海外資本の国内通販市場への投資が可能に

国務院の李克強総理がこのほど午前中に北京市中関村でコーヒーを飲み終えると、午後には国務院が「国務院の通信販売事業の発展に力を入れ、経済の新たな原動力の育成を加速させることについての意見」を発表し、海外資本が通販事業に投資することを認めた。これにより政府部門は5月3日連続で、通販事業と「インターネットプラス」の新業態への支援に関する文書を通達したことになる。


2015年5月7日、北京市中関村を視察している李克強総理

商務部と国家税務総局は5月5日と6日に相次いで文書を通達した。商務部が通達したのは「無店舗小売事業の経営管理規定」についての意見募集文書、税務総局が通達したのは「各級の税務部門は今年は一部の新興業態(通信販売、インターネットプラス)などを対象とした全面的な納税評価および税務検査を専門的・統一的に行ってはならない」ことについての通知だ。いずれも通販事業に対する課税が徐々に緩和されるシグナルとみなされる。北商商業研究院によると、通販分野の政策が集中的にうち出された後には、経済やサービスの分野における通販の地位が改めて向上することになるという。

多くの業界関係者にとって、同意見の中で最も目新しい内容は、「条件を満たしたインターネット企業による国内での上場などに関連した政策を研究し奨励する」という部分だ。これに対応するように、同意見では国内の通販企業による海外上場の審査承認プロセスの簡略化、通販分野での国境を越えた人民元建て直接投資の奨励を提起している。また海外企業が通販事業に投資する際の持ち株比率をめぐる制限の緩和も提起している。

現在では、上海自由貿易試験区にある企業を除き、海外の投資家が国内の通販事業に直接投資することは認められていない。そこで海外資本は一般的に「変動持分事業体」(VIE)方式を利用して中国の通販産業に参入する。こうしたやり方には「後遺症」があり、それはVIE方式を採用した通販企業は国内で上場できず、海外で資本化の道を探らなければならないということだ。

だが北京暴風科技株式有限公司が上場して「29日連続ストップ高神話」をうち立てると、インターネット企業の多くがVIE方式をやめて、A株への回帰を検討するようになった。たとえばこのほど行われたフォーラムでは、経緯中国の創業パートナーの張穎氏が、「過去数カ月間に、経緯中国が投資した米ドル建ての企業約110社のうち、約40社が現在、構造の再構築に取り組み、国内資本市場への回帰の準備を進めている。今後は優れたネット企業のA株市場への回帰が流れになるとみられ、未来のA株市場ではネット企業の数が現在の10倍から30倍に増えることが予想される」などと述べている。

同意見が発表されると、市場は企業の上層部がどのようなデザインを描くかに注目するようにもなった。国境を越えた通販事業の鮮Lifeの共同創業者であり最高経営責任者(CEO)の肖欣氏はかつてUBS、シティバンク、JPモルガン・チェースなどの投資銀行に勤めていたことがある。肖氏からみると、同意見の内容はこれまでVIE方式により海外で上場するしかなかった通販企業が国内A株市場に回帰する上で大いに助けになり、「政策が実施されれば、たとえば海外企業の投資が開放されて、(インターネットコンテンツの提供をめぐる)ICP許可証(ICPライセンス)を取得できた企業は、中外合弁企業になることができ、そうなればインターネット運営事業を取り扱い、A株市場に上場できるようになる。海外資本や海外企業の通販事業への直接投資が認められるだけでなく、通販企業の国内上場に関する要求でも海外の事例を参考にして、柔軟な価格設定メカニズムが採用される見込みで、利益を追求しない」のだという。

緩やかな発展環境の創出について、同意見は参入ハードルの引き下げもうち出し、「通販分野の既存のこれまでに設置された審査認可項目を全面的に整理して、法律・法規に根拠がないものは一律に廃止する」とした。

通販業界関係者は、「今週は通販に関する政策が相次いでうち出され、ここから国家レベルでの通販産業に対する態度がはっきりとうかがえる。これは一方ではグレーゾーンに日の光を当てることであり、O2O(オンラインとオフラインとの連動)サービス事業者や淘宝(タオバオ)店舗のオーナーを含むより多くの事業主体が通販政策の監督管理の範囲に組み込まれることを意味する。また一方では規範の中で産業の発展を促進し、産業の発展を縛るメカニズムや体制の障害を取り除くことを意味する」と話す。