外資にとっての中国市場の魅力とは

商務部がまとめたデータによると、今年第1四半期(1-3月)には中国の実行ベース外資導入額が同26.1%減の3016億7000万元(約6兆4557億円)となった。また新たに設立された外資系企業は前年同期比20.7%増の1万2000社に達し、製造業の占める割合が上昇した。

超大規模市場のニーズを

手放すわけにはいかない

「中国市場は常に当社にとっての最大の成長エンジン」、「中国とアジアの市場での伸びが引き続きトップ」……。バイオ医薬から新エネルギー材料まで、化粧品から食品・飲料品まで、複数の業界の多国籍企業の責任者を取材すると、中国市場の成長傾向を楽観視するという点で一致しており、このことは変化や混乱に満ちた国際市場の中で、中国市場に引き続き魅力があることを物語っている。

世界を見渡すと、グローバル経済成長率は鈍化し、地政学のリスクが高まり、外部需要が減少するなど何重もの複雑な条件が折り重なり、世界の国境を越えた直接投資は振るわない。国際連合貿易開発会議(UNCTAD)がまとめた報告書では、「2023年のグローバル越境投資は18%減となった」と指摘した。

時間的に見ると、19年から23年第1四半期(1-3月)まで、中国の外資導入額は過去最高を相次いで更新してきた。

改革開放の初期に中国に進出し、21年にアジア地域本部を上海に移した米国の食品メーカーのクラフト・ハインツ・カンパニーは、現在は中国での投資を増やし続けている。

少し前に、米アップル社はアジア最大の直営店となる上海静安店をオープンした。その前のブルームバーグ社の報道によると、「iPhone(アイフォーン)」の中国での販売台数が減少する中で、アップルは上海に新店舗を開設しており、中国市場は引き続き「極めて重要」であることがわかる。なぜなら中国には世界最大規模のスマホ消費者が存在するからだ。

世界的な経営コンサルティング会社の米カーニーがこのほど発表した2024年海外直接投資信頼度指数(FDICI)報告によると、中国は前年の7位から3位に飛躍し、新興市場向けのランキングではトップだった。

世界的ヘッジファンドのブリッジウォーター・アソシエイツを創設したレイ・ダリオ氏はこのほど「私はなぜ中国に投資するのか」と題した文章を発表し、「重要な問題は中国で投資すべきかどうかではなく、どれくらい投資すべきかということだ」との見方を示した。

高効率の産業サプライ

チェーンの優位性

多くの外資系企業を引き寄せるのは、「中国市場」の生み出す大量のニーズだけではない。「中国のイノベーション」と「中国製造(メイド・イン・チャイナ)」のハードパワーもある。

中国には世界で最も分類が整い、最も規模が大きな工業体系が備わり、これまで14年連続で世界の製造業でトップの国であり、製造業の付加価値は世界の約30%を占める。

世界銀行が発表した物流パフォーマンス指数で、中国は19位だった。物流インフラのランキングでは、中国は米国などの先進国を上回った。

アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は先月に上海で、「当社にとって、世界の他のサプライチェーンで中国よりも重要だというところはない。アップルはこれから中国のサプライチェーンパートナーとの長期的協力を強化していく」と述べた。

今や、中国には整った産業体系、極めて大規模な市場、安定した社会情勢、長期的に好転するファンダメンタルズなどの総合的な優位性が備わる。

このため、英国に本拠地を置く大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)のグレーターチャイナ華北エリアの蔡偉年・税務主管パートナーは、「中国の投資先としての位置づけは他国では代替不可能だ」との見方を示した。

また蔡氏は、「中国には相対的に安定した政策、信頼性の高い電力供給、相当な数のエンジニアが存在する。中国経済の確実性と強靱性は、外資が対中投資を拡大する上での重要なポイントだ」と述べた。