人民元市場の開放と国際化により、市場空間は拡大
外資系銀行の中国でのビジネスチャンスを楽観視

1月6日、国際会計コンサルティングファーム、アーンスト•アンド•ヤングはレポートを発表し、外資系銀行の中国における前途を楽観して、今後3年の市場シェアは適度に増加するとした。これについて、専門家は「外資系銀行の参入は国内の金融システムに先進的な商品と理念をもたらすとともに、外資系銀行の外貨と対外貿易面での優位性は現在までに替わるものがなく、今後の金融改革のいっそうの深まりが、外資系銀行に大きな市場空間をもたらすだろう」と語っている。

 

 

外資がもたらした先進的理念

アーンスト•アンド•ヤングが発表した『外資系銀行の中国における今後の発展方向』と題するこの調査レポートは、中国で引き続き金融改革が推進されるのに伴い、外資系企業の中国における今後に楽観的な見方をしている。

2001年12月11日、中国政府はWTO加盟と同時に外資系金融機関の外国為替業務取り扱い対象に対する規制を撤廃し、上海、深?、天津、大連の4都市の外資系金融機関が正式に人民元業務を取り扱うことを許可した。

05年末には111の外資系銀行が上海など18の都市で人民元業務を取り扱う権利を認められており、外資系銀行が規定の範囲内で経営する業務の種類はすでに100種を超えている。

中国国内の銀行と比べ、これらの外資系銀行の参入が中国の当時の金融状況に一陣の「精神の風」をもたらしたことは疑いない。

招商銀行頭取を務める馬蔚華氏はかつて「国外の先進的な銀行はこの20~30年の構造転換の中で正しい経営理念を樹立し、育成することに非常に重点を置いています。例えば、シティバンクの『長期的収益と顧客価値に関心を持つ』、ドイツ銀行の『安定した枠組みの下で着実に上昇する』などがそうです。そのため、こうした外資系銀行の参入は国内銀行が伝統的な観念を転換し、単純な規模拡大の伝統的モデルを放棄して、全世界的な影響力をいっそう深く体得し、先進的な管理経験と技術をより早く学習して、さらに多くの世界的視野を備えた経営管理人材を育成する上で有利に働くことができたのです」と語ったことがある。

中国銀行業監督管理委員会のデータによると、13年12月末時点で、すでに50以上の国と地域の70以上の銀行が中国に40の現地法人、190以上の支店を設立している。

 

改革が外資にチャンスを

中国が金融分野で絶えず開放と改革を進めており、外資系銀行の中国での市場拡大に極めて重要な作用をもたらしていることは疑う余地がない。

中央財経大学金融学部の陳穎副学部長は「中国銀行業監督管理委員会が2013年12月に出した方針から、外資系銀行に対する政策がゆっくりと国民待遇に近づくであろうことが判ります。全体的に見ると、環境は必ず徐々に緩和されていくでしょう。外資系銀行は中国の銀行に比べて、より強い価格決定力、商品革新能力とより望ましいリスク管理能力を備えており、そのためにハイエンドな金融商品提供の面での優位性は一貫して抜け出ています。今後もさらに、人民元市場開放がもたらす一連のメリットを受けることになるでしょう」と話している。

人民元市場の段階的な開放と国際化に伴って外国企業の対中投資と在中企業の対外投資資金の双方向の流れが増加していること、および外国為替取扱業務の機会が大幅に拡大していることのいずれもが、外資系銀行に今後の中国における前途に確信を持たせている。

多くの外資系銀行の経営幹部が「上海自由貿易区の設立は外資系銀行にいっそう多くのチャンスをもたらすでしょう。中国の銀行に比べて、外資系銀行の越境人民元による業務面での競争優位性は非常にはっきりしています。人民元オフショアセンターの設立は今後、外資系銀行がオフショアでの人民元預金、決済と外国為替取引というビジネスチャンスを捉える上で助けになるでしょう」と語っている。

 

電子化にどう対応するか

前途は楽観的だと見られているが、外資系銀行の発展は同時に多くの課題にも直面している。

陳穎副学部長は「外資系銀行は中国国内の金融市場ではユニークな存在で、ハイエンドな金融商品を提供することができるとはいっても、彼らの業務の主流はやはり対法人業務で、個人向け業務では今のところそれほど大きな市場は得られていません。一面では、彼らが提供する金融理財市商品などの商品は相対的に顧客層が薄く、消費者にある程度の金融知識がないと相手になりません。別の面では、外資系銀行は今のところまだ、多少『水土不服(中国の風土に馴染んでいない)』の面があり、中国の市場状況や顧客の習慣に十分に適応しているとはいえず、そのために市場シェアを拡大するには多少の難しさがあります。またインターネットバンキングが強い勢いで襲ってくるのに伴って、中国での外資系銀行の電子業務が今後いったいどの程度発展するのかということもあり、今後彼らがこのインターネットバンキングというチャンスを捉えられるのかどうかが重要な鍵を握っています」と語っている。

調査レポートによれば、外資系銀行は投資信託会社、証券会社および資産管理会社への投資による中国金融市場への参画度合いの拡大を通じて中国の金融市場での業務シェアを拡大している。その他にも、一部の銀行は詳細な総合的金融業務発展戦略を定めて、潜在的なシナジー効果を十分に利用しようと目論んでいる。

アーンスト•アンド•ヤングのグレーターチャイナエリア金融サービス部の蔡鑑昌監査サービス主管パートナーは「より開放的で、透明性が高く、監督管理による干渉を極力受けないですむ金融市場を作ろうとする取り組みは、何であれ広く歓迎されるでしょうが、外資系銀行にとっては、獲得できるメリットは依然として、これらの変革が及ぶ範囲やそれらの解釈、実施される時期および具体的な実施状況にかなりの程度左右されるでしょう」と語っている。