時代の要請に応え、深圳の科学技術とリンク
日本深圳経貿文化促進会が2024フォーラム兼新春年会を開催

3月28日午後、設立6周年を迎えた日本深圳経貿文化促進会が、東京で「2024フォーラム兼新春年会」を開催した。「『新たな質の生産力』の発展という時代の要請に応え、深圳の科学技術とリンクする」――フォーラムの開催に当たり、日本深圳経貿文化促進会の翁道逵会長及び当会の中核メンバーは、「日本と深圳の『新たな質の生産力』の交流と協力をどのように促進するか」を本年度フォーラムのテーマとした。

フォーラムの冒頭で、発展する深圳の新たな成果を紹介するビデオが上映され、参加者は改めて深圳を感じ、深圳を理解するとともに、深圳の広報活動に有用な多くの「基本資料」が提供された。

続いて、日本深圳経貿文化促進会の翁道逵会長が活動報告を行い、「アフターコロナ」における当会の昨年の取り組みを振り返るとともに、本年の活動方針を述べた。

深圳市駐日経済貿易代表事務所の田常浩首席代表が挨拶し、詳細なデータをもとに、「特」区から「湾」区へと変貌し、粤港澳大湾区に仲間入りしようとする深圳の経済・テクノロジー分野の発展状況について述べ、活力と希望に満ちた深圳を紹介した。

日本深圳経貿文化促進会の副会長を務める、アンパワージャパン株式会社の朝日正雄代表取締役は、現在「新技術のダークホース」と目される全固体電池を紹介するとともに、今後の展望を語った。朝日氏は、2023年12月、中国一汽、東風汽車、長安汽車をはじめとする27社が、深圳で全固体電池産業イノベーションコンソーシアムを設立したことを紹介し、中国及び深圳産業界の全固体電池開発に対する情熱を強調した。

エネルギー分野の専門家である朝日氏は、全固体電池の分類と基本的性能等について紹介し、全固体電池の開発におけるペインポイントを指摘した上で、日本も決して後れは取っておらず、トヨタは2025年頃、全固体電池を搭載したEVを発売し、ホンダは、2030年頃、全固体電池を実用化する計画であると語った。最後に、「新たな質の生産力」とはハイテク競争力を備えた生産力であると述べた。

日本華僑華人博士協会の徐栄会長は、「在日華僑華人の創新・創業と深圳の創新・創業の結合」をテーマに、いまの日本の若者及び高等教育の創新・創業における取り組みについて、日本の若者は決して寝そべり族でも、「令和の役立たず」でもない。日本を正しく理解する必要があると語るとともに、プロジェクト及び人材面における当会と深圳の緊密な協力関係を紹介し、(東京)オフショアインキュベーター構想を共に模索することを提案し、「新たな質の生産力」の発展については、競争にのみ目を向けるのではなく、将来的な協力の可能性を視野に入れる必要があると指摘した。

日本の五大国立工業大学のひとつである室蘭工業大学で副学長を務める、日本工程院外籍院士の董冕雄氏は、「スマート医療―来るべき医療革命」をテーマにスピーチし、国内外の一部の医療機関はすでにこの取り組みに着手しており、新たな医療改革を進める上で、可視化、データ化、インテリジェンス化を推進し、医療情報格差、医療資源の二極化、医療監督システム不全の解決に努めていると語った。董氏は「スマート医療」を、単に「顔認証決済」や「顔認証治療」と理解するのではなく、精密技術、ヘルス・インテリジェンスとして位置付けるべきであると訴えた。スマート医療は、医療機関に全面的なインテリジェント化をもたらす。

本年3月、深圳市工業情報化局、深圳市科技創新局、深圳市財政局が共同で発表した『深圳市ハイエンド装備産業クラスターのハイクオリティ発展に関する若干の措置』に関して、国立千葉大学工学研究院教授で博士課程指導教授の魯雲氏が「日本の新素材研究開発の動態と中日協力に関する議論」をテーマに講演を行い、「半導体パッケージ用ファインセラミックス」を紹介し、「新たな質の生産力」とは、決して「関連銘柄」ではなく、最終的に人びとの生活に寄与するものであると述べた。

 フォーラムの進行役を務めた日本深圳経貿文化促進会の初代会長である本誌編集長の蒋豊は、次のようにフォーラムを総括した。「本フォーラムは、中国の社会発展のためのテーマである『新たな質の生産力』と密接にリンクしており、具体的事例を通して『新たな質の生産力』とは、技術競争に止まらず、協力発展のための生産力であることを示しました。それは、社会経済に新たな成長分野と産業チェーンをもたらし、人びとの生活に実益をもたらす生産力であります。来賓の皆さまは、『新たな質の生産力』の観点から、日本と深圳の協力・交流に対して、適切かつ現実的提案をされました。辰年の新春、『新たな質の生産力』が中日経済交流をより一層推進し、新たな展望を切り開くことでしょう」。

第二部では、翁道逵会長、中王科技有限公司の王遠耀代表取締役社長が相次ぎ登壇して新年の挨拶を行い、エースネットワークス株式会社の張林峰会長の音頭で、出席者は共にハイタッチを交わして新年を祝った。会場内の熱気は高まり、百名近い出席者は、フォーラムで取り上げられたトピックについて意見交換を行い、日本・深圳交流の参画者、建設者たることを誓い合った。

「2024フォーラム兼新春年会」は盛会のうちに幕を閉じた。熱い議論と情熱が行動を促し、一人ひとりの力が集結して大きな力となる。日本深圳経貿文化促進会は、日本と深圳の協力強化へ向け、「新たな質の生産力」発展の道を堅実に進み行く。