中国の国内宅配便市場を外資に全面開放

中国国務院の李克強総理は9月24日に国務院常務会議を開催し、固定資産の減価償却を加速させる政策の整備、企業の技術改良の促進、中小企業の起業やイノベーションへの支援について検討するとともに、国内の宅配便市場を一層解放し、国内外の資本による公平で秩序ある競争を推進することを決定した。

9月24日の国務院常務会議では、全方位的で主体的な開放を拡大し、国内・海外資本の企業を同等に扱い、公平な競争が行われるビジネス環境を創出することが、中国の長期的に堅持する重要な政策の方向性であるとの見方が示された。中国のネットショッピングの急速の発展につれ、宅配便(快?、クァィディー)は大きく発展してきた。現在、中国の国際宅配便業務は基本的に外資に開放されており、主要都市における国内宅配便業務も部分的かつ段階的に外資に開放されている。中国は世界貿易機関(WTO)加盟時に行った承諾に基づき、国内市場の開放を進め、国内外の宅配便企業を同じ土俵で競争させており、このことは国内企業に経営管理の改善とサービス水準の向上を求める上でプラスになり、またたくさんの消費者により多くの選択肢を提供することにつながっているという。

会議では、宅配便事業を推進して現代型サービス産業発展の「ダークホース」にすれば、物流産業のレベルアップを促進し、流通をより活性化して内需を牽引し、雇用を増やすことができ、安定成長、構造調整、国民生活への恩恵に向けて積極的に力を出せるようになるとの見方が出された。また会議では、国内の宅配便市場を全面的に開放し、認可の条件を満たした外資系宅配便企業に対し、定められた業務の範囲と経営地域を踏まえて経営許可証を発行することが決定された。

 外資系企業にとって朗報

宅配便事業の専門家・趙小敏さんは、「宅配便業務を外資に基本的に開放したとはいえ、実際には外資に対し『スイングドア政策』を実施し続けるのであり、外資は具体的なサービスをめぐりいろいろな制限を受けることになる。実際の市場には手紙や書類に関する明確な規定はないが、郵政法の規定に基づけば、外資系企業が国内の郵便配達業務に従事することは認められていない」と話す。

同じ業務でも、認可にあたっては外資の方が参入へのハードルが高い。このことが支店の拡張において、外資のペースが国内民間企業に追いつかない原因にもなっている。趙さんは、「今回の国務院常務会議で、国内市場の開放を進め、国内外の宅配便企業を同じ土俵で戦わせることが強調されたことは、外資系企業にとっては朗報だ。これに合わせて来年に郵政法が改正され、国の安全が保障されることを前提として、外資に郵便配達市場が開放される可能性は否定できない」と話す。

 国内宅配便市場は曲がり角を迎える

趙さんは、「今回は国務院常務会議が宅配便企業に初めて触れたケースであり、国もこれから相応の政策をうち出して産業の発展を促進していくとみられる」と話す。

また趙さんによると、国有資本企業には政策面と資金面での強みがあり、外資系企業にはブランド、サービス、資金調達チェーンで目立った強みがあり、双方を比較すると、民間宅配便企業のシステムの脆弱さが浮かび上がる。今後3~5年の間に、民間宅配便企業は国有資本企業と外資系企業に両側からプレッシャーをかけられる中で事業の仕切り直しを迫られるようになり、能力を備えた民間企業は新規株式公開(IPO)に踏み切り、資金力でサービスの不足を補うが、より多くの民間企業は再編を迫られることになる。個々の民間企業は深刻な挫折を経験するとみられるが、業界全体として考えれば、産業の集中度が高まり、将来のサービスの質、ネットワークカバー率、サービス価格の各方面でより大きな強みをもつことになるという。