商品住宅販売は湿り気味 高騰し続ける地価
デベロッパーの土地取得熱が冷めないのはなぜか

2014年も多くの都市で商品住宅販売が湿り気味だ。だが、土地の価格は逆に急騰し続けており、デベロッパーの土地取得熱は上がることはあっても冷めることがない。多くの地方で「地王(土地使用権譲渡の入札で破格の金額で意中の土地を手に入れる開発業者)」が現れている。地価は高止まりし、今後住宅価格が下がるのかどうか不透明だ。専門家は「土地価格が高い背景には主に土地財政が絡んでおり、中長期的に見ると税制制度の面から解決する必要がある」と指摘している。

 
福州市でデベロッパーが建設中の分譲住宅(撮影/張斌、中新社)

 

「小麦粉の値段がパンより高い」現象

統計によると、1月上旬、北京で新たに売り出された商品住宅の物件リストは前月同時期より12%減少した。ある情報では、2014年の最初の12日間で、全国主要54の重点都市で新築住宅の販売が減少し、2013年12月初めと比べた前月比で20%減少した。

しかし、開発業者の土地取得熱はいささかも衰えを見せず、地価は絶えず新高値を更新して「小麦粉の値段がパンより高い」現象が現れている。1月20日、北京市土地整理備蓄センターは、門頭溝新城のMC16-073の土地の公開入札で、最終的に3社から成る企業連合が58億6600万元(約979億2000万円)で取得し、北京の歴史上で総合価格としては最高値の「地王」が誕生したことを発表した。

最近では、上海錦繍投資がプレミア率490%、1㎡当たり1万5000元(約25万円)を底とする高価格で、自由貿易区のイメージで湧く上海臨港新城の土地の市場価格を猛烈に押し上げている。

統計によると、1月は北京、上海、杭洲三都市の土地譲渡金収入は1000億元(約1兆6700億円)を越え、北京だけでも土地譲渡金収入が2013年同時期の7倍になっている。

明らかに、人々が久しく望んでやまない住宅価格の下落に対する期待はまたもや水の泡となりそうだ。中原資産市場研究部の張大偉総監は「全国各地に現れた地王がもし目論見通りの利益を得るとしたら、市場での販売価格は1年以内に今よりさらに50%上がらなければならないことになり、さもなければ地王がマーケットに参入するリスクは極めて大きくなるでしょう」と分析している。

 

地方政府の土地財政が後押し

商品住宅販売の落ち込みには春節休暇という理由があるが、中国国際経済交流センター戦略研究部の張茉楠副研究員は「長期的に高止まりしている住宅価格は普通の庶民には手の出ないものになっており、こうした剛需の一部が市場から締め出されていることも販売が減少した1つの理由です」と指摘している。

地価が高いのは何もここ最近のことではない。中国国土資源部が先日発表したデータは、2013年に中国の主要105モニター都市の地価の全体水準が引き続き上昇し、全国の土地譲渡金収入総額が4兆1000億元(約68兆4400億円)と2011年の3兆1500億元(約52兆5821億円)という土地譲渡金収入の史上最高水準を塗り替えたことを明らかにしている。

地価が引き続いて急騰しているのには多方面の理由がある。業界内部の人間は「一、二線都市、とりわけ一線都市では短期的には土地の供給量が依然として少なく、市場の需給関係が依然ひっ迫しています。一、二線都市には比較的多くの市場成長の余地があるため、有力な住宅販売企業が全力で土地を漁っているのです」と分析している。

デベロッパーが高値に糸目をつけず土地を漁って地価を騰貴させているのはもちろんだが、地価高騰の根本は土地財政に問題がある。誰もが知っているように、土地譲渡金は地方の財政収入の中で大きな比重を占めており、土地財政が高い住宅価格の重要な担い手になっているのだ。ある統計では、10年前の土地価格は住宅価格全体のおよそ20%だったが、ここ数年は60%まで上昇し、それより高い場合さえある。

張茉楠副研究員は「他にも特別な要因があります。多くの地方で債務の償還期限が迫っており、政府に大きな償還圧力を与えています。土地を売れば大きな収入が得られるために、それによって債務圧力から逃れようとしているのです。また一部の地方では経済の減速圧力が大きく、実体経済から得られる財政収入の割合が小さいため、土地を売るしかないのです」と語っている。

 

土地に依存した収入モデルを転換

住宅価格を下げるには、土地価格を下げることが重要だ。だが短期間でこの問題を解決するのは容易なことではない。

張茉楠副研究員は「不動産問題は中国の経済構造が長年バランスを失っていた結果であり、長年にわたって蓄積した課題は短期的に1つ2つの政策で解決することは、またぞろ行政が市場を指導するというかつての道に戻ることになります。2014年は不動産税が再度議事日程に上る可能性がありますが、最初は適用範囲を拡大することが中心となり、地方財政収入に占める不動産税の割合は小さいため、短期的には土地を売ることが地方財政にとって重要な収入になるのです」としている。

中国財政部税制科学研究所の劉尚希副所長は、地方政府の土地譲渡金への依存を改めるには「地方税の体系を適正化することが鍵になる」として「営改増(営業税の増値税への移行)実施後に直面しているのは地方税の配置を調整しなければならないということです。一部地方の細々とした税種を統合し、現在中央に属している一部の税種を地方税として再配置することです」としている。

中国東方証券の邵宇建チーフエコノミストは「固定資産税を課し、不動産税と相続税も含めて固定資産税を地方政府の財源構成の主要な柱(50%以上)にして、これまで土地譲渡収入に直接依存していたモデルを市場での土地流通の監督管理とその補助的支援策に転換することです」と提案している。