に行われているようだ。

韓国のECは近年急成長を遂げており、EC市場規模は過去3年間、年10%以上のペースで持続的に成長している。2014年のEC市場規模は約470億ドル(約5兆7701億円)に達した。しかし、急成長はしているものの、韓国にはアリババやAmazonのような「巨頭」が存在しない。グローバル大手が韓国のEC企業を買収し、韓国市場に進出したのだ。米国のeBayは韓国のAuctionとG-Marketを相次いで買収、市場ニーズの70%を独占している。

2015年は韓国のEC各社も中国に倣い、「韓国独身の日」と題した激安セールを行っている。韓国のロッテ百貨店は11月10日から12日にかけ、「ロッテドットコム」など傘下のオンラインショッピングモールで大規模な割引キャンペーンを実施する。