海外通販業者が乳幼児市場で開拓すべき道

それほど多額の儲けは出ないものの、海外通販業者間での紙オムツの価格競争は、依然下火にはなっていない。年半ばの大型セール合戦では、紙オムツをはじめとする乳幼児市場では、価格競争が一段と熾烈化、衆美優品(Jumei.com))、蘇寧紅孩子母嬰、アマゾン海外通販などが続々と戦列に加わった。

某ベテラン海外通販関係者は、「規格化がかなり進んでいる商品の一つである紙オムツは、通販業者が保税区で商品備蓄、商品発送するのに適しており、廉価での販売促進を行い、ユーザーエクスペリエンスを高めやすい。だが、紙オムツの価格競争がこのまま続くと、海外通販業者には害もなく益もない。価格競争でユーザーを刺激するというやり方では、目標達成は非常に難しい」と指摘した。

 

価格戦再燃

前回の価格戦が下火になって4カ月もたたないうちに、海外通販業者による紙おむつ合戦は、今年の折り返し地点に近づいた今、再燃している。北京商報の記者が調べたところ、天猫(TianMao)国際、京東グローバルショッピング、アマゾン海外通販、衆美優品など主流ショッピングサイトは軒並み、乳幼児市場にターゲットを絞った販促キャンペーンを繰り広げている。

このうち京東グローバルショッピングは、自社ブランドの乳幼児製品8種類を主に推しており、一部商品では、499元(約1万円)分購入すると100元(約2000千円)割引の特別価格が打ち出されている。もともとの価格が1パック125元(約2500円)のユニ・チャーム製紙オムツは、79元(約1600円)まで下がった。衆美優品によると、乳幼児製品の今回のセールでは、「1億元」(約20億円)級の特別優待を実施、取り扱っている日本製花王ブランド紙オムツは、1パック170元(約3400円)を78元(約1600円)まで値下げした。

前回の紙オムツ価格合戦に参戦した蜜芽ベビーも、当然黙ってはいられない。また、前回は不参加だった蘇寧紅孩子母嬰、アマゾン海外通販、天猫(TianMao)国際など通販大手がこぞって、中間決算特別セールに加わった。

 

 

人気が集まる乳幼児市場

6月の中間決算特別セールで、通販業者が出す特別キャンペーン商品は、さまざまな種類に及び、企業によって重点商品も異なる。しかし、紙オムツに代表される乳幼児製品市場は、なぜ常に「決戦の場」となるのだろうか。

中国電子商取引研究センター・アナリストの莫岱青氏はこのような状況について、「オンラインショッピングのユーザーには、女性がかなり多く、紙オムツなど乳幼児製品に対する彼女らの需要は極めて高い。また、乳幼児製品市場は、比較的参入しやすい市場だ」との見方を示した。

別のベテラン海外通販関係者は、「紙オムツは、規格化がかなり進んでおり、非常に多くの海外通販業者が現在採用しているブランド商品の仕入れ、国際郵便、保税方法に適している。このやり方にのっとれば、商品価格を下げることが可能であるばかりか、速やかな発送が可能で、ユーザーエクスペリエンスを高めることができる」と指摘した。

当当網海外電子商取引業務部の田沛剛・総経理は、「海外通販で取り扱う輸入商品の種類は、今のところ、紙オムツなど乳幼児製品に極端に集中している。輸入商品品目をめぐる政府の政策に、不確定要素が多々あることが、その主な原因だ。運営面で多くの不確定なリスクが存在することから、海外通販業者は、あらゆるジャンルの製品を取り扱うことが難しくなっている」とコメントした。

 

発展の足を引っ張るもの

紙オムツの価格合戦に生き残るだけでは、海外通販業者が市場での地位を確立するにはあまりにも心もとない。

北商商業研究院の分析によると、紙オムツをはじめとする乳幼児商品を細く分析すると、消費の頻度が高いが、ターゲット・ユーザーの幅があまりにも狭く、消費周期が短く、ユーザーを定着させることがかなり難しいことが分かる。価格戦だけに頼っていると、ユーザーの定着度を高めることは難しく、紙オムツ価格戦で市場を開拓するというやり方には限りがある。

海蜜グローバルショッピング創設者である徐俊氏は、かつて、次の通り指摘した。

「紙オムツ価格戦は、一部の業界関係者による自作自演に過ぎない。乳幼児製品市場のユーザーがアクティブな時期は極めて限られる。粉ミルクや紙オムツは、1歳から3歳までの乳幼児期に使われるだけだ。この年齢を過ぎれば、ユーザーは、特に一般ユーザーとは変わらないユーザーに転化してしまう。その結果、多額のコストを使って獲得したユーザーであっても、わずか2~3年後には去って行ってしまう。現在、バッグなどの贅沢品や生活用品が、海外通販の主な販売商品になりつつある。海外通販業者も、そのような趨勢に伴い、取扱商品のバラエティ化を図り、より多くの種類の商品を揃えるようになるだろう」。