中国株式市場はベアからブルへ移行するか

経済の好転が信頼感をかき立てる

実際、株式市場の疲弊ぶりに直面して、政策レベルの好材料が年初から次々にうち出されているが、市場は元気を取り戻していない。このたびの上海・深?両市場の長期にわたる劣勢が、7月に入って突然に回復傾向をみせた原因は、結局のところ何なのだろうか。

中国証券監督管理委員会(証監会)の鄧舸報道官によると、マクロ経済は安定しつつ好転し、市場の流動性には余裕があり、改革措置の効果が出始めるといったことが、株価指数を押し上げる主な要因になったという。

武漢科技大学金融証券研究所の董登新所長は、「このたびのA株市場の反転の動きは、主にブルーチップ銘柄をとりまく4つの好材料に支えられたものだ。1つ目は優先株式制度をうち出したこと。2つ目は中央企業(中央政府直属の国有企業)の改革モデル事業が始まったこと。3つ目は「滬港通」(上海と香港の株式市場の相互乗り入れ)の計画。4つ目は上海市場がまもなく上場投資信託(ETF)をうち出すことだ。この4つの好材料は上海・深セン両市場のブルーチップ銘柄に「火力」を集めており、これまで評価が極めて低かったブルーチップ銘柄にとっては重大なビジネスチャンスであり、両市場の株式指数が着実に上昇するとみられ、緩やかな強気市場のスタートにつながるといえる。

好材料が緩やかな強気市場を後押し

7月のA株市場は急速に上昇したが、8月に入ると上昇の歩みが鈍化し始めた。市場が今後も高水準を維持できるかどうかが、市場の注目を集めている。

董所長によると、このたびの強気市場は全体として「早足で駈ける牛(ブル)」や「常軌を逸した牛」であってはならず、まったく新しい「ゆったりとした牛」になるとみられる。市場の運営の大きな流れは着実に上昇するというものだ、その間にはさまざまな曲折や落とし穴があり、今回の強気市場は歩くのにこれまでよりも忍耐と堅実さが求められる。このような強気市場はより長く、より安定的なものになるとも予想される。

董所長によると、今後は次の6つの要因が相互に作用し合って、今回の強気市場を継続させるという。

(1)国内総生産(GDP)に熱狂することはなくなり、経済のモデル転換と産業のバージョンアップが株式市場のマクロ面の基本的側面になる。

(2)「一定の力を保った」中国人民銀行(中央銀行)の金融政策では、資金の利用効率により注意するようになり、膨大な通貨ストックがより大きな活力とエネルギーを発揮するようになることが確実。

(3)ブルーチップ銘柄向けの4つの好材料が下半期に全面的に顕在化し、両市場の権重株(A株市場に影響力をもつ株)の人気が効果的に集まって、同株の価値を回復上昇させる。

(4)場外市場と私募金融市場が大幅に拡大し、相互に輝きをみせ、一方では氾濫して問題になった流動性を吸収して、実体経済への流れを誘導し、また一方では大きく強い資本市場の触媒になる。

(5)株式指数の先物取引が4周年を迎え、ETF、株式指数先物取引、個人株オプションなどの商品が次々に登場する。金融先物取引とオプション取引は資本市場のリスク管理の重要なツールであり、現物市場と補完しあい、ともに発展していくものだ。

(6)証監会は年度末に登録制の全体プランを発表する予定で、新株発行の態勢や市場撤退の制度に与える影響は革命的なものになる。

董所長は、「A株市場は2007年10月にベアマーケット入りして約7年になり、A株市場における最も長い周期の弱気市場となった。強気市場と弱気市場が交互に入れ替わる周期的リズムに基づいて分析すると、ベアマーケットが終わってブルマーケットに足を踏み入れるのは、かなりの確率で発生する出来事だ。一定の好材料の刺激を受けさえすれば、新たな強気市場の流れがスタートする。これは上昇を願う人々の気持ちが招く当然の結果でもある」と話す。