不動産市場、下半期に回復の見込み

今年の不動産価格はソフトランディングが基調となり、購入制限政策は全面撤廃となる可能性があり、大都市の不動産市場は下半期に回復の見込みがある。

昨年末に安定化の兆しを見せた不動産市場が今年、引き続き回復傾向を継続できるかに、市場は注目している。中国社会科学院が発表した報告書「中国住宅発展報告(2014-2015)」は、今年の不動産価格はソフトランディングが基調となり、購入制限政策は全面撤廃となる可能性があり、大都市の不動産市場は下半期に回復の見込みがある――との見方を示した。長期的に見ると、不動産市場は今後、さらに長期的でさらにゆっくりとした、さらに程度の深いL字型の調整局面に入り、不動産市場は今後、中成長の発展という「新常態」(ニューノーマル)を迎えると考えられる。

 

不動産市場の基調は「調整」

中国の不動産市場の全面的な下落傾向は昨年、徐々に確実となった。また一線・二線都市と三線・四線都市との不動産市場の動向が異なり始めていることも明らかとなった。中国指数研究院の発表した報告によると、中国の不動産市場は昨年、調整期に入った。整地・起工していた物件が多かったことで市場供給量は増加したが、需要の伸びは緩まり、供給過多の圧力が生まれた。そのため不動産市場は2013年の上昇局面を終え、多くの都市の住宅平均価格が下落し、都市によっての価格の動きの分化も明らかになった。

全体的な軟調を大きな背景として、今年の不動産市場は調整の継続が基調となり、不動産価格が近い将来に大幅に反発することはない見込みだ。都市・競争力研究センターのセンター長で、今回の報告書の編集長を務めた倪鵬飛氏によると、今年の住宅市場は「二重の分化」という動きを見せると考えられる。第一に、一線・二線都市と三線・四線都市の調整に分化が生じる。一線・二線都市では需要が旺盛で、消化が速く、調整時間は短くなる。三線・四線都市の需要は弱く、供給が多く、消化が遅く、調整時間は長くなる。第二に、短期の調整と長期の調整の分化が生じる。現在の状況から見ると、調整が短期で終わりそうなケースもあるが、長期的な調整は非常に長いプロセスとなると見られる。二重の分化の状況の下、調整によって衰退の局面をなかなか抜け出すことができず、全体として活力が不足している状況が続いている。ただ一部の一線・二線都市、とりわけ一線都市の調整と回復は年内に実現される可能性もある。

 

在庫整理が依然一番の任務に

実際には、一連の政策による微調整を受けて、一線都市の不動産市場の取引量は昨年第4四半期に「暖冬」を迎えていた。中原不動産研究センターの統計データによると、昨年12月、全国54都市の住宅契約件数は合計31万8000件に達し、昨年の月間最高を記録した。そのうち一線都市は5万3700件で、前月比の上昇幅は38%に達した。

上海易居不動産研究院の楊紅旭副院長によると、不動産市場の取引量は昨年10月に反発し始め、12月に最高を記録した。このため大都市全体の取引量はすでに明らかに回復しており、最も低迷していた時はすでに過去のものとなった。

だが不動産取引量が昨年末に上向いたことは、市場の巨大な在庫圧力を完全に緩和するものではなく、不動産市場のファンダメンタルズは実質的な好転には至っていない。昨年12月の全国36カ所の大中型都市の在庫販売比率指標から見ると、一線都市と一部の二線都市の在庫消化周期は合理的な範囲に戻ったが、在庫圧力は依然として大きい。市場の在庫消化周期が15カ月以上でファンダメンタルズが理想的でない都市はまだ大多数を占めている。

 
不動産市場には巨大な在庫がある

購入制限政策は全面撤廃か

不動産市場の低迷を受けて、全国各地では、購入制限や価格制限の調整政策の緩和が次々と行われ、購入制限令が出された46都市のうちまだこれを維持しているのは北京・上海・広州・深?・三亜の5都市にすぎなくなった。さらに昨年末には、上海が購入制限政策をまもなく緩和するとの噂が流れ、一線都市でも購入制限令が完全に撤廃されるのではとの市場の期待を高めた。

倪鵬飛氏によると、一線・二線都市の不動産価格は今年、引き続きの下落となると見られる。不動産市場の不景気と調整政策の主方向の住宅消費支援への転換に伴い、購入制限を続けている5都市も年内に全面的に制限撤廃を行う可能性がある。専門家によると、不動産市場の需給調整は今後、行政手段ではなく市場価格を通じて行われることになる。

実際には、購入制限令が全面的に緩和されたとしても、不動産市場が過去の「黄金の10年」の急速成長を再現するのは難しい。倪鵬飛氏によると、集中的な市場救済政策の打ち出しは、市場の恐慌を緩和し、不動産価格のハードランディングを避けるのに積極的な役割を果たした。だが不動産の投資収益が低く、住宅の供給が過剰気味という大きな環境の下では、政府が強力な刺激策を取っても、不動産市場が過去の輝きを取り戻すことはない。このため、住宅市場の調整に対応するためには、政府はまず、市場の予期を誘導し、マクロ調整を強化し、住宅消費を安定化させなければならない。次に、改革の加速には、決定的な調整的役割を市場が発揮するような環境を作り出さなければならない。第三に、新たな成長分野を育て、経済成長の促進に対する不動産に役割を発揮させなければならない。