中国の粉ミルクブランドがシェア奪回

中国の日用品市場全体の増加ペースが3年連続で鈍化している。世界トップクラスの米管理コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーと英国のリサーチ会社カンターはこのほど、「中国購買者報告書2015」を発表した。それによると、日用品26品目では中国現地ブランドが3年連続で海外のライバル社から市場シェアを取り返しつつあり、粉ミルク市場での外資のシェアが昨年初めて減少に転じたという。


海南省三亜市の免税店で、海外ブランドの粉ミルクを購入しようとしている中国人消費者

「中国購買者報告書2015」は中国の4万世帯の消費行動について、主に4大分野(セルフケア、ホームケア、飲料、パッケージ食品)の26品目(日用品売上高の約80%を占める)の消費状況を調査しまとめたものだ。

日用品26品目では、中国ブランドが3年連続で海外のライバルから市場シェアを奪還しつつある。詳しくみると、18品目で中国ブランドのシェアが上昇し、売上高の平均増加率は10%に達した。海外ブランドがシェアを維持した品目は8つにとどまり、トイレットペーパー、ビール、整髪料、ガムは平均増加率が3%にとどまった。外資は各級都市でいずれも市場シェアを失い、14年全体で1.6%のシェアを失った。これまで最も強い競争力を示していた一線都市でも1.5%を失った。

ベイン社の大衆消費財・小売・ぜいたく品事業部門のブルーノ・ランド代表は、「この分析結果は品目や都市のレベルなど全体的な視点から導き出されたもので、どこかの外資系ブランドがとある品目で失敗したという意味ではない。だが全体として中国現地企業が時間の経過とともに競争力を増し、オフラインの都市ネットワーク配置を利用してより高い市場での成長率を実現させたということがいえる」と話す。

注目されるのは、これまで中国市場を独占してきた海外ブランドの乳児用粉ミルクの市場シェアが低下し始め、14年の低下幅が3.1%に達したことだ。カンター中華圏の虞堅総経理は、「ここ2年間に一部の外資系ブランドは原料問題が発覚し、後に誤解だとわかったものの、消費者の海外ブランド粉ミルクに対する信頼感に影響を与えたことは事実だ」と話す。

同報告書によると、中国日用品市場全体の増加率は12年の12%前後から13年は7.4%、14年は5.4%に低下し、今年第1四半期(1~3月)はさらに4.4%に低下した。ホームケア製品とセルフケア製品の売上高の伸びが鈍化し、パッケージ食品や飲料の絶対的消費量が低下したことが、日用品の伸びの鈍化を招いた原因だ。ここから中国の消費市場が徐々に成熟に向かい、購入者が日用品に充てる支出の割合が徐々に低下し、生活スタイルに関わる商品の支出の割合が増えていることがわかる。